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空に星が輝く様に

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433部分:第三十三話 告白その五


第三十三話 告白その五

「月美とだけしか付き合えないから」
「そうなの」
「だから。佐藤とは付き合えないよ」
 こう、だった。星華に対して話すのだった。
「御免な、それは」
「ううん。もういいわ」
 星華はだ。陽太郎のその言葉に首をゆっくりと横に振ったうえで述べた。
「それはもうね。いいわ」
「いいんだな、もう」
「ええ、いいわ」
 また言う星華だった。
「私も。もう斉宮のことは諦めるから」
「彼氏にはなれないよ」
「そうね。それじゃあね」
「またな」
 穏やかな声はそのままだった。その声の色は。
「またあ明日な」
「ええ。明日ね」
「それじゃあ帰ろう」
 椎名は二人の別れが終わってから陽太郎と月美に話した。
「二人は二人で帰って」
「椎名はどうするんだよ」
「私もデート」
 彼女もだというのだった。
「そうするから」
「赤瀬とかよ」
「そう。今からデート」
 感情の見られない言葉はそのままだった。
「楽しんでくるから」
「そうか。じゃあ頑張れよ」
「うん」
 椎名は陽太郎の言葉に対してこくりと頷いてかえした。
「そうしてくる。もっとも」
「もっともって?」
「デートは頑張るものじゃないけれど」
 それを言う椎名だった。
「けれどそれでも」
「楽しんでくるんだな」
「楽しむのは絶対にしてくるから」 
 こう話すのだった。
「それじゃあ」
「ああ、それじゃあな」
「また明日ね」
「ああ、明日な」
 二人で話してだった。彼等はそのままそこから去った。
 後に残ったのは星華達だった。星華はその場に立っていた。
 だがその彼女にだ。星子が声をかけるのだった。
「ねえ。お姉」
「うん・・・・・・」
「帰ろう」
 こう姉に声をかけたのである。
「お家にね。帰ろう」
「うん、じゃあ」
「帰ったら何食べる?」
 そしてだった。姉にこう尋ねたのである。
「それとも飲む?」
「飲む」
 俯いた顔での返答だった。
「できれば」
「飲むの」
「そう、飲みたい」
 また言う星華だった。
「何でもいいから」
「うん、それじゃあね」
 それを聞いてだった。星子は姉に対して穏やかな声で話した。
「日本酒にする?」
「日本酒なの」
「お家に丁度いいのがあるから」
 それでだというのだ。
「飲もう。お家に帰ったらね」
「ええ」
 星華は妹の言葉にこくりと頷いた。そうしてだった。
 
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