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拝啓デスゲームの世界からーー私達は楽しんでますーー

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迷宮区にて

「何もない所でさー、こけて自滅って……何やってるの?ニャンニャン。ねぇ、ニャンニャン??」
「るせ!!ロリコン!あと、私の名前はニャンニャンじゃない!」
「はい?私はロリコンじゃないよ。二次元であれば、可愛い人が好きなだけだ!!」
「それをロリコンというんじゃない?」
「るさい、おまえら」
「「ウィス」」
「ここでも、立場逆転しとるなぁ……」

無機質な柱しかない場所……いわゆる“迷宮区”と呼ばれる場所に人影が動いていた。人数は4人と1匹。
1匹と1人が戦っており、その少し後ろにもう1人。さらに奥に2人である。

自称二次元であれば可愛い人が好きな女の名前は、スリーピ。
ニャンニャンと呼ばれていた女の名前は、狐火。
コントをしていた2人を止めた女の名前が、スズラン。
呆れていた女の名前が、ひのき。


「っ、そこぉお!」


パリーンと、何が砕け散るような音がした。



大剣がモンスターの首と胴体を切り離し、ポリゴン粒子へとすぐさま変わる。ポリゴン粒子は、淡い光を残しながら空中に消え去る代わりに、ドロップ品であろう物がポロポロと落とした。


「てかさー。お前ら、会話すんなや。戦闘手伝えよ」


スズランが大剣をしまいながら他の3人に言う。
普通にコンビニ行って帰ってきたような感覚で話しているが、先ほどのモンスター。スズランとほぼ同レベルである。まぁ、強いて言えばスズランの方が1、2レベルほど高かったが、モンスターと戦ってもスズランのHPは1ミリも削られていない。HPの消失が死と直結するデスゲームで、ほぼ同レベルのモンスターと戦い1ミリとHPを削られていないのはバケモノというのか偉業というべきかわからないところであるが、人間業ではない事は確かであった。


「え?無理だって!あの地獄に入れと?無理無理!私、人間!アイ アム ヒューマン!」


まず、スリーピが即答する。


「面倒だったし……てか、スズラン本当に人間?」


次に狐火。半分呆れながらも、面倒くさそうに言う。


「いや、あんたのペースについていける人なんてそーそーおらんって……。強いて言えば〜バケモノぐらいちゃう?」


ひのきが呆れながら言う。そう。もうポリゴンになってしまったモンスターは、実質スズラン1人で倒したようなものである。
スリーピは狐火をからかい、狐火はスリーピと喧嘩をしており、ひのきはいつでも助けに入れるように準備しながらもスズランの戦闘を観戦していた。

同レベルのモンスターを倒したのである。まぁ普通のゲームならともかくもこのデスゲームでそれを成し遂げた。人外と言われても致し方ない。
まぁ、3者ともスズランを人外扱いしているわけだし。仲間からも人外公認である。しかしスズランは、それを認めない。スズランは


「よし、全員殺すお?」


どす黒い真っ黒な笑顔でそういった。片手には彼女の武器である大剣が握られており、いつでも鞘から抜ける状態である。


「「「すいませんでしたぁぁぁぁ!!」」」


綺麗な土下座が、スズランの前に並ぶ。3人ともこの言葉が、冗談などではなく本気であるのは知っている。スズランの辞書に、“仲間思い”という文字は載っていない。
言葉を聞いたスズランは鞘から手を離した。ふぅ〜と3人揃って溜息をつく。しかし、お忘れだろうがここはモンスターが普通にリポップするフィールドである。つまり


「グルルルゥ……」


モンスターがリポップしたのだ。しかも大量に。いくら迷宮区とはいえ多すぎる量であった。ポーションでHPなどは全回復してるとはいえ、危険な事には変わりない……のだが、空気はコメディ漫画のように軽い。彼女は自分達の剣の腕に自信があるのか、汗ひとつかいていない。

「ちょ!ヤバイって!私、人間なんだよ!?スズランと違って!!……この量どうすんのさ!」
「うわぁ……面倒くせ」
「普通の人やったら逃げようってなるんやけどなぁ……」
「ヒャッホーイ!!全員殺る!」
「「「いってらー」」」


スズランが嬉々としてモンスターの群れに特攻するが、誰1人として心配しない。スズランは100回以上モンスターの群れに特攻し、無事生還しているからだ。ある意味信用されている。
その証拠に、ほどなくして大剣でやられたらしいモンスターが次々と飛んでくる。
3人は、そのままモンスターを全てスズランにまかせ、レジャーシートをひき、持ってきたひのき特性サンドイッチを食べたい気分になったが、モンスター達がそれを許してくれない。スズランが特攻しているとは言え、モンスターの量はバグかと思われるほどに多いからだ。


正面のモンスターは、スズランが蹂躙しているが左右のモンスターはピンピンしている。お腹を空かせた肉食獣のように、モンスター達は他の3人にも襲いかかったが

次の瞬間、モンスターは消滅した。


変化があったのは、片手剣を持った右手を少し上げている狐火。状況から察するに、狐火が片手剣でモンスターを斬り殺したとしか推察できない。しかし、狐火がモンスターを殺した事が合図のように、ひのきもスリーピもモンスターの群れに飛び出し、戦闘を開始した。モンスターの残りの数が4割を切った頃、スリーピがふと思い出したように言う。


「……これってさぁ〜噂のモンスターキルってヤツかかなぁ?」
「誰か、恨まれるような事したんか?」
「される覚えは…………ありすぎて誰かわからん」


ひのき・狐火が答える。彼女達は、売られた喧嘩を片っ端からかっている。1番多いのは、問題児のスズランであるが4人とも売られた喧嘩はかう主義であるため、恨みは多々あると思われる。さて、誰かという話になった。


「トカゲ丸ってヤツに喧嘩売られたわ、そう言えば」
「……最終的には謝り倒しやったヤツがモンスターキルするわけないやろ」
「窮極獄炎真野拳はどやろ?」
「プッ!あの厨二病全開のやつか!!!」
「はいはーい。狐火も言えた事ではない件について〜」
「るっせ、スリーピ!お前も欲望そのままじゃねぇーか!」
「欲望全開で何が悪い!!」
「開き直りやがったこいつ……」
「いつものことやん」


狐火がため息をついているが、狐火はモンスターを片手剣で足と腕を切り離して斬殺している。スリーピは、かたっぱしから毒状態にしジワジワと殺しているし、ひのきはレイピアを使いモンスターを串刺しのようにして敵を倒す。えげつない倒し方である。全員がこのモンスター達をよんだ首謀者に怒りををモンスター達にぶつけているのだ。

そんな虐殺に近い戦闘を行っていると、変な事が起こっているのが理解できた。モンスターの残りの7割程度が全てスズランに向かっているのだ。それは漫画の歩けば行き先で必ず人が死ぬ死神のように、スズランというプレイヤーが存在するだけでモンスターを引き寄せているように見えるほどである。普通のプレイヤーならば、死ぬだろうがサイコパスのスズランである。同レベルのモンスターを倒しても1ミリもHPを削られなかったスズランである。


「アハッ!あはははははははは!!!Ahahahaha!」


笑顔で向かってくるモンスターを倒していた。



後に彼女らは語る。あれをサイコパスと呼ぶと、他のサイコパスの人が可愛く思えるほど残虐的だったと。 
 

 
後書き
第1話です。ザックリとキャラ紹介をいたしますと、

モンスターの群れに突撃したのが、スズラン
面倒くさい……とよく言っているのが、狐火
大阪弁なのが、ひのき
反応がオーバーなのが、スリーピ

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