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レーヴァティン

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第六十話 召喚士その十二

「これはついていけないと思い」
「読んでないっちゃ」
「これまでの芥川の作風と全く違っていたので」
「確かに違うっちゃな」
「そのせいで、であります」
「芥川さんも末期は読んでないっちゃ」
「そうであります」
 末期の芥川には狂気が見られると言われている、それは彼の作品からのことだ。
「それで河童もでござる」
「河童忌だっちゃな」
「そちらもでござる」
「どんな作品か知らないっちゃな」
「そうであります」
「そうだっちゃ。まあ胡瓜はお酒に合うっちゃ」
 河童といえば好物の胡瓜だから出た言葉だ。
「そっちもいいっちゃ」
「胡瓜は合うでありますな」
「そうだっちゃな」
「そして蜜柑も」
「一度食べてみるといいっちゃ」
「わかったであります」
 峰夫は愛実に確かな顔で頷いて応えた。
「その様に」
「そういうことで宜しくっちゃ、では名古屋を見回るっちゃな」
「旗揚げし政を行う時に備えて」
「わかったっちゃよ」
 愛実はまた笑顔になって峰夫に応えた。
「そして名古屋のことを頭に入れて」
「そうしてであります」
「次は伊勢っちゃな」
「そうなるであります」
「日本では最も神聖な場所の一つっちゃ」
 伊勢についてだ、愛実はこうした言葉を以て述べた。
「皇室の祖霊天照大神の社っちゃ」
「この島でもそうですよ」
 謙二が愛実のその言葉に応えて言ってきた。
「伊勢はです」
「天照大神の大社だっちゃな」
「はい、見事な社があるといいます」
「そうだっちゃ」
「そしてその伊勢にです」
「次に行くっちゃな」
「そうしていきます、道も確かですし」
 名古屋から伊勢に向かうその道もというのだ。
「安心してです」
「行くっちゃな」
「そうしましょう」
 謙二は仲間になった愛実に笑顔で話した、そうしてだった。
 一行は名古屋の街を見て回りその美酒美食も楽しんでだ、それを全て終えてから伊勢に向かって出発した。次の仲間となる者に会う為に。


第六十話   完


                  2018・4・1 
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