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空に星が輝く様に

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353部分:第二十六話 聴かれたことその十


第二十六話 聴かれたことその十

「それだけでも楽しくなるから」
「そうよね。服は見てるだけでもね」
「だから」
 また言う椎名だった。
「行こう」
「うん、それでどの服を見に行くの?」
「ここは冬服」
 それをだというのだ。
「それを見に行こう」
「冬服ね」
「秋はもう今だから」
「これからの服を見に行くのね」
「その通り。例えばコートとか」
「あっ、コートっていったら」
 それを聞いてだ。月美の顔がふと気付いたものになった。そのうえでの言葉だった。
「私今ね」
「今?」
「白いコート探してるの」
 そうだというのである。
「前もちゃんと包める白いコート」
「生地は?」
「できたら羊毛で」
 つまりウールでだというのだ。
「綿でもいいけれど」
「そう。じゃあコート見に行こう」
「ええ、じゃあ今からね」
「私もコートが欲しくなった」
「愛ちゃんもなの」
「つきぴーは丈の長いコートが似合うから」
 彼女はそれだというのである。確かにだ。月美はそうした服が好きだし実際にだ。それがよく似合う容姿なのも間違いなかった。
 それでだ。椎名も今言うのだった。
「私は」
「愛ちゃんはどんな感じにするの?」
「同じ」
「じゃあ丈の長いコートね」
「色が違うけれど」
 それは変えるというのである。
「色は黒にする」
「冬も黒なの」
「白と黒」
 椎名はここでもこれにこだわるのだった。とにかく月美が白ならば自分は黒だと。そう考えてそのうえで決めているのであった。
「だから」
「ううん、愛ちゃんも白とかは」
「私が白」
「それはどうかしら」
 月美は彼女があまりにも黒にこだわるのでだ。少し考えてこう言ったのである。
「お揃いの色は」
「そうね」
「うん、どう?」
「少し考えさせて」
 表情は変わらないが確かにこう返す彼女だった。
「少し」
「じゃあお店行ってからね」
「そこから考える」
 そうするというのだった。
「じゃあ今から」
「行こう」
 こうしてだった。二人はコートを見に行くのだった。そうしてその店でそれぞれコートを見ていてだ。椎名は不意に月美に言ってきた。
「ちょっと」
「何かあったの?」
「つきぴーは暫くここにいて」
 こう彼女に言うのだった。
「トイレに行って来るから」
「おトイレになのね」
「つきぴーも一緒に行く?」
 椎名は誘いもした。女の子はトイレを一緒に行くものだからだ。
 
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