オズのガラスの猫
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第三幕その十
「河豚は毒がありまして」
「毒があるの」
「はい、ですから」
「高いのね」
「その毒がかなり強くて」
恵梨香はオズマに河豚の毒のお話もしました。
「当たったら死ぬんです」
「死ぬの」
「もの凄く強い毒でして」
「オズの国では誰も死なないし毒もね」
「ないですよね」
「ええ、けれど外の世界ではあるわね」
「それで外の世界の河豚には毒があるんです」
こうオズマにお話するんどえした。
「その毒のある部分を取り除いて食べないといけないので」
「河豚は外の世界では高くて」
「あまり食べられないんです」
「そうなのね」
「種類によって毒がある部分が違います」
「そういえばこのお魚内蔵はないわね」
つぎはぎ娘はお鍋の中をボタンの目で見て言いました。
「それは入ってないわね」
「河豚の多くにはなのよ」
「内臓になのね」
「毒があってね」
それでとです、恵梨香はつぎはぎ娘にも答えました・
「皮に毒がある種類もあるの」
「この河豚は皮も入ってるわね」
「そうした種類みたい、ただ内臓はね」
「大抵の河豚になのね」
「毒があってね」
「食べないのね」
「取り除いているの」
食べる前にというのです。
「丁寧にね」
「それで食べないのね」
「そうなの、とにかく河豚は毒があるから」
「食べるには注意が必要なのね」
「あまり食べられないの」
まさにそのせいでというのです。
「調理に特別な技術が必要だから」
「毒のある部分がちゃんとわかっていて捌けるね」
「それが必要だからなのよ」
「よくわかったわ、河豚のことがね」
「あたしもね。けれどこっちの世界じゃ毒はないのよ」
ガラスの猫はこのことを指摘しました。
「だったらね」
「毒のことは気にしないで」
「河豚を食べればいいのよ」
「そうなのよね、このお話は前に誰かとしたわね」
ここでこのことをふと思い出した恵梨香でした。
「河豚のことを」
「そういえばそうかしら」
オズマも恵梨香のその言葉に応えました。
「河豚のことで」
「そうだったかと」
「私その時にそこにいたかしら」
「どうだったでしょうか」
「わからないわね、けれど今食べてるわね」
「はい、それでですね」
「もう河豚のことはわかったわ」
河豚だけでなくお野菜やお豆腐も食べつつ言うオズマでした。
「この素晴らしい味がね」
「そしてオズの国ではですね」
「毒自体がないから」
それでというのです。
「河豚もね」
「好きなだけ食べられますね」
「それも安心してね」
「それは最高のことですね」
「恵梨香も河豚が好きなのね」
「大好きです」
恵梨香はオズマににこりと笑って答えました。
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