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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第百二十四話

姉さんが帰ってくる。

円香にそう伝えられた俺は早速姉さんを迎える準備を始めた。

リビングに立って、先ずは掃除だ。

とは言え時間はない。

窓を開けて、円香に伝える。

「ねぇ円香。十秒目を瞑って息止めて」

「ん?わかった」

円香がそうしたのを確認。

さてと…

「シルヴァーグローリー キャスト」

家の中の全てのオブジェクトの相対位置を固定。

「つむじ風 キャスト」

風を起こし、全ての埃を舞わせる。

「集え」

そうして、空気もろとも部屋の塵を集める。

「円香。もういいよ」

「うん」

この埃と圧縮空気どうしよう。

ま、取り敢えず埃は雲散霧消するとして…

家の外に捨てるか。

圧縮空気を家の外に放り出し、埃を原子分子レベルまで分解。

解放するとちょっと大きな音がしそうだったので遮音フィールドを使う。

案の定ドンッという音がフィールド内で響いた。

「よーし掃除終わり」

「お兄ちゃん何したの?」

「ん?掃除。魔法で埃を集めたんだ」

「ふーん…?」

して我が妹よ。

「しれっと俺の尻尾と耳に触ろうとするんじゃないっ!」

「えー…お兄ちゃんのネコミミモード…」

「はいはい。あとで触らせてやるから」

「やくそくだからねっ!」

しかたない。

さて次は料理だ。

「なぁ円香。肉じゃがとビーフシチューどっちが食べたい?」

「なにそれ?」

あ、そか。どっちも食った事ないか…。

「いや、なんでもない。今日の晩御飯は肉じゃがだ」

キッチンに向かい、飛行術式を起動して冷蔵庫から食材を出す。

「お兄ちゃん、てつだおうか?」

「いや、いいよ。座っててくれ」

まだ円香に火や刃物は持たせられない。

自我が生まれてまだ一月と発っていないのだ。

「ん!わかった!」

材料を時折魔法を交えつつ下拵えしていく。

魔法を使えば料理はかなり時短できる。

いつぞや姉さんに見せたミルクレープみたいに…

あ、そうだミルクレープ作っておこう。

あれなら肉じゃがの片手間で作れる。

ホットケーキミックスと牛乳卵などの材料を出して魔法でかき混ぜる。

物を混ぜる時は魔法が一番役立つ。

肉じゃがと平行しつつ、クレープ生地を焼き、生クリームと層を成すように重ねる。

肉じゃがの具材を煮ている最中にはミルクレープが完成した。

クレープ生地は極薄を何枚も重ねてある。

かなりの出来のはずだ。

「お兄ちゃん、それなぁに?」

「ミルクレープっていうケーキだ。お前にも魔法を教えるが、魔法だけでミルクレープを作れるようになれば制御は完璧だ」

「まほーでケーキつくるの?」

「ああ、ミルクレープほど現代魔法の練習に適した料理は他に無いぞ」

「ふーん…そうなんだ…」

肉じゃがが鍋の中でグツグツと煮えるのを見ながら、姉さんのエイドスを覗く。

座標はここから一時間ほどの位置だ。

「姉さん、あと一時間くらいで帰ってくるよ」

「そうなの?」

「うん…あ、缶ビールあったかな…」

冷蔵庫を開けると三本しかなかった。

「円香、ちょっとパントリー言ってビールあるか見てきて」

「ん」

パントリーというのは本来キッチン備え付けの食料庫だが、この家は二階にある。

と言うのも二階は空間をねじ曲げて部屋を作ってあり、その一室をパントリーにしているからだ。

直ぐに円香が戻ってきたが、微妙な顔をしていた。

「なかったのか?」

「あった…けど…」

なんか歯切れが悪いな…

「円香、絶対に火には触るなよ」

「うん」

キッチンに円香を残してパントリーへ向かう。

中には買った覚えのない瓶ビールのケースがあった。

20本入りが2ケース。

マジで買った覚えがない。

試しに一本引き抜いてみると、ラベルにはビールジョッキを煽る時計兎のイラストが。

そしてAlice’s Topazの文字。

うん…犯人わかったわ…。

ケースにQRコードが書いてある。

スキャンすると文章が出てきた。

『やほーいっ君。このビールはちーちゃんにあげちゃって。
私が昔暇潰しに作った【超高純度ビール】だよ。
おかしな物ははいってないから安心して。
ていうか自然由来のガチの天然物しかつかってないよ』

ようするに、束さんが邪魔になったビールケースをおいていったのだ。

あの人時々思いつきでこういうの作るもんな…

とことんやりたかったらしくラベルの裏には成分表示と産地まで書いてあった。

まぁ、ありがたく貰っとこう。

で、本当にヤバい物が入ってないかどうかだ…

振動減速で一本ひやして、栓を飛ばす。

匂いは……問題なし。

飲んでみると物凄く美味しかった。

後味はスッキリしてるし雑味がない。

多分ISとか使って作ってる。

一本飲み干し、空の瓶と1ケースを持ってパントリーを出る。

キッチンに戻り、4本振動減速で冷やしてから冷蔵庫にいれておく。

「お兄ちゃん。私もビールのんでいい?」

「もう少し待とうな。せめてお前が高校生になるまでな」

「ぜんぜんすこしじゃない…」

「まぁ、『お前』なら今でも飲めるだろうが、万一があるからな」

イミテーションとはいえメシア。

その肉体は常人を遥かに超えるポテンシャルを秘めている。

無論、耐薬耐毒性も。

あぁ、そういえば円香の再調整しないと…

今は吸血鬼の血でもってる…んだと思うからそれがなくてもいいように…

つらつらとそんな事を考えていると、唐突にくすぐったさに襲われた。

「まっ円香!?」

「ねこみみ~」

猫耳をふにふにと弄られ、力が抜ける。

「まっ円香っ…! やめてっ…!」

「んー…じゃぁ…」

「ま、まどか…?」

とてつもなく嫌な気配がした。

かぷっ…と首筋に噛みつかれたのだ。

side out








「あー…にゃー…やめっ…ひうっ…」

円香は一夏の後ろから首筋に噛みつきながら、猫耳を弄っていた。

かくん…と一夏の膝が折れ、キッチンに倒れる。

それを追って円香もしゃがみこんだ。

「たばねおねーちゃんが言ってたの。
お兄ちゃんの首筋を噛んだら大人しくなるって」

そう言って、一夏の上におおい被さるようにのしかかり、首筋に歯を立てる。

「にゃーっ…にゃあ…」

じたばたと抵抗する一夏だが、次第に大人しくなる。

そして…

「ふみゅぅ…」

抵抗をやめた。

「とよたまー。お鍋の火、おねがいねー」

『わかったよ円香』

円香は抵抗しなくなった一夏に噛みつくのをやめ、トヨタマに指示を出した。

「えーと…お兄ちゃんをソファーにはこばないと…」

円香は覚えたての気功術で全身を強化して、一夏を抱えた。

「ふみゅ…?」

「ちょっとがまんしてね」

妹にお姫様抱っこされる兄という情けない姿を撮られているとはつゆ知らず、一夏はふやけた顔をしていた。

円香はソファーに腰掛け、膝の上に兄を腹這いにのせた。

この姿勢が兄を愛でるのに一番適していると知っているのだ。

「お兄ちゃんをひとりじめ…」

円香の瞳には嗜虐的な色が灯っており…………………完全に手遅れだった。








半刻ほどして千冬が帰って来た。

「おかえりなさいおねーちゃん!
ちゃんとしたごしらえしといたよ!」

「ぅにゃぁぁぁ………」

千冬は頬をぴくぴくとひきつらせた。

「円香。気持ちは嬉しいが誰に教わった?」

「たばねおねーちゃん」

「奴め…」

「ほら!おねーちゃんもすわって!」

円香に言われた千冬は荷物を置いた。

一夏を抱き上げ、円香の隣に座り、一夏を自分と円香の膝の上にのせる。

「たばねおねーちゃんがね、おねーちゃんはこれが一番喜ぶって言ってたよ」

「長い付き合いだしな」

そう言いながら、一夏の顎をくすぐる。

「うにゃぁぁ~…」

と鳴く。というか啼く。

「円香。何分くらい『下拵え』した?」

「んー…一時間くらい?」

「…………すごいな。おまえ」

「?」

私だったら確実に一夏を襲っている、と千冬は心のなかで呟いた。

千冬が一夏の耳の触れると…

「ぅにゃぁんっ……」

「!?」

ハートマークでも着いているんじゃないかという甘い声が響いた。

「にゃぁぁぁぁ…」

ふと一夏が体を起こした。

「一夏?」

きょろきょろと辺りを見回し…

「あ。ねーさんだー。おかえりー」

一夏が千冬の膝の上に乗り、抱きついた。

「ふぁぁ…ねーさんのにおいだー…」

千冬の胸元に顔をうずめて擦り付ける一夏。

「ちょっ…汗かいてるからやめろっ!」

「にゃー?」

「だめだ…こりゃ…」

千冬は何もせず、一夏が千冬に抱きついたまま数分。

ぴくっと、一夏が動いた。

そしてぷるぷると震え出した。

「正気に戻ったか一夏?私の汗の匂いと胸の感想を聞かせてほしいのだが?
なぁ?匂いフェチの変態め」

一夏はゆっくりと千冬から離れた。

「ぉ、おかぇりなさぃ…」

一夏の顔は真っ赤で、頬がひきつっていた。

「ああ、ただいま」

「…………ば、晩御飯の用意してくる!」

一夏はキッチンへと走っていく。

「逃げたな」

「にげたね」

織斑姉妹は顔を見合せ、クスリと笑った。

 
 

 
後書き
シルヴァーグローリーは後々R18でも使います。
というかまだ投稿してませんがR18で先に書いた魔法です。
使い方完全に間違ってますけど。 
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