心霊探偵河島
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第三章
「ここまで凄い方は」
「探偵さんもですか」
「知りません」
見たことも聞いたこともなかったのだ。
「とても」
「やはりそうですか」
「何人かと浮気している方はいました」
そうした者はというのだ。
「そうした人は。ですが」
「何百人はですか」
「一日に何度もですし」
「近親相姦もですね」
「ここまで凄い方は」
到底というのだ。
「なかったですから」
「そうですね、正直どうすればいいか」
「あのですl」
河島は男を気遣って言った。
「くれぐれも早まったことは」
「それはですね」
「しないで下さい、何しろです」
「何しろ?」
「これは貴方に見せた最悪の未来です」
「最悪の?」
「はい、貴方の中に幽体で入ってお見せした最悪の未来で」
こう種明かしをするのだった。
「浮気調査で衝撃を受けられる方も多いので」
「幽体で入られて」
「そしてこうしたものをお見せして事実が悪くても」
つまり浮気をしていてもというのだ。
「驚かれない様にしています」
「そうだったのですか」
「実はまだ一週間経っていません」
河島は男にこのことも話した。
「貴方は今私とお話をはじめたばかりです」
「そうでしたか」
「これも霊能力でして」
それの一つだというのだ。
「幻視の応用です」
「左様でしたか」
「ではこれよりです」
ここでまた言った河島だった。
「調査をはじめます」
「はい、あらためてといいますか」
「現実にです」
「では宜しくお願いします」
「結果がわかり次第ご連絡します」
河島はこう言って男の依頼を正式に受けて調査をはじめた、すると男の妻は浮気はしていなかった。だが。
その調査結果にだ、男は眉を顰めさせてこう言った。
「PCエンジンですか」
「はい、ご存知でしょうか」
「大昔のゲーム機ですね」
「そうです、そしてMSXです」
「それは大昔のパソコンですね」
「あとPC88です」
河島はこのパソコンの名前も出した。
「奥様は他にもファミコンも」
「私が子供の頃、いえ」
「もうその頃はですね」
「スーパーファミコンでした」
男の子供の頃はというのだ。
「ファミコンはもう殆ど」
「遊ばれていませんね」
「はい、とても」
「ですが奥様はそうした機種のゲームに凝られていて」
そしてというのだ。
「ご主人がお仕事の時は」
「いつもですか」
「ご自宅でそうしたゲームに励まれ」
プレイに熱中してというのだ。
「外にソフトを買いに行かれています」
「そうでしたか」
「中古ゲーム店に」
「だからですね」
「はい、よく外出もされて」
「不審な行動に見えていたんですね、僕からも」
「そうかと、そして揃えているソフトは」
それはというと。
「どうもかなりのものの様です」
「PCエンジンやMSXのですか」
「かなりのものの様です」
「そうですか、それで浮気は」
「一切されていません、ゲームに熱中しておられます」
「だといいですが」
このことには男はほっとした、かくして河島の今回の調査は終わった。そうして次の依頼を受けるのだった。
心霊探偵河島 完
2018・7・21
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