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ドリトル先生と奇麗な薔薇園

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第七幕その一

               第七幕  日本と薔薇
 先生は今は研究室で論文を書いています、勿論動物の皆も一緒ですがその皆が先生にこんなことを言いました。
「和歌には薔薇ないよね」
「平安時代の和歌とかにね」
「万葉集は奈良時代だけれどないし」
「勿論平安時代の和歌にもよね」
「この前話したと思うけれどね」
 論文を書きつつです、先生は皆に答えました。
「実際にそうだね」
「そうだよね」
「和歌に出るのは桜や桃、梅が多いね」
「あと菊」
「そうしたお花だね」
「菖蒲や菫や紫陽花や皐も合いそうだけれど」
 それでもというのです。
「薔薇はないよね」
「どうもね」
「うん、薔薇と和歌はね」
 どうしてもというのです。
「関係がね」
「薄いよね」
「どうしても」
「欧州の詩と違って」
「文学でも薔薇が出るのはね」
 それはといいますと。
「比較的新しいね」
「日本人はお花かなり好きだけれどね」
「藤なんかも好きよね」
「けれど薔薇になると」
「日本古来のものって雰囲気はないわね」
「漫画でもね」
 こちらのジャンルでもというのです。
「ベルサイユの薔薇のお話を前にしたけれど」
「少女漫画ね」
「少女漫画とかで出て来るわね」
「それもかなり」
「そんなイメージよね」
「そして昔の日本を舞台にした漫画だと」
 少女漫画でもというのです。
「どうしてもね」
「うん、ないね」
「どうにもね」
「そうした漫画でも昔の日本が舞台だと」
「どうしても」
「そう、ないんだよね」
 本当にと言う先生でした。
「背景とかに出ることも」
「源氏物語に薔薇とか」
「枕草子でも伊勢物語でも」
「あと戦国時代でもね」
「薔薇が出るのは考えられないわ」
「どうしても」
「うん、戦国時代でも薔薇はね」
 先生はこちらの世界の薔薇のお話もしました。
「縁がないよね」
「織田信長さんと薔薇とかね」
「全然連想しないね」
「武田信玄さんでも上杉謙信さんでも」
「伊達政宗さんでも」
 本当にどの戦国大名にも薔薇は合わないというのです。
「どうにもね」
「勿論江戸時代でもだし」
「幕末だってね」
「新選組で薔薇とか飾ったから」
「坂本龍馬さんでも」
「龍馬さんに薔薇だね」
 そう言われてです、先生は想像しようとしてみました。薔薇に囲まれているあの着物に靴の恰好の坂本龍馬さんをです。
 ですがどうしても想像出来なくてこう言いました。
「うん、全くね」
「想像出来ないよね」
「薔薇と一緒にいる龍馬さんとか」
「どうしても」
「あの人と来ればお花より海だしね」
 坂本龍馬さんならというのです。
「あとやっぱり日本人だからお花だと菊とか桜かな」
「そんな感じだよね」
「あと新選組は桜?」
「散る感じが日本の武士道で」
「そうなるかな」
「そうだね、けれど薔薇になると」
 幕末でもというのです。 
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