ソードアート・オンライン ~生きる少年~
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第一章 護れなかった少年
第三十一話 悪夢の始まり
前書き
お久しぶりです。二年ぶりぐらいでしょうか。この二年で書けた話はたった、三話です。今もう一話書いてはいますが、
もしかしたら劇的に書き方が変わっているかも知れません。成長してればいいなと思います。
如何せん気分で書いているので更新スピードはまちまちでもしかしたら年単位でまたかかるかも知れません。本当に気長にお待ちしてください、としか言えない自分を許してください。ホントすみません。
「何故に僕が買い出し係なのだろうか .......」
答え、ジャンケンで負けたから。全員パーで僕一人グーという漫画のような負け方をした。なぜだ。
ちなみに買い出しは主にポーション等。
実は今日、元々みんなで最前線である 32層迷宮区に始めて挑むつもりだったのだが、何故か急に誰か一人が買い物に行くことになり勢いに負け、そのままじゃんけんに移行し、そのまま負けて来ました。ハイ。
そうこう愚痴っているうちに道具屋についたのでそのままポーション類を買い漁る。
あ、転移結晶が安売りしてる。みんなの分も買いだめしとこ。
そう思いながら転移結晶を十数個を買ってストレージに。
日頃の倹約生活のおかげでお金はたっぷりとあるのでそこまで資金的には痛くない。
にしても、と思う。
(なんだろ......さっきから .......嫌な予感がどうしても拭えない。これは少し急いで行った方がいいかも ......)
そう思いながら道具屋から出る。
本当なら食材等も買っておきたかったが後回しで。
ー☆ー☆ー☆ー
圭介side
「ぃよっし!!じゃあ準備は出来てるか〜 !!」
「「「「「お〜 !!」」」」」
ハクが言った直後に全員で手を振り上げる。
勿論全員準備万端のサインだ。
「じゃあ、行くぞ。そろそろソラさんを安心させたいからな !!」
そう。今回の俺らの目的は俺らのための攻略を休んでくれてる蒼空に「俺らはもう大丈夫だ」と伝えることにある。
だからわざわざ危険な最前線まで出てきた。
そして、ここに超低確立でドロップすると言う、《トゥインクル・インゴット》をお礼として渡す、というのが安心させる方法。
今、すでにダンジョンの一歩手前にいるため、まぁ、結構危険ではあるが大丈夫だろう。
と、ハクが歩き出す。
そして全員が薄暗いダンジョンの中に入った瞬間。
「......え?」
ハクのHPが真っ白になり、消滅した。
全員が全員、瞬時に判断するどころか驚きで固まってしまう。
次の瞬間。
「うぉっ」
ブライのお腹の部分から細長い何かが突き出る。
「ブライ!!」
そう言ってブライに駆け寄って行ったセンだったが、次の瞬間、その首が飛んだ。
それと同時にブライの HPが消え、四散する。
と、細長い何かを持っていた人影が現れる ......いや、 刺突剣か ??あれは。
瞬間、何処からか飛来した、何かが、俺とアンスに突き刺さる。
「「うぁぁぁぁぁああ !?!?」」
二人同時に悲鳴を上げると同時に HPバーの上にアイコンが出る。
それはバッドステータスである《麻痺》になった証拠だった。
「ケイ!!」
そう言いながら心配したようにこちらに駆け寄ってくるメイ。
......だがその選択は間違いだ !!
「ダメだ!!全力で街に逃げろ !!」
叫ぶが既に遅く、瞬間的にメイが羽交い締めされる。
そしてようやく仲間の 3人を殺した奴の姿が視認出来るようになった。
一人はメイを羽交い締めにし、何やら袋のようなものを被っている。そのカーソルはオレンジに染まっており、名前は《 Johnny Black》 ......ジョニー・ブラック。
もう一人は覆面に、片手に刺突剣を持っている。同じようにカーソルはオレンジに染まっており、名前には《 Xaxa》......どうやらザザと読むらしい。
さらにもう一人は、ポンチョらしきものと、手には肉厚の包丁。そのカーソルは二人と同じようにオレンジに染まっており、名前は Pohと書かれていた。
そしてメイを羽交い締めにしている袋男 ......ジョニーブラックの袖と手袋の間から何かがのぞいている。
(笑っている棺から手が出てるペイント ......まさか ......こいつら ......!?)
「で、ヘッド。こいつらどうする ?」
「Wait.今考えている」
そう言いながらポンチョのようなものを着た男性 ......Pohが歪な笑みを浮かべる。
その笑みを見た瞬間、身体を本能的な恐怖が襲った。例えるなら、目の前に捕食者がいるような ......、そういう圧倒的なまでの蛇と蛙の関係、純粋な力の差。そういったものを一瞬で察知する。
それと同時に漸く思考が現実に向く。それはずっと仲良くしてきたギルドメンバーが三人も殺されたと言うこと。そして自分達もいつ殺されるかわからないということ。それと同時に三人の特徴から、さっき考えていたことが真実であることを悟る。
笑う棺と呼ばれる最近有名な殺人ギルド。まだ属するプレイヤーは少ないが全員が全員攻略組レベルの強さを誇る。その中でも有名なのは幹部3人、 ――ジョニーブラック、ザザ、そしてもう一人 ――とギルマスである Pohである。
それを自覚し、身体が震える。ガクガクと、歯の根が合わないほどに震える。脇を見ると、メイは羽交い締めされているのもあるだろうがガクガクと震えている。が、それはまだマシで、へたり込んでいるアンスは、股間の部分が濡れていて、眼から涙が漏れていた。
「......そんなに怖がらなくていい。君たちももうすぐ主の御許へと導かれるのだから。おぉ、 Jesus。先に逝った者達もきっと待っていることだろう。 Amen」
急に真横からそんな声が聞こえる。首だけを動かして振り向くと、そこには、黒い修道服のような者を纏った巨体が眼に入る。おそらくは身長 2mは超しているだろう巨躯は、服の上から見ても分かるほど筋肉がガッシリとついている。おそらくは体重も 100kg近いだろう。首からは十字架を提げており、さっきの言葉からしてキリシタンだろう。何故気づけなかったのかは分からないが、おそらくは相当隠密スキルの熟練度が高いのだろう。そしてこの男のアイコンは綺麗なオレンジで染まっていた。そして名前は《Jacob》......ヤコブ。笑う棺の有名な幹部のもう一人だ。
「お、ヤコブ。やっと来たのか」
「すまない。少々罪深き者がいたのでな。主の御許に導いていた。 Jesus、彼に加護を。 Amen」
そういいながら手で十字を切るヤコブ。そんな返答を聞きながらジョニーブラックはメイを羽交い締めにしたまま溜息をつき、何かを思いついたのか、陽気な声で話し出した。
「お、そうだ、ヘッド、あれやろうぜ、アレ。『鬼ごっこ』」
「お、それで行こうか」
Pohがそう言う。それに続き、覆面にエストックを持った男性 ......ザザが続く。
「あれ、オレは、好きじゃ、無いんだけどな」
「まぁ、そう言うなってザザ。ヘッドがいいっていってんだからさ」
不自然に言葉を切りながら、ザザが言い、それに対して、ジョニーブラックが明るい声で茶化すように言う。
「『鬼ごっこ』か。なら俺はここで見張りでもしておこう。逃げるためにはここを通らなければならないからな」
「そうだな。じゃあヤコブはここで待機だ」
Pohがそう指示を出すとこっちを向き ――
「Sorry。待たせて悪かったな《月読》諸君。これからゲームをしよう」
そう切り出した。
一瞬言ってる意味が分からず固まる。それは二人も同じだったようで脇を見ればアンスが怪訝な顔をし、メイに関してはポカンとしていた。
「この状態でゲームだぁ ? 巫山戯てんのか !!」
つい溜まらずそう叫んだ瞬間 ......
ガスッ
腹部に強い衝撃が走った。
「ガッ――!!」
幸いそこまで HPが減ってはいなかったが、蹴られた場所が場所だったので、呼吸がつまり、ひゅうひゅうと音が鳴る。
「お前らは、黙って、話を聞いていれば、いい」
ザザが特徴的な赤い眼をこちらに向け、そう告げる。それを見て Pohが少し笑い、話し出す。
「Sorry。急に言われればそうなるな。まぁ、景品はある。人の話は最後まで聞くものだ」
そう告げ、ゲームの内容とやらを話し出した。
「ゲームは単純な鬼ごっこだ。ゲーム開始から 3分間やる。その間、この階なら自由に逃げ回っていい。その後俺達が 10分間探しに行こう。もし 10分間一人でも逃げ切れた場合は君たちの勝ちだ。だがもし、俺達が君たちを全員捕まえたら ......その時は分かるな ?」
鋭い眼光と共に次の言葉が継げられる。
「ああ、そうだ。もし、君たちが範囲から出たり、転移結晶を使った場合 ......全力で君たちや、ソラを殺す」
そう告げられた瞬間に濃密な殺気のようなものを感じ、身体がブルリと震える。それを見た Pohが少し笑いながら続きを告げる。
「ただ、君たちがもし俺達から 10分間逃げ切り、俺達に勝ったとき ......その時は景品として、君たちやソラには一生手出ししないことを約束し、君たちが望むなら俺達をここで殺すもコリドー送りにするも自由にしていい。そして ――」
――今回の黒幕を教えよう
笑いながらそう告げる Pohに思考は巡る。
(黒幕......? どういうことだ ? 裏に誰か ......いや、ブラフか ?)
危険だ、危険すぎる。が、乗らなければただ殺されるだけなのは混乱し平静を失っている頭でも容易に想像できる。
結局の所、選択肢なんてない。乗るしかないんだ。だが 10分は少々長い。逃げ切れるか ――?
そう息を呑んだケイに対し、 pohは内心ほくそ笑みながらもう一言、発する。
「10分じゃ自身がないか ? なら 5分にしよう。 5分間逃げ切れば君たちの勝ちだ」
その言葉にケイ、メイ、アンスが息を呑む。
五分程度ならいくらこの階だけと言っても隠れてやり過ごすことも出来る。
その考えは最後の後押しとなり、ケイに決断させた。
......それが罠とも知らずに。
「わかった。条件を呑む」
その言葉に pohはニヤリと笑った。
「ではそろそろ麻痺毒の効果も切れるだろう。そしたら楽しい楽しいゲームの時間だ。 It's show time」
それから30秒後、三人は走り出した。生き残るために。
―☆―☆―☆―
「あいつら見事にハマったスね、ヘッド」
ジョニーブラックがほくそ笑みながら告げる。
「ああ、まさかここまで簡単に乗せられるとはな」
そう言いながらクックッと笑う。
「あ、そうそう。キチッと三人にはめ込んどきましたよ。発信器。二人はナイフで、もう一人は羽交い締めにしたときに」
「good.よくやった。これで勝ちは確定したな」
そう言いながら pohは再度笑う。今度はクツクツとではなく、大声で。
「これは絶望を与えるゲームだ。奴の足止めもきっちりやれてることだし。そろそろ始めようか」
「そう、だな。もう、三分、立った」
ザザのその声に、 pohはジョニーブラックとザザに目配せをする。二人は一つ頷き、走り出す。
「さぁ、絶望のショウを始めよう。 It's show time!!」
そう言って、血濡れの殺人鬼は走り出した。
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