空に星が輝く様に
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39部分:第四話 桜の木の下でその二
第四話 桜の木の下でその二
「まあそんなところだ。これから一年宜しくな」
「はい、じゃあ」
「宜しく御願いします」
「それでは早速だ」
自己紹介が終わってからの言葉であった。
「いいか?」
「はい、それじゃあ」
「今度は何ですか?」
「クラス委員とかを決めるぞ」
それをするというのである。
「いいな、それで」
「クラス委員ですか」
「他にもですか」
「そうだ。まずはクラス委員」
それから決めるのだという。委員を決めるうえで基本である。まずは長から決めるのである。
「それだが。誰かいるか?」
「誰かっていうと」
「それは」
「いないなら先生が指名するぞ」
これもオーソドックスな流れであった。最初のクラス委員は大抵こうして決まるものである。もっとも違うケースも多分にあるが。
「それでいいか?誰かいないか?」
「はい」
「やります」
しかしであった。ここで男女それぞれ一人ずつ手を挙げてきたのであった。見ればとてつもなく大柄な男とかなり小柄な女であった。
先生は二人を見てだ。まずはその名前を問うのであった。
「名前は何ていうんだ?」
「赤瀬です」
「椎名です」
二人はそれぞれ名乗った。
「クラス委員やらせて下さい」
「私も」
「よし、わかった」
志願なら問題ない。先生も満足した顔で頷く。
「じゃあ御前等二人で委員な」
「わかりました」
「それで御願いします」
「よし、クラス委員は決まった」
これで最初に肝心なことが決まったのであった。
「それじゃあ後はだ」
「他の委員ですよね」
「それですよね」
「そうだ。他のも志願を受け付けるぞ」
先生はそれもだというのだった、
「じゃあな。まずは保健委員な」
こうして先生の主導でクラス委員も全て決まった。陽太郎達は昨日椎名に言われた通りそれぞれの委員に立候補した。それで決まりであった。
「図書委員ね」
「ああ、ちゃんと立候補しただろ?」
「ええ」
そのホームルームの後で教室の後ろで話す椎名と陽太郎であった。他の面々もそこにいる。
「有り難う」
「御礼はいいけれどな」
陽太郎はそれはいいとした。そのうえで椎名に対して言うのであった。
「それよりもな」
「それよりも?」
「まさか本当に自分達から手を挙げるなんてな」
言うのはこのことだった。
「あれには少し驚いたよ」
「だから決めてたから」
「僕もね」
椎名だけでなく赤瀬も言ってきた。声が聞こえてくる位置がそれぞれ違う。
「言ったと思うけれど」
「それはね」
「いや、それでもな」
陽太郎はまだその二人に言うのだった。
「まさか本当に立候補するなんてな」
「言ったことはちゃんとするから」
「だから」
これが二人の反論だった。
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