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ドリトル先生と奇麗な薔薇園

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第五幕その十

「日本人にとっては大好きでもね」
「馴染みは新しいね」
「そうしたお花だっていう感じだけれど」
「それでも日本人ならね」
 この国の人達ならというのです。
「お花見みたいに愛でられるだろうし」
「桜の木のだね」
「そこでお酒を飲んだり和歌を詠んだり」
「そうしたことも出来るかな」
「僕はそう思うよ」
 その様にというのです。
「日本人ならね」
「和歌にだね」
「詩にも詠えるけれど」
「和歌といえばやっぱり日本だね」
「そうだね」
「薔薇を和歌に詠むんだ」
「王子はそうしたいかな」
 先生は微笑んで王子に尋ねました。
「薔薇で」
「どうかな。けれどね」
「それでもだね」
「日本の薔薇の愛で方もいいね」
「そうだね」
「うん、自然なまま愛するそれをね」
 桜等他の花達の様にです。
「いいと思うよ」
「そうだね」
「クレオパトラの楽しみ方もいいけれど」
「まさに美貌の女王らしくてね」
「そうだよね、クレオパトラと薔薇なんて」
 まさにというのです。
「名画の世界だよ」
「最高に絵になるね」
「そうしたものだよ」
 王子は先生に確かな声で言いました。
「こんないい組み合わせはないよ」
「薔薇は古代エジプトやローマも飾ってくれるね」
「歴史の花だね」
「本当にね」
 先生も王子のその言葉に頷います。
「薔薇にはそうした一面もあるね」
「神話にも出て来るよね」
「そう、ギリシア神話にもね」
「アフロディーテの涙がね」
 王子はその赤薔薇を観つつ言います、赤薔薇達はもう白い花瓶に入れられていて奇麗に飾られています。
「この赤薔薇になったんだよね」
「そう書かれているね」
「恋人の死を悲しんで」
「その涙が赤い薔薇になったんだ」
「そう思うとロマンティックだね」
「ギリシア神話らしいお話だね」
「そう、赤薔薇は愛の女神の心なんだ」 
 アフロディーテのというのです。
「美の花と言っていいね」
「クレオパトラだけじゃなくて」
「愛の女神のお花でもあるんだ」
「そうなんだね」
「他にもアルテミスのお話にも出るしね」
 この女神にも縁があるというのです。
「薔薇はね」
「その神様ともだね」
「うん、縁があるんだ」
 そうだというのです。
「薔薇はね」
「色々と縁があるんだね」
「そうだよ、そして我が国のね」
 ここでまた笑みになって言った先生でした。
「国花でもあるから」
「イギリスのね」
「そうした意味でも僕は好きだよ」
 こう王子にお話するのでした。
「とりわけね」
「先生のお国の花だから」
「イギリスに相応しいかな」
「そうかもね、日本は桜でね」
「イギリスは薔薇でね」
「それぞれ相応しいよね」
「うん、昨日はローズティーを楽しんだしね」
 昨日の午前のティータイムの時にです。 
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