空に星が輝く様に
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422部分:第三十二話 誠意その五
第三十二話 誠意その五
「そんなこと考えたことないよね」
「別にね」
「そんなことは」
「そうなんですか」
そう言われてだ。星子は首を傾げさせる。お互いに齟齬があった。
「それって凄いと思うんですけれど」
「ううん、そうかなあ」
「どの電車も停まることって」
「そこまで凄いかしら」
やはり実感のない三人だった。そしてだった。
話をしているうちにだ。電車が来たのだった。
「来た来た」
星子が言った。青がかった黒いアスファルトと灰色が混ざった白いコンクリートの対比的な色彩の駅の中でだ。赤い電車が来るのを見たのだった。
「それじゃあですね」
「うん、あれに乗ってね」
「八条高校に行こう」
「それで」
三人が話す。そしてだった。
三人はだ。星華にも声をかけた。
「乗ろうね」
「久し振りの学校だけれど」
「大丈夫よね」
「うん」
星華はその三人の言葉に頷いた。
「行けるから」
「じゃあ行こう」
星子も言った。そしてだった。
五人で乗りそのうえで八条高校に向かう。赤い電車の中は白い色彩だった。五人は今はその白の中に身を置き目的の場所に向かうのだった。
陽太郎は部活を続けている。その中でだった。
部活の練習の合間の休憩の時にだ。ふと周りが言ってきた。
「おい、斉宮」
「何かあったのか?それで」
「最近一層明るくなったけれどな」
「彼女と上手くいってるのかよ」
「やっぱりそれか?」
「ああ、そうなんだよ」
笑ってその周りに応える陽太郎だった。
「もう何から何までな。上手くいっててさ」
「いいねえ、絶好調ってやつか」
「波に乗ってるってことか」
「つまりは」
「そうなんだよ。何かここまで運がいいってな」
笑いながら話す彼だった。
「この後で何があるんだろって思う位にな」
「まあ幸福の後には不幸があるからな」
「それがやばいよな」
「だよな。後でどうなるか」
「ぶり返しか」
「いや、そうともばかり限らないぞ」
そんな話をする彼等のところにだ。顧問の先生が来て話すのだった。
「人間一見幸福ばかりに思えてもな」
「違うっていうんですか?」
「それって」
「つまりは」
「そうだ。本人がわからないところで不幸だったりもするんだ」
これが先生の言葉だった。
「気付かないだけでな」
「ってことは」
それを聞いてだ。陽太郎が話すのだった。
「俺も何処かで」
「斉宮、御前は今彼女とのことは上手くいってるな」
「はい」
それはその通りだと答える陽太郎だった。
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