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ねここい

作者:あちゃ
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第10話

 
前書き
大神君等のバカンス編突入。
私もこんな青春を送りたかった…… 

 
青い海。白い砂浜。透き通る大空!
やって参りました夏の無人島へ!
白鳥さん家が所有する無人島……思っていたより整備されており、島中央に建つ別荘もかなり豪華。

本土の港で超豪華なクルーザーを見た時から、それなりに豪華だとは思っていたが、実際に目の当たりにすると声も出ないくらい凄い。
はぁ~……金持ちって本当に居るんだな。

でも吃驚したのは真田さん家も、かなりの金持ちらしいって事だ。
彼女も家もクルーザーを所有してるらしく、乗った船について白鳥さんに色々聞いたり、使い勝手の悪さを笑顔で言い合ってたり、何処ぞの令嬢感を出していた。

……男だから『令嬢』は変か?
いやでも……何処から見ても女だしなぁ……
うん、真田さんは女として意識しよう。じゃないと混乱する!

さてさて、小難しいことを考えるのは止めて、海に来たのだから楽しまねば!
別荘と言う名の豪邸に招かれ、各人に割り当てられた部屋に荷物を降ろし、海パンに着替えて颯爽と出陣!
ほぼ同時に右隣の部屋の蔵原も出てきた……

奴の引き締まった肉体を見て、俺は部屋へと舞い戻りたくなる。
同い年なのに、何故これ程格差が生まれるのだろうか?
筋肉隆々と言うわけでも無く、スマートに付いた筋肉は服を着ていれば鬱陶しく感じない。貧相な俺とは大違いだ……

これまで歩んできた人生の違いに後悔してると、左隣の真田さんも着替え終わり登場してきた。
俺には全く気が無い事は理解してるけども、その美しい肢体に目が離せなくなる。
ほ、本当に……男なんですか? 手術したとは聞いてるけど、名残のもっこりとかが微塵も無いですけど?

「やだぁ~大神君。ガン見しすぎぃ!」
「あ……ご、ごめんなさい!」
真田さんから指摘を受けて慌てて顔を背ける。

「別に見たきゃ見れば良いだろ? 俺に遠慮しなくて良いぞ」
モテる男の余裕なのか、彼女が本当は男だからなのか、彼氏候補の蔵原は真田さんのビキニ姿をガン見することに不満を持ってない。

「も~ぅ! リュー君の為に買った真っ赤なビキニなのよ! もっと堪能しちゃいなさいよぉ」
「くっ……卑怯者め」
蔵原の為と言い、無防備な巨乳を押し付け抱き付く真田さん……良いなぁ。

そんなラブラブカップルを横目に、1階のリビングへ行き他の人等を待ってると、早速小林先生が水着姿で登場した。
……そう、巨大三毛猫の小林先生が。

最近、巨大猫の姿に慣れてきて、仕草や表情に可愛いと感じられる様になってきたのだけど、そんな巨大猫の水着姿を見ても嬉しくない。
白くて可愛いワンピースを着てるけど、俺には猫なんだもん。

「ちょっと大神君……そんなあからさまに思春期特有の視線を向けないの!」
「全くお前は判りやすい性格してるな(笑)」
当たり前の誤解を小林先生と蔵原にされ、違うとも言えず困るのは俺。

「お待たせー」
俺が目のやり場に困っていると、2階へと続く階段から声が聞こえてくる。
そちらに目を向けると、残りの3人が各々の水着姿で現れた。

佐藤さんは競泳選手が着てそうなワンピース。
白鳥さんは黒のビキニで腰にはパステルな色のパレオを巻いてる。
渡辺さんは白地に赤いドットのワンピースで、胸にはヒラヒラなフリルが付いてる。

……でも巨大猫。
皆、巨大な猫の姿。
俺にとって思春期特有の欲望を満たせる姿に見えるのは本当は男の真田さんだけ。

「もう……聞こえてたわよ大神君。君の嫌らしい視線攻撃の事は♥」
「まったく……今先刻(さっき)指摘されたんだから、少しは遠慮しろよな大神」
「やれやれですわね。ここまであからさまな視線を向けられれば、諦めも付きますわ(笑)」

俺からの視線を受けて、3人の巨大猫は恥ずかしそうに階段を降りてくる。
違うのに……そう言う意味でガン見しちゃってたのは真田さんだけなのに!
せめて同じ男として解って欲しく、蔵原に目を向けると……

「仕方ないよ。4人とも可愛くて美人なのだから、ほぼ裸の水着姿を凝視しちゃうよ。男として当然の行動だし、口下手な大神流の賛辞だと思いなよ(笑)」
ち~が~う~! 真田さん以外にはイヤらしい気持ちは保って無いぃ!

「ふふふっ。じゃぁそういう事にしておきましょうよ」
「そうね……先生の言う通り。そういう事にしてやるよ」
「まぁ褒められてると思えば嬉しい……かなぁ」
「そうですわ。健全な男子として当然の態度でしょうし、褒められて文句を言うのも失礼ですからね」

小林先生・佐藤さん・渡辺さん・白鳥さんの順序で、俺をムッツリスケベとして認定していく。
間違っちゃいないが、今回は違うのに!
でも……皆さんから嫌悪の感じは受けないし、やっぱり多少は好かれてるのか?

「さぁ、海に行きますわよ」
対応に困ってると、白鳥さんが俺の手を掴み屋外へと(いざな)う。
……始めて彼女等に触れたが、触った感じは人の……女の子の手だ!
俺から見ると、毛だらけの肉球ハンドなのに、触ると柔らかい女の子の手だ。

そうか……見た目だけなのか!
じゃぁ触ったら、胸やお尻も毛だらけじゃないって事だな。
まぁ無許可で触ったら怒られるだろうけど……

あ、でも好感度も上がってきてるし、もしかしたら触っても怒られないかも?
いやいや……怒られるに決まってる。
折角少しずつながら好感度を上げてきたのに、大幅に下げてしまっては元も子もない。

なお、佐藤さん『♥6858』・白鳥さん『♥6996』・渡辺さん『♥6841』・小林先生『♥6840』となっている。
これは来る途中のクルーザー内で計測した数値だ。

未だにMAX値が判らないけど、少しでも上げておいたほうが良いだろう。
有利になることはあっても、不利になることはないはず……
ただ……あの馬鹿()()のアイテムだからなぁ。






「到着!」
「船から見た浜辺も綺麗だったけど、直接来るとより綺麗ね!」
「こらこら、あまりはしゃぎすぎて怪我をしない様にね」

活発な佐藤さんの合図と共に、乙女チックな渡辺さんが感動を露わにし、流石大人な小林先生が注意を喚起する。
俺も羽目を外して入水したいけど……泳げないことを思い出して二の足を踏む。

「如何しましたか大神さん?」
俺の手を引いてた白鳥さんが、俺の不安げな顔を見て質問してくる。
どうしよう……格好悪くて『泳げない』なんて言えないぞ。

「大方、泳げないことを今更思い出して、海にまで踏み込めないんだろ!」
何故に蔵原は俺の思考が解るの!?
しかも言っちゃうし……皆の前で暴露しちゃうし!

「そうなのか大神?」
「え~っと……はい……蔵原の言う通りでございますです佐藤さん」
嘘吐いても速攻でバレる状況……素直が一番サ(やけくそ)

「あら、じゃぁ大神君には勉強と平行して夏休み中に泳ぎを教えましょう……先生が直々に♡」
「あ~ら……ゲストの先生は海で遊んで下さいまし。大神さんへのレクチャーは私が行いますので♡」
お、何だ? 俺に泳ぎを教える役目で、小林先生と白鳥さんが対立を始めたぞ?

「おいおい……この中で一番泳ぎが得意な私が教える! 先生も白鳥も水遊びをしてなよ」
「お、教えるのだったら、実力が近い私くらいがベストだと思います!」
何でこんなカナヅチ如きに水泳を教える事で、佐藤さんや渡辺さんまでも出張ってくるんだ?

「いえいえ……生徒同士で教え合って、万が一にも事故になっては問題ですから、ここは今日したる私が教えます!」
「事故の心配をするのでしたら、安全な浅瀬で水泳教室を開く大神さん等では無く、その他大勢を監視する方が効率的でしょう。私はここの海辺は熟知してますから!」

「浅瀬で教えるんだから、熟知も何も無いだろ。やっぱり一番泳ぎの巧い私が教える!」
「素人は素人なりに安全な泳ぎ方を解ってますから、私が教えるのに適してますよぉ!」
先刻(さっき)まで仲良く笑い合ってた4人が、笑顔のままだが言い合ってるのは何故?

「な、何でお前はハーレム状態になってるんだ?」
ハ、ハーレム!? 巨大猫4匹ですよ!
俺としては真田さんに抱き付かれている蔵原こそが羨ましいですけど!(巨乳で腕をサンドイッチされてる)

「ハ、ハーレムとか……そんなんじゃねーし!」
「そ、そうですわ……佐藤さんの言う通り、ただ泳ぎを教えたいだけ……ですわ」
「そうよねぇ……困ってる大神君を助けたかっただけ……よねぇ」

「そ、それじゃぁ……ここは皆で水泳を教えるって事で……」
蔵原の言葉を聞き、我に返った様に言い合いを止める4人。
結局、水木を着た巨大猫4匹に囲まれ、浅瀬でバシャバシャ泳ぎを教わることになるらしい。

「あ、蔵原君と真田さんは、私から見える範囲で遊んでてね。イチャイチャしたいのなら、部屋へ戻ってしてくれると助かるわ」
「はぁ~い、そうしま~す♥」

思春期真っ盛りの男女が一線を踏み越えない為の監視として同行したはずなのに、先生自ら蔵原と真田さんを放任認定した。
それを聞いた真田さんは可愛く答えてから、蔵原の腕を引き入水する。

南の島のバカンスってこんなん?



 
 

 
後書き
皆さんはどんな青春を送りましたか?
甘酸っぱい経験はありますか?

元男の幸ちゃん一人に抱き付かれてる状況と、
巨大猫4匹の美女に囲まれてる状況は、
どちらが幸せでしょうかね? 
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