助っ人は多忙
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第二章
「いや、まさかね」
「これだけの仕事がですか」
「一瞬で終わるなんて」
「まあこれ位なら」
「出来るんだ」
「まだ」
こう言うのだった。
「出来ます」
「それは凄いね。じゃあ生徒会は」
「いえ、それは」
生徒会に入ることは断った、そしてあらゆる部活もだった。
凛子は断った、彼女は常に代打専門だった。だが。
凛子は今住んでいる部屋に帰るとだ、そこにいた男にこう言った。
「今日は何もないですね」
「ああ、ないよ」
大柄でむさ苦しい中年男だ、傍にいるとそれだけで酒や煙草そして汗の匂いがしそうだ。そんな彼が凛子に言ったのだ。
「だから休んでいいよ」
「では今からお風呂に入って勉強をして」
「トレーニングは朝早くして」
「日課ですので」
「そうするんだね」
「はい、いつも通りです」
凛子はその男に不機嫌そうに答えた。
「そうします」
「料理あるからさ」
「カロリーと栄養を計算した」
「それ食べてね」
「わかりました、ただ」
「ただ?」
「お風呂とか絶対に覗かないで下さいね」
凛子は学校では誰にも見せない警戒する顔で男に言った。
「いや、俺ホモだから」
男は凛子に笑って返した。
「そんなことはしないから」
「その言葉信じられる程です」
「女の子は甘くないんだね」
「指一本でも触れたり覗いたりしたら」
それこそとだ、凛子は男に警戒を露わにさせてさらに言った。
「その時はすぐに携帯で司令と他の方々に連絡しますから」
「警務部にもだね」
「絶対にそうしますからね」
「厳しいねえ、凛子ちゃんは」
「結婚するまでは誰にもお肌を触られたくありません」
凛子は菱sの顔で言い切った。
「ですから」
「それでなんだ」
「はい、何があっても」
それこそと言うのだった。
「私に触れないで下さい」
「ホモにそう言うのもなあ」
「ホモでも誰でもです、同居するだけで」
「嫌なんだね」
「全く、結婚する人とだけしかしたらいけないのに」
まだ言う凛子だった、やはり必死に。
「どうして貴方と」
「だから仕事のパートナーだからね」
「それで貴方が女性に興味がない同性愛者だからですね」
「上も許可したんだよ」
「やれやれです、では」
「うん、御飯食べてね」
「お風呂に入って勉強して寝ます」
仕事がないからだ、そうすると言ってだった。
凛子は実際に着替えてから食事をはじめた、それから彼女の夜の日常を過ごしてベッドに入って一日を終えた。日常の彼女はこうしたものだった。
助っ人は多忙 完
2018・7・18
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