麗しのヴァンパイア
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四十五話
第四十五話 双子の感覚
家に帰ってからだった、華奈子は美奈子に言った。
「あたしが作詞でね」
「私が作曲なんてね」
「何か縁ね」
「そうね、双子だからかしら」
美奈子が考える顔で華奈子に言った。
「だからかしら」
「そうかもね。あたしが作詞閃いたのはね」
それはとだ、華奈子は美奈子に返した。今は二人で自分達の部屋に入ってそうして学校の勉強の予習復習の準備をしている。
「たまたまだったわ」
「そうよね、実はね」
「美奈子もよね」
「ええ、私もなの」
美奈子は真剣な顔で華奈子に答えた。
「閃いたのはね」
「偶然だったのね」
「そうだったけれど」
「けれどそれは」
「多分ね」
美奈子は華奈子に考える顔になって話した。
「私達はお互いそう思っていても」
「双子だからよね」
「シンクロしてるのよ」
「あたしが歌詞を閃いて」
「私が音楽を閃いたのよ」
そうなったというのだ。
「それぞれね」
「そうよね、多分あたし達の心の」
華奈子は真剣に考える顔になって美奈子に話した。
「もうあたし達自身がわからない様な」
「無意識ね」
「ああ、そう言うの」
「ええ、人の心にはそうしたものもあるらしいわ」
美奈子はまだ無意識という言葉を覚えたばかりだ、それでこう言ったのだ。
「自分でも気付かないものがね」
「そんなのがあるのね」
「そう、それでその無意識でね」
「あたし達は繋がってるのね」
「そうかも知れないわ」
「それが双子なのね」
華奈子は美奈子の言葉に真剣にかつ深く考える顔になった。
そうしてだ、こうも言ったのだった。
「凄いわね」
「そうね、もう一人の自分みたいね」
「ええ、そう思えてきたわ」
「私もよ」
「そうよね、前からそう思っていたけれど」
今はそれ以上に感じているというのだ、華奈子は美奈子にこう言ってそれぞれ学校の勉強の予習復習をしたのだった。
第四十五話 完
2018・4・25
ページ上へ戻る