| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

麗しのヴァンパイア

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十九話

                 第五十九話  中華街の吸血鬼
 カーミラは神戸の中華街に来た、そこに入るとすぐにその中を見て回ってそのうえで今は姿を隠している使い魔達に言った。
「いい場所ね」
「はい、中華街は世界中にありますが」
「多くの国に」
「欧州各国にもありましたし」
「北米やアジア各国にもですね」
「あるわね、韓国位だったわね」 
 中華街がない国はというのだ。
「確か」
「最近韓国でも出来たそうですが」
「戦前の日本統治時代はソウルにもあったそうですが」
「それも結構な中華街が」
「ですがなくなったそうです」
 日本の統治が終わると共にだ、これもまた教科書に書かれることのない歴史の一つと言えるだろうか。
「そしてこの前復活したそうですが」
「ほんの一区画だけだとか」
「極めて小さいそうです」
「そうなのね。けれどこの中華街は」
 神戸のそれはというと。
「結構なものね」
「そうですね、少し狭い気もしますが」
「事実日本で最大の中華街は横浜のものだとか」
「あそこに比べれば小さいそうです」
「ですがいい場所ですね」
「日本の中華街も」
「そう思うわ。素敵な場所よ」
 カーミラは微笑んでその中華街の中を見て回りつつ言った、そしてだった。
 ある店の前に来てだ、こうも言った。
「ここに入りましょう」
「そしてですね」
「召し上がられますね」
「このお店は広東料理だから」
 それでというのだ。
「海の幸を使った飲茶を楽しむわ」
「それとお酒ですね」
「それもですね」
「ええ、楽しむわ」
 そちらをというのだ。
「是非ね、そして一人では寂しいから」
「誰かをお誘いして」
「そうしてですね」
「一緒に食べるわ。可愛い娘とね」
 ここでカーミラの笑みが妖しくなった、そしてだった。
 自分達の前に来た観光客と思われる二人の女子大生位の美女達を見て音もなく前に来て声をかけた。
「いいかしら」
「はい?」
 美女達も応えた、ここから誘いがはじまった。


第五十九話   完


                 2018・6・6 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧