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空に星が輝く様に

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253部分:第十八話 運動会その十一


第十八話 運動会その十一

「とにかく今は汗拭いて」
「それでクラスに帰ろう」
「いいよね、それで」
「え、ええ」
 肩で息をしたまま頷く。ジャージにも汗が滲んできている。
「それじゃあ」
「立てる?」
「いける?」
「いけるわ」
 何とか立ち上がりながら三人に答えた。そうしてであった。
 クラスの応援席に戻る。皆静まり返りそのうえで星華を見ている。彼女の周りを守るようにして囲んでいる三人が彼等に言うのであった。
「星華ちゃん頑張ったんだからね」
「わかってるでしょうね、それ」
「見てたわよね」
「あ、ああ」
「見てたよ」
「それはな」
 男連中も応えはした。
「わかってるからな」
「何も言わないからな」
「それでいいんだろ」
「そうよ、言ったら許さないからね」
「星華ちゃん、座ろう」
「はい、席持って来たから」
「有り難う」
 三人に守られるようにしてだ。星華は席に着いた。そのうえで自分のクラスの点数と三組の点数を見る。どちらも彼女の思った通りの点数だった。
「くっ・・・・・・」 
 それを見て歯噛みするしかなかった。だがもうどうしようもなかった。
 優勝は三組だった。そしてである。椎名はそのトロフィーを両手に持ちながら陽太郎達に対して言うのであった。
「皆お疲れ様」
「ああ」
「椎名もな」
「私は考えただけ」
 だが椎名は今はこう言うだけだった。
「それだけだから」
「その考えで優勝できたんじゃねえか」
 その椎名に狭山が言ってきた。
「そうだろ?椎名が誰が何に出るか決めたからな」
「そうよね、それはね」
「椎名がいなかったら優勝できたかどうか」
「多分無理だったんじゃ」
「四組強かったし」
「総合力だったら四組だった」 
 実際にこんなことを言う椎名だった。
「特に女子は」
「佐藤がいるからな」
 陽太郎はここで彼女の名前を出した。
「あいつ運動神経いいからな」
「ああ、あの女子バスケ部の」
 津島はその名前を聞いてすぐに述べた。
「あの娘よね」
「あいつ昔から運動神経抜群なんだよ」
 陽太郎は津島だけでなくクラスの一同に彼女のことを話した。
「それでも。最後のマラソンはペース落ちてなかったか?」
「体力の限界」
 椎名はそこを指摘したのだった。
「だから」
「それでペース落ちたのか」
「そういうこと」
 こう言うのであった。
「けれどうちのクラスは満を持しての投入だったから」
「あいつマラソンの前にも色々と出てたしな」
「あいつ、そうね」
「佐藤な」
 彼女のことだった。
「あいつ出過ぎだったんだな」
「そう、それに」
「それに?」
「短距離に出てた」
 椎名が次に指摘するのはこのことだった。
「それで筋肉が短距離に慣れていた」
「筋肉がか」
「それで同じ日にマラソンには出られない」
「それでも出たのがか」
「失敗だった」
 そうだったというのである。
 
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