レーヴァティン
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第六十四話 あやかしその二
「ここまで多くの人がいてです」
「栄えているっちゃな」
「そうです。海がなくとも」
「そうっちゃな」
「お塩は必要です」
またこう言った紅葉だった。
「それは。ただ」
「ただ?どうしたっちゃ」
「湖は湖でいいことがあります」
「ああ、淡水だからっちゃな」
「はい、最悪でも一旦沸騰させて消毒すれば」
「飲めるっちゃな」
「そうです、海にいる時とは違い」
淡水だからだというのだ。
「私達が今いる湖のお水も飲めます」
「だから喉が渇いたらっちゃ」
「最悪でもです」
「お水を沸騰させればっちゃ」
「飲めますので」
「海水は人間は飲めないっちゃ」
飲むと喉が塩のせいでさらに渇きさらに飲まずにいられず悪循環に陥ってしまうのだ、だから海で遭難した時は渇きにも悩まされるのだ。
「到底」
「そうです、ですから」
「この島に海がないこともっちゃな」
「悪いことばかりではありません」
「そうした島ということっちゃな」
「そう考えればいいかと」
まさにという口調での言葉だった。
「この島は」
「そうっちゃな」
「とにかく塩はです」
「岩塩っちゃな」
「はい、塩田ではなく」
日本に酷似した島だがそこは日本とは違うというのだ。
「そう割り切ってです」
「そしてっちゃな」
「これよりです」
「志摩に向かうっちゃな」
「そうなります」
「そうっちゃな」
「志摩ですが」
紅葉は今度はこの場所の話をした。
「非常に景色が素晴らしく」
「そしてっちゃ」
「海の幸、湖の幸ですね」
海はないのですぐに訂正した。
「それが豊富な場所です」
「伊勢以上にっちゃ」
「はい、まさに湖の幸ならば」
「豊富にあってっちゃ」
「楽しめます」
「そうっちゃ。では伊勢海老は食べたっちゃから」
それでと言う愛実だった。
「車海老を食べたいっちゃな」
「その海老をですか」
「実は大好物っちゃ」
「そうですか。それは私もでして」
「あんたもっちゃ」
「祖母が名古屋生まれですから」
紅葉は愛実に微笑んでこう話した。
「ですから」
「ああ、名古屋っちゃからな」
「海老料理をよく作ってくれてまして」
「それでっちゃ」
「はい、私も好きです」
普通の海老を使った料理もというのだ。
「それもかなり」
「そうっちゃな」
「天婦羅にしてもエビマヨもチリソースも」
「では天むすもっちゃ」
「あとお寿司も。勿論天婦羅にした方のお寿司も」
こちらもというのだ。
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