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駄目な後輩に

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第三章

 いつも自分に注意するみなみにだ、笑って言った。
「どうです?あたし真面目になりましたね」
「何処がよ」
 みなみは一年生の言葉と顔にむっとした顔で返した。
「髪の毛は相変わらずだし」
「メイクとかもですか」
「まだしてるし」
「すっぴんじゃ駄目ですか」
「そう、アクセサリーもね」
 そちらもというのだ。
「完全にね」
「外してですか」
「登校してきなさい、そんなのだとね」
 まだと言うのだった。
「駄目よ」
「まだまだですか」
「校則はちゃんと守ることよ」
「三分じゃ駄目ですか」
「十分よ」
 つまり完全だというのだ。
「そんなのだと駄目よ」
「難しいところですね」
「難しくないわよ、そもそもね」
「校則はですね」
「いつも言ってるでしょ、ちゃんと守る」
「そうしないとですか」
「全く、どうして服装だけそうなのよ」
 他のことは出来てもとだ、みなみは一年生に眉を顰めさせて言った。爽やかな朝からいきなり怒っている。
「他のことは真面目でも」
「ですからこうしたこと位はハメを外してもって思って」
「真面目なことは真面目にして?」
「はい、そういうのは駄目ですか」
「学校では止めなさい」
 これがみなみの最大限の譲歩だった。
「学校を出たら幾ら派手にしてもいいから」
「あっ、そっちはですか」
「パンクにしてもヘビメタにしてもね」
「学校の外で、ですか」
「少なくともそんな派手な格好は完全に校則違反だから」
 こう言って注意し続けるみなみだった、するとやがて一年生の娘は髪の毛を金髪に染めていることとスカートの丈が普通に短いこと以外は普通になった。みなみはそのことによしと思ったが正月に住吉大社の初詣で彼女と会ってだった。その派手なギャルもギャルの極端なそれを見てだ、こう本人に言った。
「本当に学校の外ではなのね」
「はい、先輩に言われてこうなりました」
「どうかと思うけれど学校の外ならいいわ」
「じゃあそういうことで一緒にお参りしますか」
「ええ、いいわよ」
 みなみは一年生の娘に微笑んで応えた、学校の外ではみなみも何も言わなかった。それで一年生もこのことに笑ってだった。
 二人で仲良く初詣をした、そして最後はまた学校でと話してそうして別れた。みなみは別れた後不思議と心地よい気持ちだった。


駄目な後輩に   完


                2018・7・25 
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