| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

空に星が輝く様に

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

377部分:第二十八話 見られたものその八


第二十八話 見られたものその八

 椎名はすぐに彼に言った。
「部活は?」
「これからだけれどな」
「着替えてる?」
「今道場の前だけれどな」
「すぐに戻って」
 こう彼に告げる椎名だった。
「すぐに」
「すぐにってどうしたんだよ」
「部活は遅れるわよね」
「用事があればな」
「今その用事ができたから」
 こう陽太郎に言うのである。
「だから」
「できたって。一体何がだよ」
「すぐに体育館裏に向かって」
 陽太郎にこうも告げた。
「今すぐに」
「体育館裏か」
「私も今向かってるから」
 見ればだった。椎名は携帯で陽太郎に話をしながら廊下を歩いている。既に星華達に囲まれた月美の姿は見えない。だが彼女を追いかけていた。
「だから」
「一体何があるんだよ」
「行けばわかる」
 こう答える椎名だった。
「多分私の方が先に着くから」
「そうなのか」
「そう。そこで合流して」
 まずはそれからだった。
「後は私の言うこと聞いて」
「御前の?」
「そう。絶対に軽はずみな行動はしない」
 釘も刺した。だが陽太郎はその釘がわからずにだ。こう問い返した。
「軽はずみって何がなんだ?」
「来ればわかる」
 今はこう言うだけの椎名だった。
「来れば」
「そうなのか」
「そう、来ればわかる」
 椎名はまた陽太郎に告げた。
「だから。来て」
「何かわからないけれどわかったよ」
 こう返す陽太郎だった。
「それじゃあな」
「うん、じゃあ」
「今から行くな」
 陽太郎はこう言ってだった。そのうえで部活仲間に遅れると告げて体育館裏に向かった。その途中でこう呟くのだった。
「一体何なんだろうな」
 彼はまだわからない。しかしだった。体育館裏に向かうのだった。
 そこに着くとだ。もう椎名が立っていた。その入り口にだ。
 その彼女にだ。陽太郎はすぐに問うた。
「おい、それで何があったんだよ」
「静かに」
「静かに?」
「そう、静かに」
 こう陽太郎に告げる椎名だった。
「今は」
「一体何があったんだ?」
「だから見ればわかる」
 ここでもこの言葉を告げる椎名だった。
「それと」
「それと?」
「赤瀬達も来るから」
 彼等もだというのだ。
「三人も」
「ってことは狭山と津島もかよ」
「そう」
 その通りだというのである。
「来るから」
「それでも静かにか」
「そういうこと」
 また言う椎名だった。
「それは守って」
「わかったよ」
 またこう言う陽太郎だった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧