空に星が輝く様に
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292部分:第二十一話 見てしまったものその九
第二十一話 見てしまったものその九
「ちょっと今からね」
「わかったわ。それじゃあね」
「私達も一緒にね」
「行くわ」
三人はそれぞれ今食べているパンやお握りを急いでかき込みながらだ。あらためて星華に対して言うのであった。星華はもう食べ終えている。
「少し待ってね」
「今終わるからね」
「ちょっとだけね」
「ええ、わかったわ」
星華もお茶を一口飲んでから答えた。ペットボトルのお茶である。
「それじゃあね」
「少し待ってくれたらいいからね」
「ちょっとだけね」
「御願いね」
「わかってるわ。今度も有り難うね」
星華は立ち上がったまま座ったままで急いで食べている三人に話した。
「一緒にって」
「いいっていいって」
「友達じゃない」
「そうそう」
「それじゃあ」
三人の言葉を受けてだ。星華はさらに言った。
「文化祭がはじまったら本当に」
「アタックよね」
「それよね」
「仕掛けるわよね」
「ええ、決めたわ」
完全に意を決した顔であった。
「その時にね」
「ええ、それじゃあね」
「やってやりましょう」
「あんな奴一気に出し抜いてね」
「見てなさいよ」
月美がいた場所を見る。彼女は今はいない。朝御飯も陽太郎や椎名達と食べているのである。だから教室にはいないのである。
しかしいた場所に彼女を見てだ。そのうえでなのだった。
「この文化祭で決めてやるから」
こう言うのであった。しかし当然ながら月美はそんなことは全く知らずにだ。朝御飯を椎名達と一緒に食べているのであった。
「朝はパンよね」
「そうか?」
狭山が津島に対して言い返す。
「俺はやっぱりな」
「御飯だっていうの?」
「やっぱそれだよ」
これが彼の主張だった。見ればだ。
「このお握りだろ」
「お握りなのね」
「そうだろ、朝はやっぱり御飯だろ」
そう言いながらそのお握りを食べている。その中には。
「しかも梅干だよ」
「凄い古典的なお握りね」
「けれどそれが一番美味いんだよ」
こう言うのである。
「梅干のお握りがな」
「そういえばあんた梅干好きよね」
「ああ、大好きだぜ」
ただ好きだというのだけではなかった。その上にだった。こうした言葉までついていた。
「あっさりしてて美味いしな」
「それでなの」
「しかも梅干って身体にいいんだぜ」
味だけではないというのだ。
「疲労回復にも効くし口の臭いだって消してくれるしな」
「それでお酒の肴にもなの」
「上杉謙信だってそうしてたぜ」
朝から戦国大名の名前であった。それも軍神とまで言われた男だ。
「梅干でお酒をだな」
「あんたもそうしてるわね」
「そういう御前はサンドイッチだよな」
「ワインに合うわよ」
それでサンドイッチだという津島だった。
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