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メシヤと飯屋

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第二章

「お父さんお母さん」
「んっ、どうしたんだ?」
「何かあったの?」
「メシヤ様がおられるみたいだよ」
 こう言ったのだった。
「この辺りに」
「えっ、この辺りに教会あったかな」
「どうだったかしら」
 二人は自分達の息子の言葉にまずはこう考えた。
「こうした場所には」
「ないんじゃないかな」
「そうよね、繁華街にはね」
「あまりないな」
「さっきおじさん達がメシヤとか言ってたよ」
 正志はいぶかしむ両親にさわに話した。
「そうね、メシヤが美味いとか安いとか」
「?それってまさか」
「ひょっとして」
 夫婦は我が子の言葉にまた顔を見合わせた、そうしてだった。 
 すぐに吹き出してだ、お互いに話した。
「ああ、そういうことか」
「そうね」
「メシヤはメシヤでも」
「飯屋さんね」
「そういうことか」
「食べるお話してたのね」
「そう言ってたよ」
 何も知らない正志はここでまた言った。
「確かにね」
「ああ、わかったよ」
「正志が何を言いたいかね」
 正吉も生実も二人に笑って応えた。
「そういうことね」
「それはちょっと違ったな」
「違うの?」
「それは御飯を食べるお店だよ」
 正吉が正志に話した。
「それを飯屋っていうんだよ」
「メシヤじゃなくて?」
「そうなんだ、そうしたお店もあるんだよ」
「そこはメシヤ様はおられないんだ」
「いない、美味しいものがあるけれど」
「じゃあおうどんとかハンバーグとか」
 どちらも正志の好物だ、基本好き嫌いはないので両親はこのことにはかなり助かっている。
「そういうのがあるお店なの」
「そうだよ」
 その通りだとだ、正吉は我が子に答えた。
「その飯屋は」
「そうだったんだ」
「言葉が同じでも意味が違うのよ」
 今度は生実が話した。
「世の中そうしたことが多いから」
「他にもあるんだ」
「その都度覚えていってね」
「うん、わかったよ」
 正志は母親に幼い顔で答えた。 
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