転生とらぶる
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機動戦士ガンダム
2101話
シャドウミラー。
その言葉を聞いたシーマは少しだけ不思議そうな表情を浮かべたが、それ以上追求してくる様子はない。
てっきりシャドウミラーってのは何かを聞いてくるのかとばかり思ってたんだが……ああ、いや。でもシーマ達海兵隊はマハルというサイド3の中でも一番貧しいコロニーの出身だったか。
そうなると、子供とか集団になってそういうチーム名を付けて……ってのは、普通にありそうだな。
俺もそういう一員だと思ったのか?
ただ、それでもこの場所……青い巨星と海兵隊の話し合いの場に呼ばれるのはおかしいと、そう思われてもいいと思うんだが。
「坊やがアクセル・アルマーね。で、そっちのお嬢ちゃんは?」
「シーマ中佐、言葉に気をつけて貰いたい。この方は……」
「いいのです、ラル」
シーマの口の利き方にラルが不満そうに返すが、それを止めたのはお嬢ちゃん呼ばわりされたセイラだった。
「シーマ中佐。無礼な事だとは思いますが、私が名乗る前に幾つか聞いてもよろしいでしょうか?」
「うん? 聞くって……あたしにかい?」
「はい。これは、どうしても聞いておきたい事です」
俺がこんな事を言えば、間違いなくシーマ以外の海兵隊の面々は不満を露わにしただろう。
だが、今回はそれを口にしたセイラの雰囲気に当てられたのか、海兵隊の面々は不満を口にしない。
シーマの方も、俺はともかくセイラがただのお嬢ちゃんではないというのは分かったのか、頷きを返す。
「で、何が聞きたいんだい?」
そんな言葉に、セイラは数秒だけ目を閉じた後で意志の強い瞳をシーマに向け、口を開く。
「シーマ・ガラハウ。貴方が国に望むものはなんですか? 聞いた話によると、貴方が率いる海兵隊は、マハルの住人達を半ば強制的に軍人としたものだと聞いています」
シーマにとっても、セイラの口からそんな言葉が出てくるというのは予想外だったのだろう。
先程までの余裕を見せていた表情は消え、じっとセイラを見る。
いや、それは見るというよりは睨んでいると表現した方が相応しいような、そんな表情。
「お嬢ちゃん。それをあたしに聞くってのが、どういう意味を持っているのか……分かってるのかい?」
「当然です。そして、だからこそ聞きます。シーマ・ガラハウ。貴方は自分達を使い捨てにするような国に対し、忠誠をつくせますか? そして、愛国心を持てますか?」
シーマから感じられる迫力は、この世界の人間が発するものとしては十分に強い。
だが、セイラはそんなシーマの迫力を真っ正面から受けながらも、全く退かない様子でその目を見る。
『……』
お互いに黙り込み、そのまま数分。やがてセイラの視線に根負けしたかのように、シーマが口を開く。
「愛国心? 国に対する忠誠心? はっ! そんなの、持ってる訳がないだろ。寧ろ、ジオン公国という国を、憎んですらいるさ」
へぇ……シーマの境遇を聞く限り、薄々そうだと思ってはいた。
だがそれでも、まさかこうまで明白にジオン公国に対する不満を口にするとは思わなかった。
普通なら、青い巨星という異名持ちのパイロットに呼び出され、そこで国に忠誠心を抱いているかと言われて、それでこうも正直に言ったりはしないだろう。
穿った考え方をすれば、汚れ仕事を行ってきた海兵隊を処分したい為に、国家反逆罪なりなんなりの罪に問う為にこのような場を設けたと、そう考えても不思議ではないのだから。
特にここにいるのはランバ・ラル。ダイクン派の中でも強い影響力を持っている人物で、ザビ家が妙な行動をしないかと監視していると考えてもおかしくはないのだから。
そもそも、ラルは青い巨星という異名を持っていて有名人ではあるが、シーマとの関わり合いはない。
それどころか、ラルのせいでシーマ率いる海兵隊は汚れ仕事をする事になったのだ。
当然のように、ラルが設けたこの場で本音を言うのは危険だと判断してもおかしくはない。
おかしくはないのだが……それでも、シーマは本音を口にした。
これは、セイラの持つカリスマ性によるものか?
そんな風に思っている俺の横で、セイラは口を開く。
「では、何故まだジオン軍に所属し、連邦を相手に戦っているのですか?」
「決まってるだろ。もうあたし達には、行くべき場所がないからだ。あたし達はそこの青い巨星様のおかげで、コロニーの中にいた住人全員をG2ガスで殺してしまったし、そのコロニーが地球に落下した結果、オーストラリアにはどでかい穴まで開いちまったんだ。そんなあたし達が、連邦に……ましてや、名前だけの中立のサイド6が受け入れてくれると思うかい? 寧ろこれ幸いと捕らえられて、交渉材料にされるか戦意高揚の為に裁判に掛けられるか……コロニー落としをやったって事で公開処刑されるかもね。昔は、ギロチンとかいう処刑道具があったって聞くし」
笑いながらそう告げたシーマだったが、次の瞬間には再び真剣な表情になって、セイラを見る。……いや、睨み付ける。
「冗談じゃないさね。あたしはそんな結末は真っ平ごめんだ。それに、この馬鹿共をそんな自殺行為に付き合わせる真似はしたくないしね」
「……そうですか」
海兵隊の面々がシーマの言葉に感動しているのを見て、セイラが口を開く。
「では……もし、もし、ジオン公国でも連邦でもない、ましてやシーマ中佐が口にした偽りの中立のサイド6でもない……本当の意味で新しい国が出来たとしたら、どうしますか?」
「……は?」
セイラの口から出たのが、完全に予想外の言葉だったからだろう。
シーマはその美貌に似合わぬ、間の抜けた声を発する。
いやまぁ、普通ならセイラのような子供――という年齢でもないが――が国を作ると言っても、それを信用するような真似は出来ない。
それどころか、いいところ冗談……最悪の場合は病院に連れて行かれてもおかしくはない。
もっとも、それはあくまでも普通の場合だ。
青い巨星のランバ・ラルが、シーマ達の故郷のマハルまで人をやって探し、こうして会っているうえで下らない冗談を口にするような真似をする筈もない。
「どういう意味だい? まさか、お嬢ちゃんが国を作るなんて、そんな馬鹿な事は言わないよね?」
「そんな馬鹿な事をしようと、現在動いているのです」
「……本気かい? 国を作るというのは、それこそちょっとやそっとで出来る事じゃないのは、分かるだろ? それは、このジオンが証明しているんだ」
「ちょっと違うな」
セイラに言い聞かせようとするシーマの言葉に割り込む。
シーマの方は、そんな俺の様子に面白くなさそうにしながら、それでも黙って視線を向けてくる。
何かあるのなら、言ってみろという事だろう。
「南極条約を結んだ時点で、地球連邦という組織はジオンを独立した国だと認めている。……ただ、それはあくまでも黙認だけどな。けど、ジオンは……いや、この場合はギレン・ザビが、か? とにかく、明確な形で連邦に降伏宣言をさせようとしているんだ。ジオンが連邦を管理する為にな」
優性人類生存説だったか? ジオンを選ばれた存在だと位置づけ、だからこそ地球を管理しなければならないという奴。
あれがギレンの本心なのか、それとも単純にジオン公国の民衆を1つに纏める為のプロパガンダなのかは分からないが、公的な場でそのような事を言ってる以上、独立を認めて連邦と痛み分け……なんてのは、まず不可能だろう。
「そうかもしれないね。けど、戦争というのはそういうものだろう?」
「そうだな。まぁ、それが長続きするとは思えないけど」
連邦がMSの性能を見れば、当然自分達でも開発しようとするだろう。
そうなれば、一気に戦力差は逆転する。
まぁ、MSを先に実用化したという事で、パイロットの熟練度とかではジオンが勝るかもしれないが……それも、永遠にそのままって訳じゃないしな。
「ともあれ、ジオンと連邦の力関係はいずれ逆転する。もっとも、それはあくまでも俺がそう思っているだけで、もしかしたらジオンには何らかの奥の手がある可能性は十分にあるが」
「どうだろうね。……けど、なるほど。そんな風に戦争を語る事が出来るって事は……アクセル、だったかい? お前がこのお嬢ちゃんの夢物語に協力していると、そう考えてもいいのかい?」
「ご名答」
そう言いながら、指を鳴らす。
瞬間、俺の指は白炎と化し、小鳥や子猫、子犬、リスといった無害な小動物の炎獣が生み出され、エデンの中を走り回る。
見る奴が見れば和む光景ではあったが、ラル達は既に魔法を知っている。
……あ、でもクランプは炎獣を見たのは初めてだったか?
ともあれ、こちら側の面々は炎獣を見ても愛らしいといった感想を持つ程度だったが、シーマ率いる海兵隊の面々は違う。
魔法というものを見たことがない以上、当然のように炎獣の姿を見てパニックを起こし……
「静まりな!」
その瞬間、シーマの鋭い声がエデンの中に響き渡る。
初めて魔法を見るにも関わらず、その一声で海兵隊の者達を……それも、この場でシーマと一緒にいる事を許された者達を静めるのだから、そこにシーマの指揮官としてのカリスマ性や技量が窺える。
……なるほど。ラルがシーマ達を引き込もうとしたのは、純粋に自分のせいで汚れ仕事を押しつけたから、というだけじゃないのか。
「坊や……いや、アクセル。今のは何の手品だい?」
海兵隊の連中を落ち着かせてから、改めてシーマは俺に尋ねてくる。
その視線に宿っているのは、強烈な渇望とでも呼ぶべき色。
シーマにとって、交渉する相手がラルからセイラに、そしてセイラから俺に変わったのだろう。
先程までは、俺という存在はそれこそ何故この場にいるのか分からないといった様子だったが、その判断が誤りであったと、そう気が付いたのだろう。
「手品か。まぁ、そう見えても不思議はないだろうな」
言いながら再び指を鳴らすと、次の瞬間、炎獣は全て消え去っていた。
それこそ、一瞬前まで店の中を自由に走り回っていたのが嘘のように。
シーマを含めた海兵隊の連中も、突然消えた炎獣達がいた場所を見ている。
……ハモンが残念そうな表情をしているのは……まぁ、気にしないでおくとしよう。
ともあれ、一瞬にして炎獣が消え去ったのを見て、より手品のように思えたのか、こっちを見るシーマの視線が若干落胆したものに変わる。
「なら、これも手品だと思うか?」
そう言った瞬間、座っていた俺の影から槍……いや、先端は尖っていないので、棒と言うべきか? ともあれ、そんな形をした影槍を伸ばす。
「っ!?」
突然目の前に伸びてきた影槍に、シーマは半ば反射的にだろう。服の内側に手を伸ばし、拳銃を抜く。
だが、次の瞬間棒状だった影槍は鋭さを得ると、一瞬にして拳銃を切断する。
「な……」
「手品じゃないってのは、理解出来たか? これが、魔法だ」
手に持った拳銃がいきなり切断されたのを唖然と見ていたシーマだったが、やがてその拳銃の残骸を後ろに立っていたコッセルだったか? その男に渡す。
「あたしの拳銃は、一応それなりに高価なんだけどね」
「悪いな。けど、こんな場所で拳銃を持ち出したりすれば、色々と危険だろう? 何しろここは、ダイクン派として干されているラルがいて、悪名高い海兵隊が揃っているんだから」
実際にはラルやシーマ達よりも、セイラというザビ家にとっては決して見逃す事が出来ないような存在が、ここにいるのだが。
しかも俺の隣にセイラが座っているのだから、下手に発砲されるような真似をされるのは不味い。
「……アクセル。それが分かってるのなら、お前も少しは考えろ」
ラルが呆れた表情で、そう言ってくる。
ただし、そこには本気で呆れている様子はなく、どこかからかい混じりの言葉があるように思えた。
そんなラルの態度が面白くなかったのか、シーマはコッセルから拳銃を取り出すときに床に投げ捨てた扇子を渡されながら口を開く。
「こういうのを見せられれば、アクセルが魔法なんぞという妙な力を持っているのは理解するさ。けどね。魔法を使えるからと言って、それで国が作れる訳でもないだろう? あたし達が使ってるのは、MSなんだから」
「ああ、それなら問題ない。俺は魔法も使えるが、基本的には人型機動兵器……この世界で言うところのMSの操縦を得意としている。それこそ、この世界とはPT……ああ、これが俺達の世界でのMSの呼び名だな。勿論他にも色々と機種はあるし、MSもあるが。ともあれ、PTの使用した歴史が違うからな」
まぁ、ニーズヘッグをPTと言ってもいいのかどうか分からないし、現在俺がこの世界に持って来ているミロンガ改はゲシュタルトシリーズの1機なのだが。
「……この世界?」
俺の言葉の中に聞き逃せない部分があったのか、シーマが尋ねる。
ん? ああ、そう言えば言ってなかったか。
「改めて自己紹介をしておくか。俺の名前はアクセル・アルマー。このUC世界という世界とは違う異世界からやってきた、シャドウミラーという国を率いている者だ」
そう告げた俺の言葉に、シーマと海兵隊達は唖然とした視線を向けるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:5
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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