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空に星が輝く様に

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407部分:第三十一話 夜の港でその二


第三十一話 夜の港でその二

「あの、その鈍感な先輩に」
「う、うん」
「だからそれは」
「その」
 三人は彼女の問いに戸惑いを見せてそれぞれ顔を見合わせてだ。そしてだった。今度は三人で話すのだった。
「そのことも言う?」
「どうしよう」
「言わないといけないかな」
 こう話をするのだった、星子を前にしてだ。
「どうしようかしら」
「ここはね」
「言わないとこの娘事情わからないわよね」
「じゃあやっぱり?」
「言う?」
「そうしないと駄目?」
 話を暫くした。そしてだった。三人はそれぞれ顔を見合わせて決める顔になったのだった。そのうえだった。
「それじゃあね」
「仕方ないわよね」
「話そう」
 こう話してだった。三人で頷き合いだった。
 星子にあらためて顔を向けてだ。言うのだった。
「あのね、斉宮にはもう付き合ってる娘がいるのよ」
「けれどそれだと星華ちゃん斉宮と付き合えないじゃない」
「だから」
 それでだと。話すのだった。
「それで。その娘を呼び出して別れるように言ったけれど」
「けれどそこに斉宮が来て」
「そこで言われて」
「それって」
 そこまで聞いてだ。星子は繭を顰めさせ暗い顔になって述べた。
「お姉が悪いですよね」
「それで私達もね」
「それでも。あの時はそれしか頭の中になくて」
「それでね」
 三人は自然に俯いている。そうして話すのだった。
「あんなことして」
「それが星華ちゃんをああいうことにしちゃったの」
「私達も止めなかったし」
「あの、どう聞いても」
 星子はここでまた言う。
「お姉と先輩達が悪いと思います」
「他にも意地悪しようとしたり不良けしかけたりしたし」
「今気付いたけれど最低よね」
「やっぱり」
「そう思います」
 咎める目になっていた。その目で三人に告げた。
「そんなことしたら。報いがあるものです」
「うん、それで星華ちゃんああなって」
「ずっと閉じ篭ってるのよね」
「自分のお家で」
「そうなってます。ふられたのがショックだったんですね」
 星子は自然に腕を組んでいた。今はフライドチキンは目に入っていない。そうしてそのうえでだった。彼女は三人に話した。
「それでだったんですね」
「何とかしようと思ってここまで来たの」
「星華ちゃん、あのままじゃ絶対によくないから」
「それで」
「お姉も先輩達も最低だったと思います」
「え、ええ」
「本当にね」
「それは」
 三人も言葉がなかった。それでまた俯いてしまった。
 星子はその三人を見てだ。今度はこう言ったのであった。
「けれど」
「けれど?」
「けれどって?」
「お姉のこと、大事に思ってくれてますよね」
 星子が今言うのはこのことだった。
「そうですよね、だからここまで来てくれたんですよね」
「どうにかしたいし」
「だって。星華ちゃん友達だから」
「私達にとって」
「ですよね。私も」
 そしてだった。彼女も言った。
「お姉は私にとってかけがえの無い人です」
「お姐さんだから?」
「それだから?」
「はい、困ったところもあるけれどとても素直で優しいお姉ですから」
 彼女にとっては星華は。まさにそうした相手なのだ。
 
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