ドリトル先生と奇麗な薔薇園
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第六幕その九
「何を書いているかわからないです、しかも」
「わかる様になるとですか」
「変なことばかり書いている様な」
「はい、難しい言葉は幾らでも使えますよね」
「日本語でも」
「そうです、そんな言葉や文章ではです」
それこそとお話する先生でした。
「最初からです」
「変なことを書いていたのですか」
「あの思想家のことは僕も知ってますが」
「おかしな人ですか」
「テロを起こし権力や富び美女を求めていたカルト教団の教祖を偉大な宗教家と言ってましたし」
「ひょっとして」
「はい、日本で昔ありましたね」
「あの騒動ですか」
オーフェルさんも知っていました、その人のお話は。
「鳥の様な名前の宗教団体でしたね」
「あの騒動は酷かったですね」
「はい、そしてあの団体の教祖は」
「とんでもない人でしたね」
「教理も行動もでしたね」
「まさにカルトでしたが」
「その教祖をですね」
オーフェルさんは呆れて言いました。
「偉大だと言っていましたか」
「そうでした」
「愚かですね」
こうまで言い切りました。
「あの教理、行動はまさに偽物です」
「偽の宗教ですね」
「本当にお金や権力だけを求めていた」
「そうしたものですね」
「あの教祖は欲の塊です」
「しかしその思想家はそうしたことが一切わからず」
先生もお話します。
「その様なことを言っていました」
「しかしそうした人でもですか」
「はい、戦後日本最大の思想家と言われていました」
「おかしな話ですね」
「そうですね、正直この人はです」
「どうでもいい感じですね」
「僕は一切読む必要性を感じていません」
その思想家の本はというのです。
「その発言を読んでから」
「そうですね、では私も」
「読むだけ時間の無駄かと」
「何を書いているのかわからないですし」
「ですが福田恒存さんは違いますね」
「非常に素晴らしい文章とシェークスピアへの学識と論理です」
オーフェルさんも太鼓判を押しました。
「非常に」
「そうですね」
「ですから今回の舞台の文章に選びました」
「脚本の原本に」
「そうしました」
「素晴らしいことです、あの人のシェークスピアは」
さらにお話する先生でした。
「これ以上はないまでにいいです」
「左様ですね」
「はい、しかしです」
「しかし?」
「どうもですが」
先生はここで薔薇園を見てオーフェルさんにお話した。
「真夏の夜の夢と薔薇ですか」
「それは合わないですか」
「イギリスということなら相応しいですが」
「あの作品のお花はですね」
「菫ですね」
こちらのお花というのです。
「そうですね」
「はい、実は先日の朗読の練習ではです」
「菫の方で、ですか」
「やってみました」
そうだったというのです。
「あのお花で。ですがティターニアや妖精達のイメージをお話していますと」
作品の中で出てくる彼等のことをというのです。
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