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【完結】猫娘と化した緑谷出久

作者:炎の剣製
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猫娘と明かされる秘密編
  NO.050 帰ってきたヒーロースーツ

 
前書き
更新します。
ついに50話まで来ました!
原作的には43話部分相当のNO.059の『知れ! 昔の話』から全然進んでいないですね。
だって、六月最終週までキングクリムゾンされるから自由に話ができるのが強み……。 

 
『インゲニウム。奇跡の復活!』


その見出しが出久が個性で治した翌日には新聞の一面を飾っていた。
内容としては、

『今は逮捕されたもののあの巷を震え上がらせていたヒーロー殺し、ステインによって負わされた傷によって脊髄損傷による下半身麻痺になったインゲニウム=飯田天晴氏、先日に回復したと報告』

それによって当然各メディアのマスコミが騒ぎ始めていた。
誰が治した? どうやって治療した?
などと色々と憶測が飛び交っていて、特定しろ!という強迫観念に近いもので事情を知っているインゲニウムの家族達、病院の関係者などを強引に取材すると言ったいつも通りの汚い手法で次々と裏取りも済ませていって最終的にはとうとう出久の事がばれてしまった事に雄英高校の教師たちは頭を悩ませていた。

「………まさか、ここまで話が大きくなるなんてな」

許可を出した本人、相澤が目頭を揉みながら疲れた表情でそう語る。
オールマイトも同様のようで、

「これではオール・フォー・ワンに緑谷ガールの事をばらしたも同然の事になってしまいましたね……奴が生きているのなら私が負わせた傷も癒えていないだろうですし、傷を癒すためにも必ず緑谷ガールを手に入れようと躍起になるでしょう」
「やっぱり一番怖いのはメディアだよね。あの調べ上げるためにはなんでもする根性をできれば見習いたくはないね……」

校長はそれで午後に配布された号外の記事に書かれている『インゲニウムを治したのは雄英高校の一年、緑谷出久さん(15)』というプライバシーのカケラもない記事の内容に深いため息を吐く。

「あたしも口止めはしといたんだがね。どうせどこかの馬鹿がお金で揺すられたんだろうね……」

リカバリーガールも今回の件に関しては呆れる他ないと言った感じだ。
総じて関係者全員疲れた顔をしていた。

「相澤君。緑谷ガールは今どうしてます……?」
「そうですね。他のクラスの生徒がそれで緑谷の事を見学に来ている感じで緑谷本人は居心地悪そうにしていましたよ。
爆豪と、それに普通なら鎮め役の飯田が今回の件も絡んでいる事もあって、それでキレていまして1-A全員をグルにして他のクラスの生徒の視線から緑谷を守ろうとしていて収拾が現在つかない状態です。
…………まったく、期末テストが控えているってのに忌々しいですね」

そう毒づく相澤の気持ちも分からなくはない。
当分は出久に対しての突撃取材も多くなるだろうし、出久に関してはマスコミに巻き込まれないために特別に送り迎えを出そうという話が持ち上がっていた。
出久の善意の活動なのに汚い大人達に言葉巧みに利用されて潰されたくないというのが満場一致の回答であった。








それからマスコミが落ち着くまで2、3日くらいかかったが、やっとのことで出久も普通に登下校できるまでには状態は回復できた。
それでも電車通学のために言い寄られる事がたびたびあったので冷や冷やものだったらしい。
だが、悪い事だけではなかった。
インゲニウムのファンからは何度も「ありがとう」と感謝の言葉を貰ったからだ。
それだけで出久もやってよかったと思えた。

「……まぁ、そんな感じで少しだけまだ大変かなぁ……」

朝の登校でお茶子と飯田と合流して歩いていた出久はそう締めくくりながら話す。

「デクちゃん、大丈夫……? 顔が少し疲れてる感じだよ?」
「麗日さん、大丈夫大丈夫。体力だけはあるから」

そう気張っている出久だけど、猫耳と尻尾の毛並みが少し萎れているのでお茶子は「やっぱりデクちゃんは私が守らないと!」っと、気持ちを新たに気合を入れていた。

「緑谷君……俺の兄の件で迷惑をかけてしまい、すまない」
「飯田君! そこは気にしちゃだめだよ! 僕の意思でやったことなんだから!」
「それでもこう毎日騒がれては緑谷君も身が持たないだろう……?」
「そうだよデクちゃん。何か言って来たら私も加勢するからね?」
「うむ。俺も緑谷君を守るためならなんでもしよう」

そんな二人の気持ちに感謝の念を感じた出久は、見惚れるような笑顔を浮かべて、

「二人とも、ありがとう……」
「「ッッッッッ!!」」

表裏ない心からの言葉と表情に二人は胸を押さえて過呼吸気味になるのを必死に我慢しながらも、

「(うん!)デクちゃん、カワイイよー!」
「(素直に受け取っておこう!)……イイ」
「二人とも!? なんか本音と建前が逆になってない!?」

こうして仲良し三人組はいつも通りの日常に戻っていく。
だが、やはり飯田は二人の女子と一緒に仲良さげに歩いているために嫉妬の視線を一身に受けている。本人が自覚がないためにスルーされているが、普通なら胃を壊しそうなものだろう。




そして朝のホームルームでは、

「特にこれといって重要な話は無いんだが、緑谷に飯田。お前ら二人のコスチュームが修繕が終わって返ってきたから後でチェックをしておけ」
「了解しました」
「わかりました。あ、それと少しいいでしょうか?」
「なんだ、緑谷?」

出久が手を上げて意見を言いたそうにしていたために相澤は内容を聞く。

「はい。ちょっとコスチュームを改造したいんですけど、そういうのってどこで申請すれば通りますかね?」
「ほう……もう改造計画を立てているのか。向上心があっていいな。そういうのはサポート科担当のパワーローダー先生に話せばなんとかなると思う。昼に職員室に来い。話しておくから」
「ありがとうございます!」

それでホームルームは終了して相澤が教室を出て行くのを皮切りに一同が話しかけてくる。

「緑谷、もう改造計画立てているみたいだけどどういうのにするつもりなんだ?」
「尾白君。うん、職場体験で新たな境地を開拓できたんだ。だからそれを取り入れようと思って」
「緑谷の個性って増強系が多いからそっち方面なのか!?」
「うん。今まで拳に固執していたんだけど、足技も今度から入れて行こうと思って……ヒーロー殺しの時には付け焼刃の攻撃でブーツが保たなかったのもあって、硬いソールを取り入れようかなって……」

それから次々と質問を受ける出久は楽しそうに改造案を話していく中で、

「あ、そうだ。飯田君。よかったら足技の使い方を教えてくれないかな? 一番このクラスで足に関して上手いのは飯田君だから」
「そう言う事なら喜んで引き受けよう」

頼られた飯田はそれは嬉しそうにしていた。
だが、一方で、

「おい、デク……俺にもなんか手伝えるもんとかはねぇのか……?」
「「「「「……」」」」」

突然の爆豪のセリフに全員が思わず固まる事になる。
まさか爆豪自らが話の中に入ってくるとは今まで無かった事だから全員どうしていいか分からないのであった。
爆豪のデレ具合が結構な速度で進行しているぞ!

「う、うん……それじゃかっちゃんにも足の使い方を教えてもらいたいな……」
「おう。任せろ!」

「「「「(緑谷/緑谷君/出久ちゃん/デクちゃんに対して少し素直になり過ぎていて逆に怖い……)」」」」

満場一致の心からの感想であった。
ちなみに切島と瀬呂がそれなら俺達にもなんか教えてくれよと爆豪に試しに言ってみたところ、

「あぁ!? てめぇらはてめぇらでなんとかしやがれ、クソが!!」

と、いつもの感じに戻ったために出久限定でデレる爆豪という認識が全員に植え付けられた。
そんな反応をしていて轟はいつだったか爆豪に言った『お前がいつまでも緑谷に対してそんな態度なら……先に行かせてもらうぞ』というセリフを思い出して、悔しそうに拳を握っていたり。大丈夫だ轟。まだチャンスはたくさんある!







それから出久はパワーローダー先生に改造許可を貰って、サポート科にコスチュームを持っていき、

「あら? あなたはいつぞやの!」

そこで久々に発目女史と顔を合わせる事になる。
果たして無事に済むのだろうか……?

 
 

 
後書き
最初の方はサブタイ詐欺になりそうな感じでしたけど、これも必要な工程ですので。
次回、発目さんと面白おかしい事になるのかは、まだ分からない……。 
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