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156部分:第十二話 夏に入りその七


第十二話 夏に入りその七

「醜い奴だな」
「ええ、そう言われますと」
「醜いですね」
「本当に」
「真の醜さはそれだ」
 また言う先生だった。
「心が醜い。そうした弱さが最も醜い」
「わかりました」
「絶対にそうなりません」
「この部活ではそれを一番教えていく」
 宣言まで出た。
「心を強く打。真の強さをだ」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
 こんな話をしてだった。彼等は大切なことを教わった。そしてそれは陽太郎も同じだった。部活の帰りに月美にこのことを話すのだった。
「こんな話してくれたんだよな」
「とんでもない先生もいますね」
「全くだよ」
 月美も話を聞いてその眉を顰めさせていた。
「西堀もそう思うよな」
「武道をやる資格どころか」
 先生と全く同じ言葉になっていた。
「生きている資格すらありません」
「そうだよな。それで先生もな」
「通報ですか」
「ああ。絶対にクビにしてやるって言ってるよ」
 月美にこのことも話した。
「絶対に許さないってな。剣道界にもいられないようにしてやるってな」
「物凄く怒っておられますね」
「やっぱりそうなるよな」
「誰もそうなると思います」
 月美の言葉もだ。厳しいものになっていた。その声で言うのである。
「そんな人は罰せられるべきです」
「全くだよ。しかしな」
「しかし?」
「そんな人間もいるんだな」
 陽太郎も顔を顰めさせて述べる。
「非常識っていうか」
「ですよね」
「屑って呼ぶにも値しないような奴がな」
「武道をしていても」
「そんなことをする資格以前の奴が。いるんだな」
「居合は刀を持ちますよね」
 月美は自分がしているその居合の話をした。
「真剣を」
「ああ、それはな」
「だから余計にです。心の鍛錬が必要なんです」
「斬るからか」
「剣道でも同じ筈ですが」
 それもだというのだった。陽太郎がしているそれもだ。
「竹刀でも人を傷つけますよね」
「あれ凶器だしな。だから防具を着けてるしな」
「そんなものを使うから余計に気をつけないといけない筈です」
「しかしそれを知らない奴が剣道とかやると」
「そうなるんですね」
「しかもな。その教師ってな」
 話を聞いたそのことをだ。さらに話すのだった。
「生徒を切り捨てたりするらしいからな。部活が強くなる為にさ」
「その為にですか」
「何か顧問をしている部活が強くなったら評価があがるらしくて」
「その為に生徒を切り捨てて、ですか」
「虐待とかしていたらしいんだよ」
「さらに最低ですね」
 月美はその怒りをいよいよ強いものにさせた。本気で怒っているのが傍目でもわかる。
「その先生は」
「全くだよ。それにしても」
「はい?」
「そうはならないようにしないとな」
 反面教師にするというのである。教師は教師でも反面教師だ。残念ながら我が国の教師にはそうした意味で見事な教師が多いようであるが。
「絶対にな」
「大丈夫ですよ」
 ここでこう言う月美だった。
 
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