白き龍と赤き龍
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第一章
白き龍と赤き龍
蒼空龍子は白き龍の血を引く龍人だ、だが人間界において誰も彼女が龍人であることを知らずに暮らしている。
その中でだ、龍子は家で妹に言った。
「よくね」
「私達が龍人だってっていうのね」
「ばれないわね」
いつも一緒にいて可愛がっている妹に言うのだった。
「本当に」
「だってね」
「だってっていうと」
「外見は変わらないから」
それでとだ、妹は姉に話した。
「力さえ出さないと」
「ばれないのね」
「ええ、ただ普通にね」
「普通になの」
「お姉ちゃんだと可愛い女の子よ」
「いや、可愛いのは」
そう言われるとだった、龍子は顔を赤くさせて妹に言葉を返した。
「それはないわよ」
「いや、お姉ちゃん可愛いってね」
「学校でも評判なの」
「可愛過ぎて」
そのせいでと言うのだった。
「声をかけられない位にね」
「可愛いの」
「そう評判よ」
そうだと言うのだった。
「それでね、外見はね」
「可愛いかどうかはともかく人間と変わらないから」
「力さえ出さないと」
それでと言うのだった。
「ばれないわよ」
「そうなのね」
「それでね」
「それで?」
「お姉ちゃんだと大丈夫だけれど」
それでもとだ、妹は姉に念を押して言った。
「この世を乱す魔と戦う時以外は」
「わかっているわ、力は出さないわ」
龍子もこのことはわかっていて頷いた。
「絶対に」
「ええ、迂闊に力を出して」
龍子の場合は蒼い雷だ、それが彼女の力でその雷であらゆる魔を撃って倒しているのだ。
「ばれたらね」
「駄目だから」
「そう、それとね」
妹は姉にさらに言った、二人で姉の好物の果物の盛り合わせ様々な種類の果物を食べながらそのうえで話している。
「一人で背負い込むこともね」
「駄目なのね」
「私だっているじゃない」
妹は姉に自分を指差して言った。
「そうでしょ」
「駄目よ、貴女はまだね」
「力が目覚めて間もないからっていうのね」
「そう、だからね」
「大丈夫よ、私だって龍人よ」
姉と同じ一族だからとだ、妹は言うのだった。
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