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【完結】猫娘と化した緑谷出久

作者:炎の剣製
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猫娘と期末試験編
  NO.066 ショッピングモール後の対応

 
前書き
更新します。 

 



死柄木はショッピングモールからトガとともに外にゆっくりと歩いていた。
だが、死柄木の表情はここに来る前より晴れているとトガは思った。

「それでー、デクちゃんと話すことで弔くんはなにかを得ることができたんですか……?」
「ああ。今まで何を迷っていたのか……信念に理想も最初からあったんだよ……」
「差し支えなければ教えていただけないでしょうかー?」
「ああ……てめぇもそれが目的だったんだろ?」
「はいー」

不気味に笑うトガに、死柄木も笑みを頬に刻みながらも、

「俺のやることは今までと何ら変わらない。だが、これからの俺の起こす行動はすべてに直結することになる。
『オールマイトのいない世界を創り、正義とやらがどれだけ脆弱かを知らしめる』。
……今日からそれを俺の信念と呼ぶ事にするよ」
「そうですかー……はい。とてもいいと思いますよ。オールマイトのいない世界……とっても理想的ですぅ! この、生きづらい世の中を変えてくださるのでしたら、このトガも精一杯お力になりますよー」
「そうかい……」

死柄木はトガという女のことを今一把握できないでいた。
ヒーロー殺しの狂信者でなにかしらの猟奇的な想いがあるらしくとち狂ってはいるが、思えば、冷静な一面も見せる。
だが、それでも俺達ヴィランと何ら変わらない思想を抱いている。
こいつとならうまくやっていけるかもな……。
そう思い、クックック……と暗い笑みを浮かべながらも死柄木はアジトへと戻っていく。
これから下準備があるから大変になるぞ……と。








…………一方で、出久達はそんな死柄木の偏った思考など把握できるわけでもなく、そしてこんな事態に陥るなど分からなかったために、ヒーロー達をお茶子がすぐに呼んだが、捜査してもすぐに逃げられてしまったらしく足取りはつかめなかった……。

「緑谷君!!」
「緑谷!? 大丈夫かよ!?」

と、続々とクラスのみんなが集まってくる中、もう当分は危険だという事でショッピングモールは一時閉鎖になって、出久はそのまま警察に事情聴取のために連れていかれた。
そこで待っていたのは塚内という人。

「緑谷さん、それでは死柄木弔とトガヒミコと遭遇して聞いた内容を話してもらえないかな?」
「わかりました……」

出久は塚内に促されるように遭遇した時の内容を伝えていった。
そして一通り聞き終わったのか、

「ふむ……聞く限りは彼らは一枚岩でもないみたいだね。そしてオールマイトを打倒することも相変わらずといったところか。とにかく、ありがとう緑谷さん」
「はい……。あ、いえ……僕ももっと引き留められていればよかったんですけど……」
「そんな悲観的にならないで大丈夫だよ。君はよくやってくれたと思う。市民の命を狙われてパニックも起こさずによく耐えてくれたと思っているよ。だから結果的だけど犠牲者はゼロで済んだんだからもっと元気よくやっていこうか」
「はい」

そして事情聴取は終了して、外に出てみればすっかり暗くなっていた。
さらに外で待っていた人物がいた。
その人物とはオールマイトだった。
オールマイトは塚内と出久の事を呼びながら近づいてきた。
その表情は心配の具合が高かった。

「オールマイト……なんで?」
「彼とは個人的に話すことがあってね。呼んでおいたんだ」
「そうなんですか」
「うむ。それより良かった。無事で何よりだ」

そう言いながらも出久の頭に手を置いて、

「すまなかったね。助けに行けずに……」
「いえ……」

そこで出久はある言葉を思い出す。
それは死柄木が有頂天のままで語っていた一言。

『ホントに、救えなかった人間などいなかったかのようにヘラヘラと笑ってるからなんだよなぁ!!』

その言葉が出久にはとても深く暗いものがあると感じられた。
逆恨みとも違う何かを感じられたのは、果たして……。
それで出久は思い切ってオールマイトに聞いてみることにした。

「あの……オールマイトも誰かを助けられなかったことってあるんですか……?」

オールマイトは出久のその質問に少し疑問を感じながらも答えた。

「……あるよ。今もこの世界のどこかで絶えず救いを求めている人が大勢いる。でも、私も人間だからね。すべてを救い出すというのは限界もある……。だけど、だからこそ笑うんだ。“正義の象徴”が絶えず人々の、ヒーロー達の、ヴィラン達の心を常に灯せるようにね」

それを聞いて出久もどこかで納得できる節があった。
だが、それは同時に平和の象徴が倒れてしまったらこの世界はどうなってしまうのかという、一途の不安もあった。

「彼女は死柄木の言葉を気にしている。多分逆恨みか何かなんだろうけど、オールマイトが災害現場に来て救えなかった人など今まで一人もいない……だから緑谷さんも深く考え込まないようにね」
「わかりました」
「うん。さて、それじゃそろそろお迎えだ」

警察署の扉が開いてそこには泣き顔の引子の姿があった。
引子は泣きながらも、

「もう嫌だよ出久ぅ……お母さん、心臓が破裂しちゃいそうだよ……」
「ごめんね。僕はこの通りなんともなかったから。だから……それにヒーローや警察の方々に守ってもらったから、泣かないでお母さん……」

そのまま出久は塚内の指示で部下の方に送ってもらったのであった。
それを見送った塚内とオールマイトは、

「それじゃ少し大事になりそうな話でもしようか」
「ああ」
「今回は本当に偶然の遭遇だっただろうから……そんなには大事にならなかったんだろう。だけど、今後は生徒も標的にされるかもしれないから用心をしておいたほうがいい」
「うん、分かっているさ」
「それと……緑谷さんの件なんだけどね。興味深い内容が聞けた」
「興味深い内容……?」
「うん。死柄木弔は緑谷さんの傷を治す個性とは別のオートヒール能力を知っていた。話に聞くフォウという猫の個性はほとんどが把握されていると思ったほうがいい」
「まさか……」
「ああ。生徒たちの中で一番狙われる可能性が高いのは彼女だと僕は思っている。だから少しでも対策は立てておいて損はないと思うよ」
「そうか……やはりもうあちらにも緑谷ガールの事は把握されてしまったという事なんだね。分かった。そこ等辺も会議で話し合っておくとしよう」

オールマイトはもうそれだけでオール・フォー・ワンが出久の事を狙っていることを把握した。
他にどんな目的があろうとなかろうと優先的に守らないとという誓いを立てた。

「よろしく。……まぁ強い光ほど闇が濃くなるっていうけど、雄英を離れることも視野に入れておいたほうがいいと思う」
「…………雄英教師になってまだ三か月とちょっとだぜ?」
「そうかもだが……ほら、やっぱり君には向いていないと思うからね」

それで二人は少し静かになった後に、

「……俊典」
「うん?」
「オール・フォー・ワン……今度こそ捕えような」
「うん。今度こそな……またよろしく頼むな塚内君」
「おう!」








週の始まりのホームルーム。
そこでは相澤が今回の件に関して教師陣で話し合った結果の話をしていた。

「と、まぁ……こんな事があったわけで……例年使わせてもらっている合宿先を急遽キャンセルするっことにした。当日まで行先は発表しない運びで行かせてもらう」

しおりをわざとらしく破りながらもそう言った。
それに対して生徒たちの反応はというと、様々だがまぁ仕方がないかという感じで纏まっていた。
そんな中で、爆豪が出久に話しかける。

「おいデク。てめぇ本当になにもされていないんだよな……?」
「う、うん……傷は負わなかったよ」
「そうか……あのイカレ野郎。今度会ったらぶち殺してやる」
「あ、あはは……」

話す内容は物騒だが心配されている事に嬉しく思う出久であった。

「あ、そう言えば爆豪に轟。お前たちに送った例の写真はあの後どうしたんだ……?」

切島の質問に二人は途端に油汗を浮かべながらも、

「てめぇ! いきなりあんなもんを送ってくんなや!!」
「まぁ多少は驚いたが似合ってはいたがな……」

二人の反応の差はあれど、二人の反応を見て全員はニヤニヤとしていたのであった。

「なんだぁ? てめぇら何か言いたげだな……?」
『いやいや、なにも……?』

そんな感じで時間は流れて行って、あっという間に日にちは過ぎて行ってあっという間に終業式が執り行われて、夏休みの期間に入ったのであった。


 
 

 
後書き
ちょっと映画の内容はまだ不明瞭なので入れないですけどこの後、合宿前にアニメ版の水泳やその他の夏のオリジナルイベントなどを入れていこうと思います。 
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