双子の推理
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第三章
「鞄の隅から隅までじっくりね」
「探す様に言えば」
「そうすればね」
「見付かるのね」
「そうなるわ、だからね」
それでというのだ。
「あの娘に言いましょう」
「わかったわ」
つくよは姉の言葉に頷いた、そしてその娘にそっと鞄の隅から隅それも一旦鞄の中のものを一旦全部出してそうして慎重に探す様に言った。その探し方も姉の言葉によるものだ。
それでその娘も探すと実際にあった、その娘は素直に自分が鞄の中に入れたままにしていたと話して皆慎重過ぎるのも考えものだと結論を出した。それでだった。
事態は解決した、その娘はつくよに礼を言うと共にクラスメイト達だけでなく彼女にも謝罪した。これで万事終わった。
それで話が終わってからだ、つくよは家に帰ってから姉に言った。
「ううん、何ていうかね」
「解決してよかったでしょ」
「いや、よかったにしても」
「隠した場所がわからなくなるとか」
「そんなこともあるの」
「だから策士策に溺れるよ」
姉はつくよに再びこのことを話した。
「それなのよ」
「そうなのね」
「案外自分が隠した場所ってのはわからなくなるのよ」
「そうなのね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「こうしたこともあるってことで」
「わかっておくことね」
「そういうことよ」
「ううん、誰かが盗む場合もあれば」
「そうした場合も多いのよ」
「自分がミスしてわからなくなってることも」
「人間ミスは誰にでもあるわ」
人間は完璧ではない、それでミスを犯すこともあるのだ。
「だからね」
「それでなの」
「そう、ああしたこともあるのよ」
「成程ね、お姉ちゃんはそう考えたのね」
「ええ、事件に思えて事件じゃない場合もあるのよ」
そのケースもあるというのだ。
「あの時みたいにね」
「そうしたこともあるのね」
「そう、じゃあね」
「そのこともわかって」
「またこうしたことが起こったらね」
「考えていくべきね」
「事件を疑うのと一緒にミスも疑う」
姉は妹にこうも話した。
「そうしていってね」
「それじゃあ」
「ええ、これからもやっていきましょう」
「そうするわ」
「二人でね」
「そこでも二人なのね」
「私達はいつも一緒じゃない」
姉は妹に笑ってこうも言った、妹はそんな姉に憮然とした顔を向けた。だが口元と目元は微かにだが笑っていた。
双子の推理 完
2018・6・24
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