空に星が輝く様に
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325部分:第二十四話 過ちその九
第二十四話 過ちその九
「あの、何ですか相手って」
「すぐにわかるさ。それじゃあな」
「あの、人を呼びますよ」
「呼んだって来るかよ。それに」
堀内はだ。ここでまた言った。
「人が来て困るのは手前だぜ」
「どうしてなんですか、それは」
「鈍い奴だな。まあいいさ」
堀内が一歩前に出た。それを見て月美は一歩退いてしまった。そしてだった。
堀内が襲い掛かって来た。月美の手首を掴んできた。
「きゃっ!」
「ほら、大人しくしろよ!」
「い、嫌です!」
必死に抵抗しようとする。
「私は。私には」
「何だってんだよ」
「決めた人がいます。ですから」
「そんなこと俺の知ったことかよ!」
これが堀内の返答だった。
「手前のことなんてな!」
「そんな・・・・・・!」
「わかったら大人しくしろ!」
右の拳を振るってきた。それで月美の腹を打った。
その一撃を受けてだ。月美の動きは止まった。
「うぐっ・・・・・・」
「どんな奴でもこれでいちころなんだよ」
堀内はうずくまった彼女を見下ろして酷薄な笑みを浮かべた。
「さて、それじゃあ楽しませてもらうか」
「陽太郎君・・・・・・」
上から覆い被さろうとしてきていた。だが何もできなくなっていた。
倉庫にだ。椎名が向かっていた。もう一人いた。
「俺かよ」
「そう」
その通りだと。陽太郎に対して言うのだった。
「だってつきぴーの仕事だから」
「手伝えっていうんだな」
「嫌ならいい」
椎名は一旦突き放しもしてきた。
「それならそれで」
「別にそんなの言ってないだろ」
これが陽太郎の返答だった。
「俺は一言もな。そんなことはな」
「じゃあいいのね」
「当たり前だろ」
そしてこう返したのだった。
「あいつが困ってたら何でも付き合うさ」
「いい返事。それじゃあ」
「ああ、早く行こうぜ」
こんな話をしながら倉庫に向かっていた。そして倉庫に近付くとだった。
椎名の耳がだ。その声を聞いた。その瞬間にだ。
即座に懐からあるものを取り出して陽太郎に言ってきた。
「これ持って」
「えっ、これって」
「特殊警棒」
黒光りするその金属のものを出して手渡したのである。
「それでダッシュで倉庫に向かおう」
「って何かあったのかよ」
「声が聞こえた」
その目が鋭くなっていた。
「今確かに」
「おい、声って」
「一刻の猶予もない」
椎名はもう多くは話そうとしなかった。
そしてだ。彼女から駆けたのだった。
「行く」
「!?一体何があったんだ?」
陽太郎は何が何なのかわからなかった。だが彼もまた椎名の後ろを追い倉庫に向かった。
堀内は月美の身体を仰向けにさせようとしていた。そうしながらだった。
「へっ、鍵はもうかけてるからな」
「そんな・・・・・・」
「誰も来やしねえよ」
このことを強調して告げたのだった。
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