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レーヴァティン

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第五十八話 神仏の存在その五

「それぞれの宗教で存在している」
「そして道教でも」
「他の宗教もそうだな」
「ダゴンという神もいますし。とかくです」
「様々な海の神がいるな」
「仏も。ですが」
 それでもとだ、僧正はその知的な顔を曇らせて英雄に話した。
「世界を完全に覆う」
「そこまでの力、そしてそうする様なな」
「海の神は知りません」
「仏もだな」
「はい」
 まさにというのだ。
「拙僧もこの寺の他の僧達も」
「恐ろしい力と悪意を併せ持つ」
「そうした海の神は。いえ海の神でなくとも」
「そうしたことをする神はだな」
「知りません」
 僧正はまた英雄に述べた。
「到底、だからでしょう」
「魔神とか」
「呼ばれているのです」
「海で世界を覆い封じるからか」
「そうして世界に害を為しているので」
 封じて動きを止めてだ。
「ですから」
「魔神か」
「邪神と言ってもいいでしょう」
「邪神か」
「どちらにしても正しい神ではありません」
 神にも善悪があるとされている、人や世界に害を為す神が悪神とされ魔神や邪神と呼ばれたりもするのだ。
「ですから」
「こうした知られている神ではか」
「ないのでしょう、おそらくですが」
 さらに話す僧正だった。
「あの魔神は我々の全く知らない」
「そうした神か」
「そうではないかとです、拙僧は考えています」
「そうか」
「はい、ですから過去の書にもです」 
「ないか」
「そうかと」
 こう英雄達に話したのだった。
「あくまで拙僧の考えですが」
「そうか、確かにな」
 英雄も僧正の言葉を聞いてだ、そうしてだった。
 深く考える顔になってだ、こう言った。
「俺もここにいる連中もな」
「誰もがですね」
「知らない、そしてだ」
「この島でも西の島でもですね」
「誰も知らないしどの書にもだ」
 デルフォイ、西の島随一の知識が集められているとされているこの街にあった書でもというのだ。英雄は久志と共にいたその時のことを思い出しつつ僧正に話した。
「魔神がどういった神かとはな」
「書いていませんね」
「ただ海で世界を覆っていてだ」
「世界を封じているとだけですね」
「書かれているだけだ」
「はい、そしてこの島と西の島以外の浮島もです」
 この世界に本来ある筈の多くの空に浮かぶ島達もというのだ。
「その海の中にです」
「あってだな」
「はい、そして」
 そのうえでというのだ。
「二つの島以外はです」
「この世界にはないか」
「そうなっています」 
 まさにというのだ。 
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