魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話
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第百十六話
07:19
「うにゅぅ…」
「…………」
千冬が目を覚ますと、目の前に一夏の顔があった。
百人集めれば、トップに立つであろう美貌。
男であるが故に、女よりも他者を惹き付け、魅了する美貌だ。
更には…
「にゃふぅ…」
頭の上には猫耳がある。
黒猫だ。
千冬が一夏の腰に手を回す。
そこにはふさふさした尻尾が、黒猫一夏の尻尾がある。
「ふみゅ…」
その根元辺りを、きゅっと握った。
「ふみゃぁ!?」
びくん!と体を振るわせて、一夏は目を覚ました。
「起きたか、一夏」
「みゃぉぉぉん……」
千冬が一夏の頭を撫でると、一夏は嬉しそうに目を細めた。
人懐っこい猫みたいに、みゃぁと鳴いた。
そしてふにふにと耳をマッサージし始めた。
「ふみゅ…みゅぅ……みぃぃ…」
一夏が千冬の服をキュッと握った。
「みゃぅ…みゃおぉぉん…」
ぐりぐりと千冬に頭を擦り付ける。
「本当に猫だな…」
「にゃー…」
ギアを入れていない一夏は、基本こんな感じである。
理性によって抑えられていた『幼さ』が表に出ている、と言っても差し支えないだろう。
「……はむ」
千冬が一夏の猫耳をくわえた。
「ふみゃぁ…?」
そのままはむはむと唇で挟んだり、耳を舐めたりしていると、一夏が千冬に抱きついた。
「ぅ~」
「どうした一夏?」
「ねーさんのいぢわるぅ…」
顔を上げた一夏は……エロかった。
「…………………………………」
千冬は葛藤した。物凄く葛藤した。
(もう襲ってもいいんではないだろうか)
(姉弟……だから何だ既に一夏は二人と付き合っている今さら何を躊躇う)
(しかも我々は『メシア』だ。ヒトの法など最悪無視しても咎めはあるまい)
(いやしかしこの論法では一夏は円香も…)
(いや円香もどうせ堕ちるのではないだろうか)
(弟は姉の物だ何を躊躇うことが…)
「ねーさん…? どーしたの?」
己を見つめる黄金の瞳に、千冬は我に帰る。
「なんでもないぞ。朝食だ。起きよう」
「うん!」
side in トレイター艦橋 10:30
「あー。てすてす。てすてす。
入ってる? イン◯ル入ってる?うん、はいってる。
あと一時間で着くから荷物片付けといてね。
あと時差はタイムスケジュールでアジャストしてるけど時差ボケには気をつけて。
いじょー。砲雷長兼戦術長兼航行長兼副長織斑一夏より」
海底を這うように進むトレイターは既に日本近海まで来ていた。
イギリスから二日━━━途中でトレイターと同サイズのダイオウイカに襲われた時には唖然としたが━━━何事もなくここまで来れた。
「束さん」
ブリッジの艦長席に座る束さんに声をかける。
「なに?」
「この後はどうするの?」
「どうって?」
「また旅に出るの?」
束さんはここ数年、ほとんど海の中で過ごしていた。
また、航海に出るのだろうか…
「そうだね、いっ君のお家にお世話になろうかな」
「へ?」
「まーちゃんを一人にする訳にはいかないでしょ?
いっ君はそこら辺護衛も兼ねてFA:Gに家庭教師をやらせようって腹積もりみたいだけど、FA:Gじゃまだ無理だよ」
確かにFA:Gはまだ経験が足りない。
「だから、ちょっといっ君のお家にお邪魔しようかとね」
「わかった。いいよ」
束さんが居てくれるなら、円香を任せられる。
家の事を仕切ってるのは俺だし、姉さんも文句は言わないだろうし。
「神社には帰らないの?」
「んー。まだちょっとね」
ま、それならそれでいいけどね。
同じ町の中に住んでるんだし会うこともあるだろうし。
「それでいっ君。トレイターをどこに着ける気だい?」
「ラボの地底湖だけど?
そのあとはラボから市街地までの直通シャフトで街に出る」
「ふーん…いいのかい?」
「大丈夫。認識阻害とか光学迷彩術式とかかけながら行くから」
束さんにひょいと抱えられた。
「ぅにゃ?」
「ちょっと撫でさせて」
「いーよ」
『トレイター、第零ドックゲートまであと300』
イノセントの声が館内に響く。
「カグツチ、カムイ」
『ゲートオープン』
『ガイドビーコン照射』
『『『入港準備完了』』』
「イノセント。推進機関落とせ」
『トレイター、推進機関停止。
CADシステム起動。微速前進』
トレイターの推進機が停止し、イノセントが移動系魔法を起動した。
相対位置固定の魔法だ。
その定義に従い、トレイターが入港する。
『トレイター、ラボ湖底部に到達』
「重力バラスト調整。浮上」
『浮上開始』
トレイターが浮上する。
ゆっくり、ゆっくりと。
『水上まで3、2、1……浮上完了』
「カグツチ、カムイ、トレイター固定」
『『了解』』
ゴゴン…とトレイターがアームで固定された。
「イノセント、艦内通路隔壁全解放」
『了解』
「イノセント、艦内放送」
『オン』
マイクを取る。
「こちら副長。トレイター着岸。隔壁は開いてるから順次降りてね」
side out
一夏は地底湖の岸壁、港のように整備された場所でこの後の事を説明する。
「えーと、今からシャフトを通って市街地に出るよ」
「市街地?」
と楯無が一夏に尋ねた。
「直江津市にあるシルヴヴァインのオフィスの地下」
「若、俺知らないんだが」
「フィグネリアには言ったはずだが…」
「え?アタシも知らないよ?」
「あっるぇ…?言った筈なんだが…」
まぁいいや、と一夏が言った。
「箒、柳韻さんと奥さんを頼んでいいか?」
「私はいいが……いいのか?父さんと母さんにラボの場所を教えるような物だぞ?」
「構わん。今さら何を隠す?」
とトレイターを指差した。
「それもそうだな…。後で行く。
シルヴヴァインのオフィスだな?」
「おう」
箒とその両親は一夏と別れ、ラボ-神社を繋ぐ直通通路に向かった。
そして残る面子は、市街地へのシャフトへ。
「あ、ちょっとかかるけど我慢してね」
一夏の後をついていった面々は、やけにSFチックなゴンドラ(?)に乗った。
一夏は壁のコンソールに掌をつけ、ゴンドラを動かし始めた。
同時に、魔法式が投射される。
「む?一夏。何の魔法だ?」
「慣性中和。流石に更識に場所を逆算させるのはね」
「あら?信用無いのね」
「お前ら『は』信用してるよ」
「織斑君は何時もそんなに用心深くいきているんですか?」
と虚が尋ねた。
「いや、そうでもないよ。ただラボだけは、ね」
一夏達にとって、ラボは最後の城だ。
現にラボには量子化不能(容量の関係で)な兵器や、強力過ぎて携行を憚られる兵器が置いてある。
「おいおい。そんな所に俺達を招き入れていいのかよ坊主?」
「だからこうして魔法で慣性中和して距離の逆算を不可能にしてんだろうが」
現状では例えISがあっても距離の逆算は不可能。
その上ISの量子通信もカンヘルのジャミングで無効化されるだろう。
最も一夏の『コール』があれば逆算や通信どころかISの機能全てが停止するのだが…
「ねぇ坊や。ここは地下何メートルなのかしら?」
「地下……地下……二百……四…いや三十…?」
「どうやって掘ったのか教えてちょうだい?」
「え?ビーム百発近く撃って市街地地下まで繋げたけど?」
「…………」
全員が黙った。
「いやぁ、地下水に行き合って水蒸気爆発起こった時にはマジでビビったね」
「あの時だけはいっ君も焦ってたよね」
「冗談抜きで侵食弾頭兵器のお世話になる所だったわ…」
一夏達の話の内容。
生き埋めになりそうだったやら、それをどうにかできる兵器やら…
とにかく物騒な話だった。
「一夏おねーちゃん」
「どうしたエレ…ひみゅ!?」
「むずかしい話はわからないから、おねーちゃんのみみさわらせて」
話に飽きたエレンが一夏の耳を弄りだした。
「ふにゃっ…みゃぅっ…触ってから…にゃぁ…言うにゃぁ…」
コンソールに手を置いたまま、頭だけ逃げようと体を動かしていると…
「ふみぃ!?」
尻尾を円香に掴まれた。
「みゃ…みゃぁ…! 円香っ…やめっ…!」
「「ふふふふ…」」
エレンと円香が悪戯小僧のような顔で一夏をまさぐる。
「みゃっ…みゃぁ…やめっ…おねがっ…
助けろフィグネリアぁ!」
それをみていたフィグネリアはと言えば…
「今朝猫耳生やした若を見たときからこうなる予感はしてたけど…
予想通りになっちまったねぇ…」
「じゃとめろよぉ…! ふみゃっ…みゃどかっ!そこはみゃずっ…ひみゅぅっ!?」
と、そこで普段は止める側であろうリムが参戦した。
とりあえず顎を撫でる事にしたようだ。
「あぁっ!やめろぉ…! ごろごろ…」
「お兄さん…お兄さん…」
「にゃぉぉん…」
ゴロゴロと喉を鳴らす(どうやってかは不明)一夏を、三人はちょっとヤバげな目で見ていた。
「若ー。家の子がそっちに目覚めたら責任とっておくれよ」
「にゃんの責任だよっ!?」
そこでヴィッサリオンが救いの手を差しのべた。
「お前達、そこら辺にしといて「いまいいとこなの!」「邪魔しないでくださいパパ」「おじちゃんうるさい」ぐっはぁ…!?」
しかし愛娘からのクロスファイアに撃沈した。
なおトドメは円香だった。
ヴィッサリオンは壁に凭れかかって、凹んでいた。
「コレが反抗期……」
「メンタル弱すぎないかヴィッサリオン?
お前そんなんじゃ娘が思春期になったら禿げるぞ」
「たっ…タテナシ…」
「まぁほっとけ」
「おう…」
「お前もにゃんか言えよ楯無!」
「無理だ。男女比考えろ坊主」
「FA◯K‼」
幼女にもみくちゃにされながら何とか楯無にフ◯ックサインを送る一夏だが…
「おねーちゃん!そんな事言っちゃダメだよ!」
「おしおきですお兄さん」
「おしおきー!」
「にゃっ!やめっ!服を捲るにゃ!
あっ!にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
『お仕置き』を受ける事となるのだった。
後書き
外国編終わりです。まぁ、あと何話かはお土産配ったり吸血鬼云々なんですけどね。
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