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空に星が輝く様に

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375部分:第二十八話 見られたものその六


第二十八話 見られたものその六

「コーヒーと御飯は」
「合わないか」
「そう、合わない」
 こう陽太郎に答える。
「どうしても」
「そういえばそのコーヒーって甘いよな」
「かなり甘い」
「だから合わないか」
「コーヒーにはパン」
 椎名は言い切った。
「御飯の時は最後に飲む」
「まあそうだな」
 その通りだと頷く陽太郎だった。
「コーヒーはな」
「そういうこと。コーヒーの飲み方も案外難しい」
「そういえば愛ちゃんって」
 月美もここで言う。
「あれよね。コーヒーは普段は」
「お砂糖もクリームも入れない」
「ブラックが好きよね」
「それかウィンナー」
 それもだと言うのである。
「あれも好き」
「ああ、あの生クリームを乗せたコーヒーだよな」
「そう、それ」
 また陽太郎に対して答える。
「それも好き」
「椎名ってコーヒー好きだったんだな」
「紅茶も緑茶も好き」
 お茶もだというのだ。
「どっちも」
「紅茶もか」
「そう、けれど一番好きなのは」
 どれかというとだ。彼女は言った。
「緑茶」
「それか」
「お抹茶。ジャパネスク最高」
「何でそこで横文字が出るんだ?」
「気分で」
 また陽太郎に対して告げる。
「言ってみたけれど」
「それでか」
「その通り。とにかくお抹茶はいい」
 今度は抹茶のことを話す彼女だった。
「身体にもいいし眠気も醒める」
「いいこと尽くめか」
「しかも文化でもあるから」
「茶道か?」
「茶道は日本の文化の一つ」
 これはその通りだった。千利休が確立させたものだ。彼は茶をただ飲むだけのものにせずにさらにだ。文化にまで昇華させたのである。
 椎名はだ。それを話すのだった。
「是非飲むべし」
「茶道だね」
 赤瀬が言ってきた。彼は今はペットボトルの麦茶を飲んでいる。
「それでだね」
「その通り。和菓子は欠かせない」
「それもなんだね」
「そう、お抹茶最高」
 また言う彼女だった。
「日本だけじゃなく全世界に広めるべし」
「何か椎名が言うとな」
「そうだよな」
 陽太郎と狭山が顔を見合わせて話す。
「野心の塊みたいにな」
「そう聞こえるよな」
「野心。それはある」
 その通りだと返しもする椎名だった。
「日本のよさを全世界に伝える」
「いい野心だな」
「だよな」
 陽太郎と狭山はそうした野心はいいとした。野心といっても色々である。何も世界征服や権力者になるとかそうしたものばかりではないのだ。
「お茶もそうか」
「そうなるんだな」
「その通り。コーヒーや紅茶にはないもの」
「だよな」
「それはな」
 これは他の面子にもわかった。
 
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