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おぢばにおかえり

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第四十四話 二人でお外に出てその三十五

「わからないものよ」
「そう言われると僕も」
「誰でもね、気付かないうちによ」
「誰かの反面教師になってるんですね」
「その可能性もあるのよね」
 かく言う私自身もです。
「そういう風にはなりたくないわね」
「全くですね、僕の場合は」
 阿波野君は考えるお顔になって私に言ってきました。
「嫌いな相手とは話さないですし露骨に顔が変わるみたいですか」
「何かわかるかも」
 阿波野君を見ていればです。
「阿波野君顔に出るタイプだから」
「それもかなり出ますよね」
「感情わかりやすいわ」
 それもかなりです。
「私に対して馴れ馴れしいお顔もね」
「馴れ馴れしいですか」
「そうじゃないの?」
「そう思うけれど」
 私から見ればです、それ以外に思うことがあるのでしょうか。
「違う?」
「まあそれは置いておいてですね」
「置いてって」
「とにかく。僕はそういうのすぐに出ます」
「嫌いな相手にはなのね」
「よく言われますし自覚してます」
 その癖性分はというのです。
「嫌いな相手には何しても何言っても平気ですし」
「それはかなり悪いわね」 
 自分で言う阿波野君の意外な、私も知らなかった癖性分です。誰にも能天気で厚かましい感じかと思っていたら。
 けれどここで私は思いました、あの長池先輩も同級生の娘達が言うには残酷で怖いところがあるそうですし。
「なおしなさいね」
「気をつけてますが」
 けれどという口調で言ってきました。
「難しいですね」
「その難しいところをよ」
「なおさないといけないですか」
「そう、気をつけてね」
 そうしてと言いました。 
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