脇差の秘密
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第一章
脇差の秘密
主人公はアズマと共に決戦を終えて彼女が解放したかったその人を解放することも出来た、これで万事解決だった。
だがその後でだ、主人公はアズマを彼の祖国にまで送ってから彼に顔を向けてそのうえで怪訝な顔になって言った。
「ずっと思っていたことだけれどな」
「何だ?」
「御前の武器の脇差だけれどな」
彼が戦いの時に使っていたそれはというのだ。
「また随分と切れ味がよかったな」
「あれのことか」
「ああ、普通の脇差じゃないよな」
主人公はアズマにその目を鋭くさせて尋ねた。
「そうだよな」
「わかったか、御前にも」
アズマは主人公の言葉を否定せずにこう返した。
「やっぱりそうか」
「そりゃな、それこそ切れぬもの貫けるものはないってな」
それこそとだ、主人公は彼に話した。
「そこまで凄いとな」
「わかるか」
「その辺りで売られている脇差じゃない」
侍や忍者といった東洋の影響が強い職業の者達が使っている武器だ、こうした武器も武器屋で普通に売られているものだ。
「高価な品か魔法の品か」
「それにしてもか」
「店にあるものじゃないよな」
「当然だ、俺は一国の皇子だ」
決戦前にわかったこのことについてもだ、アズマは述べた。
「それならな」
「普通のものなんて持っていないな」
「一番上の兄上が旅に出る時に持たせてくれた」
まさにその時にというのだ。
「国を継がれるな」
「その人がか」
「皇室に伝わるその脇差をな」
「皇室にか」
「古来からな。何でも東方から来た侍がこの国に来た時に時の皇帝によくしてもらったとのことだ」
「御前のご先祖様にか」
「そうしてもらったお礼にな」
まさにというのだ。
「皇室にくれたものらしい」
「そうだったんだな」
「その侍は脇差の名前を教えてくれたが」
「ああ、何て名前だったんだ?」
「虎徹といったらしい」
「虎徹!?あの刀か」
虎徹と聞いてだ、主人公は思わず声をあげた。そのうえでアズマに対して言った。
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