レーヴァティン
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第五十七話 東へその六
「近くに強い勢力は幾つかありますが」
「大坂自体にはな」
「そういった勢力がおらず」
「旗揚げをするとな」
「まさにです」
その時点でというのだ。
「一つの勢力としてです」
「旗揚げが出来るな」
「それも容易に、そして」
「そこに城を築いてな」
「堺にも都にも手を伸ばして」
「周りの勢力も倒してだ」
そうしていってというのだ。
「一角の勢力になりそこからだ」
「島もですね」
「統一する」
こう段階的にことを進めていくというのだ。
「そうしていく」
「わかりました、では」
「大坂だ」
旗揚げの地、そこはというのだ。
「あそこにする」
「それは決定ですね」
「あの地以外に考えられない」
英雄はこうまで言った。
「人が多く賑わっていて土地も肥えていて要地が近くに多くあり交通の便もよく水運も発達していてだ」
「しかも見事な城も築ける」
「ここまで条件が揃っているからだ」
だからだとだ、今度は智に答えた。
「いいな」
「確かに。この島の地理では」
「大坂が一番だな」
「便がいいでござる」
「人も多いしな」
「まさに格好のでござる」
「拠点を築くべき場所だ」
また言う英雄だった、だが。
ここでだ、英雄は少し眉を顰めさせてこうも言った。
「都も考えたがな」
「あそこは止めておいた方がいいぜよ」
当季がすぐに言ってきた。
「出来るなら」
「そうだな、あそこを拠点とするとな」
「案外守りにくいぜよ」
「四方は山だがな」
「問題は食いものぜよ」
「田畑は山の向こうにある」
都を囲むそれのというのだ。
「だからな」
「そうぜよ、囲まれたらぜよ」
「食いものがなくなる」
「だから止めた方がいいぜよ、城を築くにしても」
「都自体が城だ」
城塞都市となる、都はこの島では唯一と言っていいそうした街であり城であるのだ。西の島では街は必ず城であるがこの島では違うのだ。
「それはいいが」
「さっき言った通り食いものがないぜよ」
「囲まれるとな」
「しかも城壁が低く薄く」
「堀はない」
「そんな場所ぜよ」
「あれだけ守りに不向きな場所はない」
「交通の便利はいいから商業は出来るきに」
当季はこのことはよしとした。
「あと周りは土地は水も奇麗で木々も多くて暮らしやすいぜよ」
「しかしな」
「守ることは出来ないぜよ」
「だからな、俺もだ」
実際に都に行った時にそうしたものまで見てというのだ。
「あそこは拠点にしないことにした」
「そういうことじゃのう」
「ああ、拠点は平山城にしたい」
こう言ったのだった。
「守りやすく治めやすい」
「それはあれやな」
耕平、忍者である彼も話に入って来た。
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