オズのガラスの猫
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第二幕その十
「それでなの」
「アイス得意なのね」
「もう滑れる時はね」
それこそお池や川に氷が張ればというのです。
「いつも滑ってきたから」
「ロシアにいた時は」
「そう考えるとね」
「慣れてるのね」
「日曜に朝から夕方まで滑っていた時もあるわ」
「それは凄いわね」
「そう思うとね」
それこそとです、ナターシャは恵梨香にお話しました。
「やってる時間が長くて」
「上手なのね」
「そうなるかしら」
「僕達ローラスケートはよくするけれど」
「あとスケボーとかもね」
「けれどアイスの方はね」
どうしてもと言う男の子三人でした。
「ナターシャ程凄くないから」
「もうナターシャは別格?」
「一緒に滑るのが恥ずかしい位腕前が違うからね」
「そんなの気にすることないわよ」
ガラスの猫は男の子達にはっきりと言い切りました。
「自分は自分でしょ」
「あっ、だからなんだ」
「ガラスの猫がいつも言ってるけれど」
「こうしたことでもなんだ」
「他の子が上手で自分が下手でもそれをしないならね」
そう思うならというのです。
「楽しめばいいのよ」
「それだけなんだ」
「自分が好きでするのが楽しいなら」
「すればいいんだ」
「そうよ、そうすればいいのよ」
こう三人に言うのでした。
「それで自分が楽しんで上手になればいいでしょ」
「それもそうだね」
「じゃあナターシャはナターシャで」
「僕達は僕達で楽しめばいいんだね」
「そういうことよ、あたしも楽しむし」
アイススケートをというのです。
「猫用のそれもあたし専用のね」
「あのガラスのスケート靴を履くのね」
「そうして遊ぶわよ」
こうドロシーに答えました。
「そうするわ」
「そうよね」
「今から楽しみよ、あたしもスケート得意だしね」
「貴女身のこなしが軽やかだからね」
「猫だからね」
それ故にというのです。
「ナターシャがどれだけ凄いか知らないけれど」
「貴女が一番なのね」
「そうに決まってるわ」
ガラスの猫は豪語しました、そしてです。
お昼御飯の後で皆で王宮のアイススケート場に行ってそこで滑りはじめました。するとやっぱりナターシャは凄い上手です。ですがガラスの猫もです。
二本の後ろ足で見事に滑っています、チクタクはそのガラスの猫を見て言いました。
「確かにーーですーーね」
「上手でしょ、あたし」
「はいーー軽やかーーです」
「この通りなのよ」
「アイススケートはーーですーーね」
「あたし大得意なのよ」
軽やかにフィギュアスケート選手みたいに滑りつつ言うのでした。
「この通りね」
「猫だからーーこそ」
「猫がスケート出来たら」
今のガラスの猫みたいにです。
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