| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

空に星が輝く様に

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

400部分:第三十話 光と影その五


第三十話 光と影その五

「だからオーソドックスに行こうぜ」
「そうする?じゃあ詳しいことはカラオケに行ってからね」
「そこからか」
「歌って飲んで食べて」
 津島はこの三つを同じものとしたのだった。
「それで楽しくね」
「さて、何歌おうかな」
「まあ歌は何でもいいけれどね」
「それはか」
「そう、それはね」
 いいというのであった。
「私こだわらないし」
「それ昔からだな」
「いいものは何でもいいのよ」
 カツサンドを食べながら断言するのだった。
「クラシックでもロックでもね」
「演歌もか」
「勿論」
 こう断言する津島だった。
「いい音楽は何でもね」
「ジャンルはこだわらないか」
「そうよ。それでだけれど」
「ああ、何だ?」
「シュークリーム食べたくない?」
 津島はこんなことも言った。
「何かね」
「カラオケでか?」
「そう、スタープラチナってお菓子もいいじゃない」
「和菓子屋から仕入れてたんだな」
「山月堂ね」
 その和菓子屋の名前のことも話されるのだった。
「あそこのお菓子っていいよね」
「そうだよな。ただ」
「あそこのお店の御主人よね」
「あの人ドラゴンズ好きだよなあ」
「それもかなりね」
 話題はここでも野球だった。とにかくやきゅうから離れない二人だった。
「背番号二十あるし」
「あれって星野さんのか?」
 狭山も星野の現役時代の背番号は知っていたのだった。星野はもう中日だけの星野ではなく阪神ファンにも縁の深い存在だったのだ。
「あれってよ」
「違うみたいよ」
「じゃあ宣投手か?」
 狭山は今度はこの名前も話した。
「それじゃあ」
「あのピッチャーでもないわ」
「じゃあ誰だよ」
「杉下さんらしいわ」
「ああ、あのフォークのか」
「そう、その人」
 伝説のピッチャーである。中日に日本一をもたらした絶対のエースであった。そのフォークは二段落ちるとさえ言われていたのである。
「その人のらしいわ」
「確か昭和二十年代の人だよな」
「ええ、そうよ」
「滅茶苦茶古い人だよな」
「それだけに年代ものよ」
 こう狭山に話すのだった。
「だからあのお店はね」
「どうにもならないか」
「そういうこと。まあ中日だからいいじゃない」
 津島は笑って寛容さも見せた。
「巨人じゃないから」
「それもそうだな」
 しかも狭山もそれで納得して頷く。
「あれが堀内とかの背番号だったらな」
「皆来ないけれどね」
「絶対にな」
 それは断言であった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧