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空に星が輝く様に

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42部分:第四話 桜の木の下でその五


第四話 桜の木の下でその五

「頑張って」
「ああ、じゃあな」
「じゃあ私達もね」
「だからいつも俺を巻き込むな」
 口を尖らせて津島に抗議する狭山だった。
「まあよ。なったからにはな」
「真面目にしようね」
「ああ。それは絶対にやるからな」
「それでだけれど」
 また言う津島だった。
「ねえ。椎名だったわよね」
「ええ」
 椎名は名前を尋ねられこくりと頷いてから返した。まだ入学して二日目なので名前は完全に覚えきれてはいないのである。
「そうよ」
「そういう訳だから。頑張るからね」
「御願いね」
「ええ。それに」
「それに?」
「一年宜しくね」
 こうも言うのだった。
「これから一年ね」
「わかってるわ。じゃあ」
 津島もそれに頷く。三組は平和に動いていた。
 しかし四組は違った。星華が昨日会った三人と話していた。
「それであんたの名前は」
「州脇っていうの」
「そう。州脇っていうの」
「そう。州脇由香」
 こう名乗ったのは髪を肩のところで切り揃えた少し垂れ目の少女だった。
「宜しくね」
「州脇っていうのね」
「そうよ。州脇でも由香でもどっちで呼んでもいいから」
「わかったわ。じゃあ由香ちん」
 一人がここでこう呼んだ。
「宜しくね」
「こっちもね」
「それでね」
 次に名乗ってきたのは長い黒髪をシャトーにしている女の子だ。スタイルがすらりとしていて奇麗な目をしている女の子である。
「私は野上幸恵っていうの」
「じゃああんたは」
「やっぱり私もどっちでもいいから」
 この場合は名字でも名前でもだというのだ。
「どっちでもね」
「じゃあ幸ちゃんでいい?」
「その仇名で」
「いいわよ」
 彼女もこれで仇名が決まった。
 そして最後の一人は小柄で茶色のセミロングの髪に黄色いヘアバンドをしている。ラテン系を思わせるかなりはっきりした顔立ちである。
 その彼女も自分から名乗ってきた。
「橋口智美っていうの」
「あんたは智っちかしら」
「それでいいわよね」
「ええ、それでね」
「これでお互いの名前はわかったわね」
 ここで星華がにこりと笑って言った。
「もう私名前言ったわよね」
「佐藤星華ちゃんよね」
「星華ちゃんでいい?」
「それで」
「ええ、いいわよ」
 笑顔で返す彼女だった。
「名前はそれでね」
「わかったわ、じゃあ星華ちゃん」
「これで宜しくね」
「三年間ね」
「何かいきなり友達できたよね」
 笑顔で三人に話す星華だった。
「ほっとしたわ」
「そうよね。とてもね」
「やっぱりお友達いるっていいうよね」
「そうそう」
 三人も彼女の言葉に頷く。そしてそのうえで今日も自分の席に座ってそのうえで一人で本を読んでいる月美を見るのだった。最初に言ったのは星華だった。
 
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