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正義戦士ジャスティスマン

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第三章

「出て来てあげたわ」
「エビル、今度こそ決着をつけてやる」
「生憎だけれどそうはいかないわ」
「何っ?」
「急用が入ったのよ」
 こう夫に言うのだった。
「今から引っ越しのお手伝いよ」
「実家の仕事か」
「そうよ、残念だけれど今日はこれで終わりよ」
「くっ、何てことだ」
「あなたとはいい加減決着をつけたいとは思っているわ」
「俺もだ、いいか織戸いやエビル」
 ついつい言い間違えを訂正した。
「次こそは御前を倒す!」
「それはこっちの台詞よ」
「全くですよ」
 首領エビルの右肩にいる山椒魚が言ってきた。
「いい加減こっちも腹が立っていますからね」
「ええ、私達の活動の邪魔をするなんて」
「あのね、あんたそもそも旦那さんでしょ」
 山椒魚は智に言ってきた、山椒魚だがオオサンショウウオではなく小さい種類だ。
「自分の奥さんが私を助けて悪の首領になったんですから」
「手伝えっていうのか」
「それが筋でしょ」
「馬鹿を言え、俺はその前の日に正義の戦士になっていたんだ」
「そうです、私を助けて」
 蛙が言ってきた。
「そうなったんですから」
「それはこちらも同じこと」
 山椒魚は蛙に反対する様に言葉を返した。
「偶然我が主に助けて頂き」
「それでだったな」
「我が力を得たのだ、フォークマンズ首領の力をな」
「私はこの力で悪を尽くすのよ」
 首領エビルはサトシを見て彼に告げた。
「嫌がらせ、悪戯、寄り道、買い食い、夜遊び、あらゆる悪事をね」
「くっ、何て悪い奴等だ」
 サトシは首領エビルの言葉に歯噛みした。
「その悪事、俺が決して許しはしない」
「私を倒すというのね」
「そうしてやる、悪は許さん!」
「まら私は正義を許さないわ」
「望むところだ、正義は必ず勝つ!」
「悪は不滅よ!」
 二人で小学校の中で言い合った、だが首領エビルには実家の仕事が入った。それで家が経営している会社の社員達である戦闘員達を全員起こしてから連れて行ってだ。
 この日は大人しく引き下がった、だがサトシは元妻を見送ってから蛙に言った。
「俺は絶対にだ」
「はい、負けないですね」
「正義が負ける筈がないからな」
 だからだというのだ、明日も明後日もそれからもフォークマンズと戦う決意を固めるのだった。
 二人の戦いは一年間続いた、丁度テレビ番組の放送期間にして四クールに渡った、その最期の方は何だかんだで二人は和解して夫婦に戻ることが出来た。しかしすぐに今度は二人と蛙、山椒魚を脅かす新たな悪の組織が出て来た。サトシの戦いは終わらないのだった。


正義戦士ジャスティスマン   完


                  2018・6・20 
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