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空に星が輝く様に

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248部分:第十八話 運動会その六


第十八話 運動会その六

「だからいい。それで」
「そう。それじゃあ」
「何かあったら私が行くから」
 ここでこうも言う椎名だった。
「任せて」
「愛ちゃんが。けれど」
「四組は隣だから見られるから」
 いいというのである。今はクラスそれぞれに別れて応援をしているのである。それで三組の隣は四組となっているというわけなのだ。
「だから安心して」
「有り難う」
「御礼はいいから。とにかくそうして」
「大人しく、目立たずに」
「時として隠れるのも大事」
 椎名はこんなことも言った。
「変な難は避けること」
「避けるの」
「そう。特に今の四組はどうしようもないし」
「先生も忙しくて」
 月美は今度は担任の話もした。
「運動会の係やっててそれで」
「副担任の先生も」
「そうなの。それで今クラスに先生誰もいないから」
 それが状況をさらに悪化させていたのである。監督する者がいないと人はどうしても勝手になってしまう。だからそうもなっているのだ。
「どうしようかしら」
「学年主任の先生は?」
 今言ったのは津島である。
「どうかしら、主任先生呼んだら」
「ああ、それいいよな」
 狭山も津島のその言葉に頷く。今二人はそれぞれ同じ弁当を食べている。ハンバーグと野菜の味噌煮が入った御飯の弁当である。
「先生が一人いたら違うしな」
「そうよね。いいんじゃない?」
「けれどどうやって呼ぶんだ?」
 ここで陽太郎が言う。今日も月美の作った弁当を食べている。
「それが問題だろ」
「そうだよね。どうやって来てもらうかだね」
 赤瀬も言う。
「それはどうしようかな」
「直接言って来てもらったってやったらな。ちくったように思われるよな」
 陽太郎はこのことを気にかけていたのだ。
「月美への風当たりが強くなるしな」
「それは避けないとね」
「だろ?じゃあどうするんだ?」
「それはどうしたら」
「考えがある」
 ここでも策を出す椎名だった。
「それだったら」
「ああ、どうするんだよ」
「それで」
 その椎名に陽太郎と赤瀬が問うた。
「今度の策はよ」
「どういったものなのかな」
「私が行くから」
 椎名がだというのだ。
「だから任せて」
「椎名が?」
「行くんだ」
「そう、行く」
 また陽太郎と赤瀬に述べた。
「私が行く。さりげなく」
「さりげなくっていってもよ」
「どうするのかな」
「それも任せて」
「任せていいんだな」
「ええ」
 また陽太郎に答えるのだった。
「そういうことで」
「何か椎名ってな」
 狭山が首を傾げさせながら述べた。
「本当に天才軍師だな」
「天才美少女軍師」
 またこう言う椎名であった。
「それは譲れない」
「美少女は、なんだな」
「天才と軍師がなくてもそれは」
 だというのである。
「そういうことだから」
「わかったよ。じゃあ天才美少女軍師な」
「うん」
「それだよな。もう張良とかそういう感じだよな」
「孔明じゃないの」
「孔明は実際はどっちかっていうと政治家だったんだろ?」
 彼は蜀の宰相であった。これはそのまま政治家である。彼は現実的かつ細かい政治家であり蜀を治めていた。軍師であったのは事実だがそれ以上に政治家だったのである。
 
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