ドリトル先生と奇麗な薔薇園
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第八幕その一
第八幕 雨と薔薇
その日は朝から雨でした、それでトミーが先生に朝御飯の時に尋ねました。
「雨ですから」
「登校はだね」
「どうされますか?」
「晴れだと歩いて行ってるけれどね」
いつもそうしています、先生はトミーに納豆をかき混ぜつつ答えました。
「雨だとね」
「いつもあれですよね」
「皆には雨衣を着てもらってね」
先生達が着けてあげるのです」
「そうして行ってるけれど」
「それで今日もですね」
「うん、僕は傘を持ってね」
「そうしてですね」
「行って来るよ」
「わかりました、ただ」
「研究室に入る時はだね」
先生もその時のことはわかっています。
「しっかりとね」
「動物の皆の足は拭きましょう」
「わかっているよ、そのこともね」
「はい、それじゃあ」
「今日も御飯を食べたらね」
「学校に行かれますね」
「それで講義もしてね」
「論文もですね」
トミーから言ってきました。
「そちらも」
「うん、昨日で論文は脱稿したけれど」
「今日からは新しい論文の執筆ですね」
「それにかかるよ」
先生はトミーににこりと笑って答えました。
「そうするよ」
「もう論文を書いて書いてですね」
「止まっていないね」
「そうなっていますね」
「うん、論文を書いているとね」
先生は納豆御飯を美味しく食べながらトミーに答えました。
「やっぱりね」
「学者としてですね」
「仕事をしているって気持ちになれるしね」
「論文からですね」
「色々と得られるものがあるから」
だからだというのです。
「凄くね」
「やりがいがありますか」
「あるよ」
実際にというのです。
「だからね」
「あらゆる分野の論文をですね」
「書いているんだ」
「そして発表していますね」
「そうしているんだ、それとね」
ここでさらにお話する先生でした、大根のお味噌汁を飲んでからメザシを見つつ梅干しをお箸で摘みました。
「今度の論文は英文学だけれど」
「祖国ですね」
「僕達のね」
「誰の論文ですか?」
「トールキンだよ」
この人の論文をというのです。
「そちらに取り掛かるよ」
「トールキンですか」
「イギリス文学と言っていいね」
「はい、もうイギリス文学の金字塔の一つを書いた人ですから」
「指輪物語を」
「ですからもうです」
「ファンタジーとか言って文学じゃないとかね」
そうした言葉はというのです。
「間違っていると思うよ、僕はね」
「だからですね」
「今度はトールキンについて書くよ」
「わかりました、そちらも頑張って下さい」
「いずれハリー=ポッターも書きたいしね」
この名作についての論文もというのです。
「是非ね」
「わかりました、ただ」
「ただ?」
「ハリー=ポッターの映画ですが」
映画のお話をするトミーでした、見ればトミーも納豆ご飯を楽しく食べています。その味はとても美味しいものです。
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