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レーヴァティン

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第五十八話 神仏の存在その三

「明日にでも」
「そうですね、それでは」
「もう少し岐阜にいて」
「そのうえで稲葉山に入り」
「書を読みますか」
「そうした方がいいか、あの寺もこの世界では名刹の様だ」
 それならというのだ。
「書があってもおかしくない、そしてな」
「その書の中でありますな」
 峰夫も応えて言ってきた。
「魔神について書かれていれば」
「幸いだ、ではな」
「明日から少し」
「稲葉山に入るか」
「ええことや、ついでに寺の状況も見られる」
 耕平もその目を鋭くさせて言った。
「一石二鳥や」
「そのことも考えてだ」
「言うたんやな」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「俺もな」
「そういうことやな」
「そうだ、若し敵対しそうな寺ならな」
 旗揚げをしたその時にはというのだ。
「戦になる、そこで前以て寺の中を見ておけば」
「攻めどころもわかる」
「だからだ」
 このことも考えてというのだ。
「入ってみていこう」
「ほなそのことからもな」
「明日から稲葉山に入る」
 岐阜の真ん中にあるこの山にというのだ。
「いいな」
「よし、明日から山やな」
「そこに入るとしよう」
「それも面白くなりそうぜよ」
 耕平に続いて当季も言ってきた。
「山に一体何があるか」
「噂ではそれ程悪い寺ではない様ですが」
 謙二が言ってきた。
「あの山のお寺は」
「そうだな、噂ではな」
「この街の話では」
「僧兵がいてもな」
「あくまで自衛の為で」
 寺、そして街を守る為のだ。
「これといって戦闘的でもなく」
「教えも守っているとだな」
「聞いていますし学問にもです」
 僧侶としてのそちらもというのだ。
「励んでいると」
「まともな寺か」
「はい、ただ」
「ただというと何だ」
「日本の寺社は確かに問題もありましたが」
 戦国時代までの寺社はというのだ、世俗化しており肉食妻帯が見られ僧兵達を動かして己の権益を確保若しくは拡大するのに躍起になっていたがだ。
「バチカンより遥かにましでした」
「欧州のか」
「はい、あそこまではとても」
「腐っていなかったな」
「バチカンの腐敗は異常でした」
 日本から見ればとだ、謙二は難しい顔で述べた。
「あそこまでの腐敗には遥かに及びませんでした」
「それは俺も思う」
「あの腐敗は」
「最早言うにすら値しない」
 それこそとだ、英雄も彼等の世界のバチカンの腐敗についてはこう述べた。
「人間は何処まで腐敗することが出来悪事を為せるか」
「それへの挑戦ですか」
「その域まで達している」
 まさにというのだ。 
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