空に星が輝く様に
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148部分:第十一話 プールでその十五
第十一話 プールでその十五
「そこに」
「本屋なんだ」
「いつもですけれど」
ここでこんなことも言う月美だった。
「それは」
「じゃあ本屋にする?」
あえてそのいつもという言葉には何も言わずにだ。そのうえでにこりと笑っての言葉だった。陽太郎はその顔で月美を見て言ったのである。
「それじゃあさ」
「はい、それじゃあここからですね」
「あっ、いい本屋知ってるんだ」
「はい、ここから少し歩いたところです」
右手を指差しての言葉だった。
「そこにあります」
「ああ、この近くだったんだ」
「そうなんです。色々な本が置いてある五階建てのお店でして」
「あれ、しかもビルなんだ」
「はい、じゃあそこでいいですね」
「うん、じゃあ」
こうしてだった。話を決めてだ。そのうえで今度は二人だけでその本屋で楽しんだのである。その頃星華達はどうしていたかというとである。
州脇達と一緒だった。それであのアーケード街で楽しい時間を過ごしてだ。そのうえで満足した顔で帰りの駅にいたのである。
その駅でだ。四人で楽しく話をしていた。
「どうだった?アーケード街」
「うん、よかったね」
「そうよね」
「とてもね」
こう言ってであった。それぞれの手に持っているハンバーガーやブローチ等を見せ合ってだ。そのうえで話をするのであった。
「あそこのお蕎麦美味しかったよね」
「ええ」
星華は橋口の笑顔に満面の笑顔で応えていた。
「私もお蕎麦好きだけれどね」
「星華ちゃん和食好きだしね」
「お蕎麦もなのね」
州脇と野上がここで話す。二人もブローチやアクセサリーをそれぞれ持っている。
「丁度よかったよね」
「確かにあれも美味しいし」
「デザートもね」
「そうよね」
ここで星華も三人の言葉に頷いたのだった。
「あの白玉あんみつ美味しかったわね」
「和食尽くしもいいわよね」
「案外ね」
「また行こう」
「そうね」
そんなことを話してだった。四人で明るい顔になっていた。その顔はまさに女子高生のものであった。その笑顔で話をしていた。
その四人の前を電車が通り過ぎた。向かい側の線路である。星華はその電車をふと見た。するとその中の扉のところに立っていたのは。
「あれ?」
「どうしたの?」
「何かあったの?」
「今の電車にだけれど」
一瞬だが確かに見た。それで言ったのである。
「西堀がいたわ」
「西堀?」
「あいつがいたの」
「それも誰かと一緒だったわ」
それも見たのである。
「あれは」
「あのおチビ?」
「三組のクラス委員の」
「あいつ?」
「違ったわ」
月美は確かに見えた。しかしもう一人は、なのだった。
「あれはね」
「じゃあ誰?」
「誰だったの?わかったの?」
「ええと、あれは」
確かに誰かを見た。しかしであった。
「男だったみたいだけれど」
「男?」
「男なの」
「けれど誰だったかわからなかったわ」
それはどうしてもであった。わからなかったのである。
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