妖精の尻尾所属の戦闘民族(旧)
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第25話 巨大な魔道士が集う時
前書き
本日の二度目の投稿ォッ!!
アカネリゾートのカジノにて、妖精の尻尾の魔道士たちは傷つかれ、そして妖精女王は攫われた。
本来ならばエルザ・スカーレットは攫われるような魔道士ではない。
だが、仲間を人質にされ、そのスキに睡眠弾を撃たれてしまった。
一緒に来ていたナツ・ドラグニルとグレイ・フルバスター、ルーシィ・ハートフィリアは気がついたらもう後の祭り。
いや、三人は今からエルザを取り返しに行くことができるからどうしようもなくはないが。
だが、もう一つだけ疑問に残ることがある。
「おい、レッドはどうした!?」
「確かカジノに来るって言っていたけど…会ってないの!?」
「知らねぇよ!!どこだよアイツァ…!」
そう、共に来ていた戦闘民族、レッド・パッペはどこにも見当たらない。
彼ほどの男が居ればこの騒ぎをすぐに解決できると信頼しているグレイは当の本人はどこにいると探そうとするが…エルザの匂いを頼りであろうナツがもう飛び出している。
ここで足取りを追えなくなったら意味がない、ならばレッドを探すよりナツに着いていた方がいいのだろう。
グレイは舌打ちをしてただ着いていくしかなかった。
「―――”儀式”は明日の正午。それまではそこにいろ」
―――儀式!?Rシステムを作動させるのか!?
場所は楽園の塔の牢獄。
その場所はエルザたちにとって忘れられない場所であり、自分たち”仲間”が居た所だ。
「あの時はごめんよ姉さん…―――立案者はオレだった」
地獄のような日々からの脱走の策を考え、皆と脱走しようと計画を立てたのがエルザを姉と慕っていたこの男、ショウ。
その出来事がきっかけにより、終わりの始まりがあった。
ただ、それは誰しも望むような”始まり”などではなかったが。
『さぁ誰だ!?立案者は』
『私よ』
恐怖で震えていたショウはただ泣き堪えるしかなかった。
自分だとバレたら、何をされるか分かっているから。
その立案者であるショウを庇ったのは、まだ幼かった|ジェラールだ。
最初はエルザも庇おうとしていたが、震えていてまともに言えなかった。
が、ジェラールはハッキリと”嘘”を吐いた。大切な、大切な”仲間”を守るために。
だが、それは無駄になった。
『フン…この女だな』
兵士はエルザだと決め付け、代わりに懲罰房へと連れて行かれていく。
『私だ!!!私が立案者だ!!エルザは違うのよ!!』
『わ…私は…大丈夫』
幼きエルザは震えたま口にする。その目は絶望の色に染まっていているが、それでも大丈夫だと口にする。
『ジェラール言ってくれたもん――ぜんぜん怖くないんだよ』
かつて言われた言葉を脳裏に。
自分を励ます言葉を、口にする。
「本当…ズルいよね……」
自身は計画を最初に立て、バレたことにより言い出せなかった挙げ句、エルザを変わりに連れていかれ、その時エルザの右目は潰された。
「そんな事はもういい―――それよりお前たちはRシステムで人を蘇らせることの危険性を理解しているのか?」
「へえ…Rシステムが何なのか知っていたのか。 意外だね」
さっきまで後悔を色に変えていた顔をショウは皮肉げな顔に戻す。
自分たちを裏切って行った癖に、何を言っているんだと。
「リバイブシステム。一人の生贄の代わりに”一人の死者を蘇らす。人道を外れた禁忌の魔法」
現代生きている生者を、もはや過去の者となっている死者と交換させる。
正しく生者と死者を冒涜するような行為故に”禁忌の魔法”。
「魔法に元々人道なんてないよ、全ての魔法はヒューマニズムを衰退させる」
「黒魔術的な思想だな―――まるで奴等と同じだ」
「奴等はRシステムをただの反魂の術”生き返りの魔法としか認識してなかったんだよ――じだけどジェラールは違う」
自分たちを奴隷のように支配してたあの魔道士集団とは違い、どこから得た情報なのかジェラールはその本質を知り、そして何の為に使おうとしているのも違っていた。
「その先の”楽園”へとオレたちを導いてくれる」
そう語るショウの目は狂気が映っていた。
「楽園?」
「ジェラールはあの方を復活させる時、世界は生まれ変わるんだよ」
あの方さえ居れば、こんな自由などない世界を楽園へと変えてくれることを―――
「オレたちは支配者となる」
もうオレたちは囚われない、オレたちが支配する番――
「自由を奪った奴等の残党に…オレたちを裏切った姉さんの仲間たちに…何も知らずのうのうと生きている愚民どもに…評議員の能無しどもに……全てのものに恐怖と悲しみを与えてやろう!!!そして全てのものの自由を奪ってやる!!!オレたちが世界の支配者となるのだァァァああアァあァ――!!!」
その姿は嘗て共に過ごした弟分の可愛らしい顔ではなく…完全に狂い、堕ちた者の顔と変わり果てていた。
その状態のショウを見たであろうエルザは歯を食いしばり堪える。まただ、まだここでこの怒りを露わにするわけにはいかない。
「――がっ」
縛られてないであろう足で弟分であった男の顎へと膝蹴りをかます。
倒れていくショウ、そして自身を縛られている縄を噛み千切り、塞がっていた両手を解放する。
「…なにをすれば人はここまで変われる……!?」
自分を姉さんと慕っていた過去のショウ―――楽園の支配者となることを望んでいる狂気に囚われた現在のショウ。
「ジェラール……貴様のせいか……」
共に過ごした親友に、静かな怒りを持つ妖精女王――エルザは行動を移した。
こことの、決着を付けるために。
「―――あははははっ」
「ジェラール様?」
「ふふふ…やはりエルザはいい女よ…実に面白い」
玉座に腰を下ろし、フードの陰で顔が見えない女性――ジェラールは笑う。
ヴィダルダス・タカは目の前の宿主を見て眉をひそめる。
「私が勝つか――エルザが勝つか」
まるで友達との遊びを楽しんでるかのような笑い声がその部屋に響く。
「楽しもう、生と死…そして過去と未来を紡ぐ楽園のゲームを」
「し…しかし…評議員の動きも気になりますな」
もし評議員がこちらを攻めてくるようなことがあれば、この計画は成功できるかわからなくなる。
いくら報酬があるとはいえ、闇ギルドである髑髏会の自分たちでもタダじゃすまないことになるに違いない。
――それなのに目の前の主はただ嘲笑する。
楽園の塔にいるジェラールに従う兵士達は侵入者を発見した。
そして、その者達の返答を期待していなくとも、問いかける。
「なんだ貴様等は――――!!!」
「なんだ貴様等はァ…だと!?上等くれた相手も知らねぇのかョ!!!」
「うわっ」
「ぬぁ」
兵士たちが立っていた橋を火が纏った拳で破壊し、崩れていく兵士達と橋――
「妖精の尻尾だバカヤロウ!!!!」
開戦の卸は炎とともに上がった。
「開け!!!巨蟹宮の扉!!!キャンサー!!!」
「久しぶりエビ!!!」
巨蟹の星霊は敵たち――髪だが――を切り崩し。
「おおお!!」
振り下げた剣は女を切れず、代わりに水が切れた。
「え?」
「なんだコイツは!!?」
水は女の姿へと戻り、そして新たな動きを見せた。
「水流斬破!!!!」
代わりに水がその兵士たちを切り裂く。
ズボンだけを履いている黒髪の男は空中で三人ともを蹴り放った後に右拳を左の掌へと置いて己の中の魔法、氷を生み出す。
「アイスメイク”大槌兵”!!!!」
そして氷の巨大な槌はその三人の兵士と下にいる者諸共を巻き込み、叩き潰す。
これこそ妖精の尻尾――一人は違うが―――ただの兵士では敵わないであろう強さを持つ魔道士。
大方の敵を片付け終わった後、上への扉は開かれる。
「何か扉が開いたぞ!!!」
「上へ来いってか?」
場所は玉座の間へと戻る。
「ジェラール様一体何を!!?侵入者をひき入れるなんて!!!」
「言ったでしょう?これはゲームだと。奴等はステージをクリアした、それだけの事――面白くなってきたわね」
「しかし儀式を早めなくてはいずれ評議員に感づかれますぞ」
「ヴィダルダス…まだそんな事を心配しているの?―――止められやしないわ」
まるでもう確定しているようなその物言いと、フードの下から見れる女性の嘲笑。
混沌は、まだ大きく動き始めていく。
塔の仲へと上がったナツ、ルーシィ、グレイ、ジュビアはエルザと再会は果たした。
何故かエレメント4のジュビアが居ることにエルザが心の中で疑問に思うも、すぐに彼らに避難しろと言った。
だが、ナツは自身の相棒であるハッピーが捕まっているとそのエルザの言葉を切り、どこにいるかわからない相棒を求めて走り去った。
止める間もないその行動力は流石はナツ・ドラグニルだ。
そのナツを追いかけようとする仲間を、エルザは背中を向け阻止する。
そして言う、”これは私の問題”だと。巻き込みたくないと。
「もう十分巻き込まれてんだよ。あのナツを見ただろ」
それでも、ダメだ。お前たちとは関係のないこの出来事を―――これ以上巻き込めたくない。
「あいつらエルザの昔の仲間って言ってたよね、でもあたしたちは今の仲間――どんな時でもエルザの味方なんだよ」
そう語るルーシィは覚えている。幽鬼の時、エルザが自分の為に、仲間のために身を挺して守ってくれたことを、その時言ってくれた言葉を覚えているからこそ、目の前にいる仲間を言う。自分たちは味方だ、と。
若干一名だけまだ仲間ではない、とツッコミをする者はいないが。
「らしくねーなエルザさんよォ…いつもみてーに四の五の言わずついて来いって言えばいーじゃんョ――オレたちは力を貸す。おまえにだってたまには怖えと思うときがあってもいいじゃねーか」
仲間の自分を想う言葉に静かに涙を流す、まだ流せるであろう左目の涙を。
この戦いは、自分はおそらくもう帰れないかもしれない。
だから…
「だから私がが存在しているときに全てを話しておこう」
そして明かす、ここはどういう場所だと。
この”Rシステム”で行われていた建設と、それをあたらせてた自分たちのことを。
――『自由の為に立ち上がれぇぇ!!!!』
自分たちの自由の為に立ち上がり、戦いを始めたことも。
傷ついた仲間もいた、亡くなった仲間も居た…。
だが、勝利を果たした。
自分たちは、ついに自由になれたのだ。
『行こう!ウォーリーたちが奴等の定期船を奪ったの。この島から出られるんだよ!!』
『エ…ルザ…』
自分の親友であるジェラールに抱きつかれ、そしてジェラールは語る。
『もう逃げる事はないんだ』
『え?』
『本当の自由はここにある』
そう告げて歩き出す親友に疑問に持つ幼き頃のエルザ。
『ジェラール?何言ってんの?一緒に島から逃げようよ―――』
―――エルザ、この世界に自由などない
その声音は薄暗く思えた。
『私は気づいてしまったんだ、私たちに必要なのは仮初めの自由なんかではないの』
『本当の自由――ゼレフの世界よ』
だが、エルザはジェラールをみんなのところへ連れてこの島から出ようとするも、ジェラールから拒まれる。
ジェラールを止めようとしても、今の彼女はいつ覚えたかわからない魔法の使い方で自分を阻止する。
瞬時で生み出した魔力でできた手で自分の案を賛成しないエルザの首を締め、「お前はもういらない」と友ではなく物として扱う言葉を吐くジェラール。
『わかってると想うけどこの事を誰にも言うな。楽園の塔の存在が政府に知れるとせっかくの計画が台無しだ。バレた暁には私は証拠隠滅の為この塔及びここにいる全員を消さなくちゃならないの。おまえがここに近づくのも禁止よ。目撃情報があった時点でまず一人を殺す。―――そうね、まずショウあたりを殺すわ』
『ジェラ…ル』
まるで悪の化身のように変貌した自分の親友に涙を流す。
求めていた未来が、壊されていく音が聞こえた。
『それがお前の自由だ!!仲間の命を背負って生きろエルザァァァァ―――!!あはははは!!!』
まるで自分が苦しむ様を見て喜ぶ悪を―――
「私は…ジェラールと戦うんだ…」
故に、決意する。
親友だったジェラールと戦い、絶対に止めてみせる、と。
グレイはエルザの先ほどの発言に疑問を持つ。
――この戦い…勝とうが負けようが私は表の世界から姿を消すことになる。
(…あの言葉が妙に引っかかる)
エルザが”今の仲間達”に過去のことを明かすその近くに、同じように聞いていた”昔の仲間”が居た。
それは先ほど気絶させたショウ。
勿論そのエルザの言葉を聞いて混乱し、攻め立てるようにジェラールから聞かされたことを口にする。
自分たちの船に爆弾を仕掛けて一人で逃げ、と。
ジェラールがエルザの裏切りに気づかなかったら全員爆発で死んでいた、と。
ジェラールは言った、これが”魔法”を正しい形で習得できなかった者の末路だと。
エルザは魔法の力に酔って自分たちのような過去を全て捨て去ろうとしていることを、と。
では、その事実を誰が口にした?
「ジェラールが言った?」
「あなたの知ってるエルザはそんな事をする人だったのかな?」
今のエルザの仲間であるグレイとルーシィに言われる。
自分が慕っていた姉貴分は、そういう奴か?
「お…お前たちに何が分かる!!!オレたちの事を何も知らないくせに!!オレにはジェラールの言葉だけが救いだったんだっ!!! だから8年もかけてこの塔を完成させた!!ジェラールの為に!!」
自分たちは絶望に落とされた中、リーダーシップを持っていたジェラールの言葉が自分たちを救ってくれていた。
あの蒼くて長い髪が、優しげな表情が。
「その全てが…ウソだって?正しいのは姉さんで間違ってるのはジェラールだと言うのか!!?」
勿論エルザはこれでショウが納得してくれるとは思っていない。なにせあの後ここのことを知らないように過ごしていた自分なんか、信用はされないだろう。
否、信用する者はいる。
「そうだ」
「!!!」
その登場にショウは驚愕する。なにせ今の声は8年間共にこの苦労を分かりあったであろう仲間から放たれた言葉だから。
「シモン!!?」
「てめ―――」
「待って下さいグレイ様!!あの方はあの時グレイ様が氷の人形と知ってて攻撃したんですよ」
「何!!?」
「暗闇の術者が辺りを見えていない訳がないんです。ジュビアがここに来たのはその真意を確かめる為でもあったんです」
カジノで自分たちに攻撃してきた眼帯の男に対しグレイは身を構えるがジュビアの訂正により押し留まる。
確かに、相手は暗闇の魔法で攻撃してきた。
攻撃してきた相手がそれを見えないということがあるのだろうか?…いや、ない。あったらそれは馬鹿がやること。
「さすがは噂の名高いファントムのエレメント4。誰も殺す気はなかった、ショウたちの目を欺く為に気絶させるつもりだったが氷ならもっとハデに死体を演出できると思ったんだ」
「オ…オレたちの目を欺くだと!?」
仲間だと思っていた人間は自分たちを欺くための行動をしていた。それはこの男も裏切りに等しい行為だが…
「お前もウォーリーもミリアーナもみんなジェラールに騙されているんだ。機が熟すまで…オレも騙されてるフリをしていた」
「シモン…お前…」
「オレは初めからエルザを信じてる―――8年前からずっとな」
そう告げるシモンの顔を、まるで8年前傷がついてなかったら見えていたであろう顔を幻想する。
その顔は頬を赤く染め、照れ隠しのように笑みを浮かべている男の顔を。
「会えて嬉しいよエルザ、心から」
「シモン…」
静かに、震える声でエルザは涙を流し、懐かしき友と抱き締め合う。
この再会を、心の底から喜んで。
「なんで…、みんなはそこまで姉さんを信じられる…何で…何でオレは姉さんを…信じられなかったんだ……くそぉおおおおっ!!うわああぁあぁ!!!」
それは仕方ないと言えるだろう、ショウはあの時もう絶望していた。
慕っていた姉貴分は自分たちを置いてどこかへと消えて、そして自分が信じてた仲間は今までが全てウソで。
もう、何を信じればいいのか分からなくなってしまう。
エルザは膝をついて泣く嘗ての仲間、弟分に近づいて話しかける。
「今すぐに全てを受け入れるのは難しいだろう、だがこれだけは言わせてくれ。―――私は8年間お前たちのことを忘れたことは一度もない。何もできなかった…私はとても弱くて……すまなかった」
「だが今ならできる、そうだろ?」
シモンの問いかけにエルザは頷く。
もう、あの頃の弱い自分ではない。
今なら――救えるはずだ。
「ずっとこの時を待っていたんだ。巨大な魔道士がここに集うこの時を」
「巨大な魔道士?」
「あたしもかしら?」と呟くルーシィに、シモンは続けて話す。
「ジェラールと戦うんだ、オレたちは力を合わせて。まずは火竜とウォーリーたちが激突するのを防がねば。ジェラールと戦うにはあの男たちの力も絶対に必要なのだ。火竜のナツ。そして――黄金のサイヤ人、レッド」
サイヤ人は塔の中で足を運んでいた。
最上階へと目指す道に静かにその足を進ませて。
その道場の壁から、口の形が現れて語る。
―――ようこそみなさん、楽園の塔へ
―――私はジェラール、この塔の支配者よ。互いの駒は揃った。そろそろ始めましょう――楽園ゲームを
楽しげにそう語る女性らしき声、その声はレッド自身が聞き慣れた声であり――否定してほしかったこと。
―――ルールは簡単………私ははエルザを生贄としゼレフを復活の儀を行いたい――すなわち楽園への扉が開けば私の勝ち。もしお前たちが阻止できればそちらの勝ち。
そして自分の仲間である緋髪の騎士を生贄にするという聞き慣れた声から聞かれた単語に歯を噛みしめる。
(アイツが言っていたのは本当だと分かってちゃあいたが…クソが、胸クソ悪い)
自分が世話したりされたりしている居候のことを思い浮かべてしまう。この声は、その居候と全く同じ声なのだから。
(…これがアースランドのジェラールか…)
エルザの中に静かな怒りがあるようにレッドも静かに自身の中の怒りを燃やしていた。
―――ただ…それだけじゃあ面白くないわね。こちらにも3人の戦士を配置するわ。そこを突破できなければ私に辿り着けない。…つまり3代9のバトルロワイヤル
「…ほう?」
その言葉を聞いてレッドは静かに呟く。
「なんだ…簡単じゃねぇか…倒すだけならよ」
―――最後に一つ特別ルールの説明をしておこう。評議院が“衛星魔法陣”でここを攻撃してくる可能性があるわ。全てを消滅させる究極の破壊魔法――”エーテリオン”よ
エーテリオン――別名”超絶時空破壊魔法”。
大層な名前ではあるが、その魔法の威力は名前に恥じぬ物だ。
多くの魔法属性を融合されており、威力次第では国一つを破壊できるほどのものだ。
故に、エーテリオンは評議員の最終兵器として保有しているのだが…その威力は”Rシステム”などよりも危険性がある魔法。禁忌魔法”煉獄砕波”よりも巨大な威力をしているからこそ使うことを避けている兵器だ。
危険故に、評議員の9名の賛成票がなければ撃てない代物。
「…やっぱり、あのジークレインはジェラールと繋がっているのか」
おそらく、ジェラールがそれを口にしたのはジークレインから聞いているから、だろう。
それならば今までジークレインから感じていた気と今上から感じる気が似ているのは分かる。
―――残り時間は不明…しかし、エーテリオンが落ちる時………それは全員の死―――勝者なきゲームオーバーを意味する。さぁ、楽しもう?
その言葉を最後に口は消えた。
「…こっちのジェラールは性格悪いんじゃねえの?…まぁ…その根を叩き直せばいいだけか」
レッドはそう呟くと自身の手を鳴らして上へと顔を向ける。
「待っていろよ、こっちのジェラール」
―――てめえがどこのギルドの仲間に手を出してんのか、教えてやる
静かに、ただ静かに自身の中の気を上げて歩き出す。この戦いを終わらせるために。
サイヤ人は闘いを好むが、この茜色のサイヤ人はこの戦いを一刻も早く終わらせようと行動している。
それは望んだ戦いではない、それに悲劇を残すような戦いを好まない故に。
彼は、終戦へと迎えるために配置されている戦士たちの元に向かうのだった。
「―――あれ?もう戦いが始まっている?3人も?…オレの出番は?」
――――向かうのだった。
後書き
8/13日にて修正、一日で文を欠けていることに気づくダメな貝殻です。すんません…次回をお楽しみに!
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