英雄伝説~灰の軌跡~ 閃Ⅲ篇
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第58話
ジオフロントの探索を開始したリィン達は時折襲い掛かってくる魔獣達を撃退しながら奥の端末がある場所に到着し、ティオに連絡をし、ティオの指示通りアリサは端末を操作した。
~ジオフロントB区画・”SⅡ”~
「エイオンシステム起動――――位相空間にアクセス。リアルアバターを展開します。」
端末の映像に映っているティオが操作すると端末から何かの光が漏れ始めた。
「なあああっ!?」
「こ、これは……!!」
突然の出来事にリィン達が驚いていると何と端末の傍に透き通った身体のティオが現れた!
「―――上手くいきました。ちゃんと見えていますよね?」
「ティ、ティオ主任………」
「げ、幻術………ではないんですよね?」
「ふふ、エイオンシステムの応用で心的イメージの空間投影を行いました。外観は最新の画像データで補正―――財団で研究中の最新技術になりますね。」
「凄い………」
「ええ……まさかここまでなんて。」
「うふふ、さすがはエプスタインね。」
「はい。是非RF(我が社)も採用したいシステムですわ。」
「仕組みはサッパリだがとんでもない事はわかるぞ……」
ティオの説明を聞いたアリサとセレーネは驚き、レンとシャロンは感心し、マキアスは疲れた表情で呟き
「やれやれ、まさか人の手でヴィータとグリアノスの真似事なんて。」
「あ、あはは……魔女の立場がないわね。」
「この調子じゃ下手したら、その内”科学”で魔術に関わるあらゆる現象が実現する日が来るかもしれないわね。」
「我々の世界――――”ディル=リフィーナ”の遥か昔も、このような技術があったのかもしれませんね……」
「そうですね………もしかしたら魔導技術の応用でもこのような事ができるかもしれませんね。」
科学の力で魔術によって起こせる現象を実現した事にセリーヌは溜息を吐き、エマとエルファティシアは苦笑し、サフィナとセシリアは真剣な表情で考え込みながら推測を口にした。
「――――とにかくこれで疑似的にエマさんのサポートが可能です。さっそく始めましょう。」
「はい、わかりました……!」
そしてティオとエマがそれぞれ魔導杖を取り出して探索を開始するとジオフロント全体に何かの光が連続で輝き始めた。
「ええっ……!?こ、これは一体……!」
「ジオフロントのフロア全体が光を……」
「――――ジオフロントを通してクロスベル全土の霊脈の動きを調べているのか。」
突然の出来事にアルフィンが驚き、エリゼが呆けている中事情を察したアリオスは静かな表情で推測を口にし
「ええ――――周辺のクロスベル全土の霊脈の動きも感じられます……!」
「エイオンとの連動完了――――しばらく広域サーチを続けます。どこかに大量の霊子エネルギーの”動き”があるはず―――何とか捉えてみてください。」
「ええ、任せてください……!」
そしてエマはティオの協力の元クロスベル全土の霊脈を調べ始めた。
「ふう……何とか上手くいきそうですわね。」
「はい、あとはエマさんとティオさんに任せましょう。」
「ああ、終わるまでしばらく待機するとして――――」
その様子を見ていたアルフィンやエリゼ、マキアスが安堵の表情で呟いたその時何かの気配を瞬時に感じ取った旧Ⅶ組メンバーとエリゼ、アルフィン以外の全員――――リィン達はそれぞれ血相を変えて背後を警戒した。
「この気配は――――」
リィンが呟くとリィン達の背後に魔煌兵が3体現れた!
「えっ……!?」
「あれは――――!」
「魔煌兵ですか……!」
「へ~……あれがヴァイス達の話にあった”魔煌兵”とやらか。感じられる力といい、遺跡に眠っている魔導人形達の中でも上位クラスね。」
「かつてのクロスベル動乱時、クロイス家がクロスベルの霊脈を利用して操作していた魔導兵達とも桁違いの力を秘めているようだな。」
魔煌兵の登場にアリサが驚き、真剣な表情を浮かべて呟いたサフィナとセシリアの話を聞いたエルファティシアとアリオスは警戒の表情で魔煌兵達を睨んだ。
「昨日現れたのとは違う―――見た事もないタイプだわ!」
「チッ、こんな時に……!」
「それに、”こんな時”に現れるなんて果たして偶然なのかどうか怪しいわね。」
「そうですわね……現れるタイミングが余りにも絶妙ですから、”道化師”達の罠を疑いますわね。」
アリサが警戒の表情で魔煌兵を睨んでいる中セリーヌは舌打ちをし、レンの考えに同意するようにシャロンはレンの推測の先を口にした。
「皆さん………!」
「今、サーチをやめると正確なデータが……!」
「エマ君達の邪魔はさせない!」
「ああ、ここで撃破する。相手は3体だからこちらも4人3組に分かれて各自、協力して撃破してくれ!―――レン教官、メンバーの組み合わせの判断をお願いします!」
「了解したわ!―――――左の相手はアリサお姉さん、シャロンお姉さん、マキアスお兄さん、レンで、右の相手はエルファティシアお姉さん、セシリアお姉さん、サフィナお姉さん、アリオスおじさんで、真ん中の相手は残りのメンツ――――リィンお兄さん、セレーネ、エリゼお姉さん、アルフィン夫人よ!」
「わかりました!―――各自、レン教官が今言ったメンツで協力して魔煌兵を撃破してくれ!」
「おおっ!!」
そしてレンが瞬時に考えたメンバーはリィンの号令に力強く頷いた後それぞれが相手をする魔煌兵達の元へと向かって、戦闘を開始した!
「行きましょう――――ラジカルスキーム!!」
仲間達と共に魔煌兵との戦闘を開始したアリサはブレイクダメージの威力が上がるブレイブオーダーを発動して自分達のブレイクダメージ率を高め
「行きますわよ――――シャドウステッチ!!」
シャロンは先制攻撃代わりに電光石火のような速さでダガーで敵に斬りつけた後鋼糸による締め付けの追撃をした。
「ヤァァァァァ……ッ!」
「そこですわっ!」
シャロンに続くようにレンは敵に詰め寄って大鎌による回転斬り――――ブラッドサークルで敵の足元を攻撃し、一端敵から離れたシャロンも再び詰め寄って鋼糸による攻撃を敵に叩き込んだ。
「――――――」
「っと!」
「!!」
敵は反撃に巨大な剣による薙ぎ払い攻撃を放ったが二人はそれぞれ人間離れした身体能力で回避し
「逃がさない――――メルトストーム!!」
「貫け―――メイルブレイカー!!」
アリサは炎の竜巻を発生させる矢の雨を、マキアスは貫通する銃弾を敵目がけて放った。
「!?」
「崩したわ!」
「甘々ですわ!」
「崩したぞ!」
「レンも続くわ!」
二人の攻撃によって敵が態勢を崩すとそれぞれとリンクを結んでいるシャロンとレンが追撃を敵に叩き込んだ。
「―――――――!!」
二人の追撃が終わると敵は咆哮によって攻撃力と共に体力を回復させるクラフト――――ダークロアで回復すると共に自身を強化し
「――――!」
続けて剣を地面に叩き付けて衝撃波を走らせるクラフト――――アースブレイカーを後方にいるマキアスとアリサ目がけて放った!
「キャッ!?」
「グッ!?」
襲い掛かる衝撃波を回避し切れなかった二人はそれぞれダメージを受け
「せ~の――――パワフルスイング!!」
「こんなのはいかがですか?――――絶!!」
敵が二人を攻撃している間にレンとシャロンは左右から襲い掛かって同時に攻撃を叩き込んだ。
「!?」
「崩したわ!」
「そこだっ!」
「崩しましたわ!」
「もらった!」
レンとシャロンの同時攻撃によって敵が再び態勢を崩すと二人とリンクを結んでいるマキアスとアリサがそれぞれ遠距離から追撃をした。
「切り裂いてあげる♪――――羅刹刃!!」
「見切れますか?―――――ブラッディクロス!!」
二人が追撃を終えると敵に休む暇を与えないかのようにレンは大鎌による連続斬撃で、シャロンは縦横無尽にかけながら鋼糸とダガーによる攻撃を敵に叩き込んだ。
「―――――」
アリサ達の攻撃によってダメージが積み重ねって来た敵は回復する為に再びクラフトを発動しようとしたが
「させないわよ―――――冥界の叫びよ――――マインドクラッシュ!!」
「!?」
クラフトを発動する瞬間レンが指を鳴らすと敵の足元から瘴気の爆発が起こり、それをまともに受けた敵はクラフトを中断させられると共に怯んだ。
「レン皇女殿下、お下がりください!」
「!!」
「―――お嬢様達に仇名す方達は今すぐお帰りを。リュストル・レア!!」
シャロンの警告を聞いたレンがその場から離れると同時にシャロンは魔術を発動し、魔術によって敵の頭上に突如現れた巨大なシャンデリアが落下して来た!
「!!??…………」
頭上から落下してきたシャンデリアを回避する暇もなくまともに受けてしまった敵は”ブレイク”状態に陥って無防備な状態をさらけ出し
「そこまでだっ!強制監察を開始する――――」
敵の状態を見て好機と判断したマキアスはショットガンによる連続射撃を叩き込んだ後敵に詰め寄って二丁拳銃による射撃で銃弾を跳弾させた後敵から距離を取り
「もう一丁!!」
「とっておきを見せてあげるわ……!気高き光よ、我が元に集え………!」
敵から距離を取ったマキアスが再び二丁拳銃による連続射撃を敵に叩き込むと同時にアリサは導力弓を変形させると共に魔法陣を展開して炎のエネルギーを集束させた。
「これで止めだ――――ジャスティス――――バレット!!」
「喰らいなさい――――ジブリール――――アロー!!」
そしてマキアスがショットガンから連鎖する爆発を起こす特殊な銃弾を放つと共にアリサが集束した炎のエネルギーを導力弓から解き放つと、それらを受けた敵を中心に連鎖する爆発とドーム型に広がる炎の大爆発が起こった!
「――――――!!??」
「己の罪を、悔いなさい――――」
二人のSクラフトによってダメージに限界が来た敵が断末魔を上げながら消滅するのを確認したアリサは敵に背を向けて静かな表情で呟いた。
「秘技――――裏疾風!斬!!」
「喰い破れ――――竜牙衝!!」
魔煌兵との戦争を開始したアリオスは先制攻撃代わりに鎌鼬を纏った斬撃と斬撃波の連続攻撃で、サフィナは竜の牙のように鋭い斬撃を突進と共に放つクラフト――――竜牙衝で攻撃した
「!?」
「崩したぞ!」
「行くわよ!――――集え、自然の魔力!リーフ=グラオス!!」
「崩しました!」
「追撃、開始します!――――踊れ、炎蛇よ!――――炎蛇咆哮!!」
二人の攻撃によって敵が態勢を崩すと二人とそれぞれリンクを結んでいるエルファティシアが自然の魔力を集束した魔力球体を、セシリアは魔力によって形成した炎の蛇を解き放って追撃した。
「行くぞ――――セイヤァッ!!」
「逃がしません―――斬!!」
エルファティシアとセシリアの魔術が終わるとアリオスは剣技―――大雪斬で敵の頭上から太刀で襲い掛かり、サフィナはクラフト――――薙ぎ払いで敵の足元を双鎌による力任せの薙ぎ払い攻撃を敵に叩き込んで敵に更なるダメージを与えた。
「――――――」
「「甘い!」」
再び接近戦を仕掛けてきたアリオスとサフィナに対して敵は巨大な剣で薙ぎ払って反撃したが、二人はそれぞれの武装で攻撃を受け流した。
「貫け、烈輝の陣――――レイ=ルーン!!」
「稲妻よ、走れ――――旋風爆雷閃!!」
そこに後方で魔術の詠唱を終えたエルファティシアは両手に集束した純粋属性のエネルギーを、セシリアは軌道上に爆発を起こす高威力の稲妻を発射して追撃をした。
「―――――――!!」
次々と重なるダメージを受け続けた敵は自身の不利を覆す為にクラフト――――ダークロアで回復すると共に自身を強化し
「―――――」
「「!!」」
近くにいたアリオスとサフィナ目がけて再び剣で薙ぎ払ったが二人はそれぞれ後方に跳躍する事で敵の攻撃を回避した。
「今の咆哮は強化と回復を兼ねた技か…………―――ならば。風よ、我等に力を――――風皇陣”黒皇”!行くぞ――――斬!!」
敵の様子を見て敵が使ったクラフトを解析したアリオスは味方の必殺率を高めると共にスピードを上昇させるブレイブオーダーを発動した後クラフト――――洸波斬で攻撃した。
「!?」
「崩したぞ!」
「行くわよ!――――炸裂せよ、鋼輝陣!イオ=ルーン!!」
アリオスが放った神速の斬撃波は敵にクリティカルヒットをした為敵の態勢を再び崩させ、アリオスとリンクを結んでいるエルファティシアが間髪入れずに敵を中心に純粋属性の魔力を炸裂させる魔術を発動して追撃した。
「大地を走れ――――玄武の地走り!!」
「!?」
そこにサフィナが地を這う斬撃―――玄武の地走りによる遠距離攻撃を敵に命中させると共に再びクリティカルヒットをして敵の態勢を再び崩し
「崩しました!」
「追撃、開始します!――――双子の竜巻よ、今こそ共に吹き荒れよ――――双竜の大竜巻!!」
サフィナとリンクを結んでいるセシリアが敵の左右から発生した二つの大竜巻を操って同時に敵にぶつけて追撃をした。
「――――――」
アリオス達の猛攻によって敵は”ブレイク”状態になって無防備な姿を見せ
「―――受けて見よ、滅びの太刀を!ハアアアアアアアア――――――ッ!!」
敵の状態を見て好機と判断したアリオスは全身に膨大な闘気を纏って跳躍した!
「吼えよ!――――剛破虎爪斬!!」
「ルリエンよ、邪悪なる者に裁きの鉄槌を――――神槍!!」
「罪を贖わせる聖炎よ、今こそ顕現せよ――――贖罪の聖炎!!」
アリオスが跳躍した後サフィナ達はそれぞれ高威力のクラフトや魔術を敵に叩き込み
「絶!黒皇剣!!」
そしてアリオスが膨大な闘気を全身に纏いながら地上に突撃すると風のエネルギーによる大爆発が起こった!
「―――――――!!??」
アリオスが放った八葉一刀流”二の型”の絶技――――終ノ太刀・黒皇をその身に受けた敵は断末魔を上げながら消滅した!
「響け――――絶唱陣”神楽”!!」
セレーネ達と共に戦闘を開始したリィンは魔術やアーツをメインとするメンバーが多い事から、駆動や詠唱時間をゼロにするブレイブオーダー―――絶唱陣”神楽”を発動した。
「サンダーストライク!!」
「氷垢螺の氷雨!!」
「えいっ!フレアバタフライ!!」
するとセレーネ達はそれぞれ無詠唱や駆動ゼロで魔術やアーツを次々と連続で放ち
「!?」
正面からは雷光のエネルギーを、頭上からは氷柱の雨を、そして足元からは炎のエネルギーを受けるという逃げ場のない怒涛の魔法攻撃を受けた敵は思わず怯み
「燃え盛れ――――滅!!」
「!?」
「崩したっ!」
「隙は見逃しません!」
その隙に敵に詰め寄ったリィンはクラフト――――龍炎撃で追撃して敵の態勢を崩し、リィンとリンクを結んでいるエリゼが連接剣の刃を伸ばして追撃をした。
「――――――」
「四の型――――紅葉切り!!」
ダメージから立ち直った敵は足元にいるリィン目がけて剣で薙ぎ払ったがリィンは抜刀と共に敵の背後へと駆け抜く剣技で回避すると共にダメージを与えて敵から距離を取った。
「えいっ!エクスクルセイド!!」
「アルカナの崩壊!!」
「メルカーナの轟炎!!」
「!?」
リィンが敵から距離を取ったその瞬間、セレーネ達は再び詠唱、駆動ゼロの怒涛の連続魔法攻撃を敵に叩き込み、セレーネのアーツは敵の足元に発生した光の十字架は光の衝撃波で、エリゼの魔術は敵の周囲に凝縮させた魔力が炸裂し、アルフィンの魔術は高熱の炎が敵を包み込んで激しく燃え上がって敵に大ダメージを与えた。
「――――――――!!」
リィン達の怒涛の連続攻撃によってダメージが重なって来た敵は回復する為にクラフト――――ダークロアで回復すると共に自身を強化したが
「エクスプロード!!」
「ホーリーバースト!!」
「!?」
アルフィンのドーム型に広がる魔導杖に搭載されている炎の爆裂魔法による特殊魔法とセレーネの光の魔力を集束させて爆裂させる魔術という2種類の高火力の爆裂系の魔法によって回復が無意味になった。
「これで止めだ!―――エリゼ、一緒に行くぞ!」
「はい、兄様!」
そして敵に止めを刺す為にリィンはエリゼと視線を交わして互いの手を強く握りしめ、凄まじい闘気を全身に纏った二人は同時に突撃した。突撃して行く闘気を纏っているリィンは”鳳”の姿を形どり、エリスは”凰”の姿を形どった。
「「比翼―――鳳凰撃!!」」
そして敵に突撃する瞬間一つとなった事で”鳳凰”の姿を形どったリィンとエリゼが敵に攻撃を叩きこんで敵の背後で武器を構え直すと闘気の大爆発が起こった!
「――――――!!??」
リィンとエリゼの協力技――――比翼鳳凰撃によって止めを刺された敵は悲鳴を上げながら消滅した――――――!
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