空に星が輝く様に
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330部分:第二十五話 キャンプファイアーその二
第二十五話 キャンプファイアーその二
「売れるから」
「どっちにしてもそこに入れられたら完全に終わりなんだね」
「そういうこと。送られそうになかったら根回しするし」
椎名の特技発動であった。
「安心していいから」
「逆にあいつのことが心配になるかな」
「悪党に情けは無用」
またこんな言葉であった。
「だからいい」
「まあ僕もある程度以上はその言葉に同意するよ」
「有り難う」
「まあとにかくね」
「うん」
「西堀さんに何もなくてよかったよ」
赤瀬はこのことにほっと胸を撫で下ろしていた。そのうえで椎名にさらに尋ねた。
「それでだけれど」
「つきぴーのこと?」
「うん、今どうしてるかな」
「私達で倉庫整理を終わらせて」
「そうしたんだ」
「倉庫整理は得意」
椎名の得意ジャンルの一つであるというのだ。
「要するに倉庫番だから」
「随分古いゲームやってるんだね」
「けれど大好き」
「成程ね」
「他にはフロッピーとかちゃっくんほっぷとかロードランナーも好き」
椎名は自分の好きな古いゲームをあげていった。どれもパズルゲームである。
「ああいうゲームが」
「懐かしいね、どれも」
「チャンピオンシップロードランナー」
恐ろしいまでの難易度を誇るゲームの名前も出た。
「全ステージクリアした」
「余計に凄いね」
「うふふ」
勝ち誇る微笑みがここで出た。
「やったから」
「椎名さんってそういうゲーム好きなんだ」
「手で動かすのだったらルービックキューブも」
これまた懐かしいものを話に出してきた。
「あれも得意」
「ううん、頭の回転速いんだね」
「とにかく倉庫整理はそういうのと同じだから」
つまりパズルだというのだ。
「すぐに終わらせられる」
「そういうことなんだね」
「そういうこと。それでつきぴーと斉宮は」
「今何処にいるの?」
「キャンプファイアーの場所に向かってる」
そこにだというのだった。
「全てが終わって」
「そう、よかったね」
「終わりよければ全てよし」
椎名の言葉がまた来た。
「ハッピーエンド最高」
「そうだね。それが一番いいよね」
「そういうことだから。じゃあ」
「うん、じゃあ」
「私達も」
椎名達もだというのだった。
「それじゃあ行こう」
「僕達もなんだ」
「これまで言った通り」
「そういえばそうだね。ずっと言ってたよね」
「そういうことだから。一緒に行こう」
「僕達もフォークダンスに」
「踊れるから」
椎名の言葉はここでもぽつりとしたものだった。
「私も」
「実は僕は」
「ダンス駄目?」
「苦手なんだよね」
赤瀬の顔が苦笑いになった。椎名はその彼の顔を見上げている。そうしてそのうえで彼の顔を見て話をするのであった。身長差は五十はある。
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