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386部分:第二十九話 壊れてしまったものその五


第二十九話 壊れてしまったものその五

「それぞれ」
「ううん、先輩とか?」
「それもあるけれど特に顧問が問題」
 椎名が指摘するのは顧問についてであった。それが一番問題だというのである。
「それが」
「顧問ねえ」
「教師は問題のある人間も多いから」
「ああ、いるいる」
「そうよね、いるわよね」
 椎名の今の言葉には狭山と津島が同時に言ってきた。顔を顰めさせてそのうえでだ。彼女に対して突っ込みを入れたのである。
「何処にもそういう教師ってな」
「いるわよね」
「この学校は殆どいないみたいだけれどな」
「いるのよね、とんでもない教師って」
「そう。教師に問題があるのは」
 椎名は何故そうなっているのかも言う。何故教師という職業に問題のある人間が多いのかもだ。把握しているのであった。
「その組織のせい」
「組織?」
 陽太郎が椎名のその言葉に顔を向ける。
「何だそれ」
「教職員組合」
 椎名は陽太郎に応える形でこの組織の名前を言ってみせた。
「それ」
「先生の労働組合みたいなものか」
「そういうもの」
「それが問題だってのか」
「大いに問題」
 椎名は言い切った。
「その組織があるからおかしくなる」
「何かそれ聞くとどっかの国の出先機関みたいだよな」
「そうよね」
 狭山と津島はここで常にニュースに出ているとあるテロ支援国家のことを連想した。その国は日本にも出先機関を置いているのである。
「あそこみたいなもんか?それって」
「つまりは」
「殆ど同じ」
 椎名は二人にこう述べた。
「っているかその国とも付き合いがある組織だから」
「げっ、先生がテロリストと付き合いあるのかよ」
「何それ」
 二人もこれには引いた。
「それってまずいだろ」
「幾ら何でもね」
「そう、かなりまずい」
 椎名も言う。
「っていうか最悪の状態」
「じゃあうちの学校の先生がまともなのは」
「そうした組織が入ってないから」
 こう陽太郎にも述べたのだった。
「いいことに」
「それでか」
「そう。だから」
「じゃあ逆に言えばその組織が強い学校は大変だな」
「実際に悲惨なことになる」
 椎名は何処か暗くなっている声で述べた。
「もう教師がやりたい放題」
「暴力振るってもか?」
「お咎めなし」
 実際にそうだというのであった。
「恐ろしいことに。どんな暴力ふるっても」
「そりゃ本当に怖いな」
「そうよね」
 狭山も津島も言葉を失ってしまっていた。
「そんな状況になったらな」
「学校にいられないわよ」
「だからおかしくなっている学校もある」
 椎名はとにかくそうした教師やその組織を嫌っていた。それは実によくわかることだった。実際に彼女もそのことを隠してはいない。
「そういうこと」
「ううん、八条高校ってそういう意味でも」
「いい学校よね」
「俺の知ってる限りいじめもないしな」
「そうよね」
「いじめは」
 椎名は二人の今の言葉には反応を見せた。無意識のうちにだ。
 
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