異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!
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この世界の事情にて
現れたプロセルピナという女神。
エイダとレオノーラが驚いた顔をして棒立ちになっている。
そして優雅に舞い降りたプロセルピナは、以前と同じように美しいが、俺の方を見て、
「やっぱり巻き込まれてくれたわね」
「……」
「巻き込まれ主人公の素質があるって聞いていたから、それもよかったわ。よろしく」
「……それより俺の呪いを解いてくれ」
「あら、スローライフをしながらゆっくりと解除していけばいいんじゃないかしら」
そう言ってプロセルピナがしてやったりというかのように笑う。
すでにこのような状況に陥っているので、言い返せないが……何か一言いい返せないだろうか? と俺が思っているとそこで、
「プロセルピナちゃん。きちんと異世界から呼んだこの人にお願いしたの?」
「ええ、そうよ。彼の力は話を聞いて知っているから、彼の力があれば全部解決だと思ったもの」
「でも……彼はとても不満そう。きちんと了解はとったの? プロセルピナちゃん?」
「ええ、額にキスだってしてあげたわ」
そうプロセルピナは言う。
だが俺としてはそんなもので、そんなもので誤魔化されたりは……でも女の子にキスされたし、どうしよう……と、童貞力の高い俺は悩んでしまった。
するとハデスが眉を寄せて、
「でも、彼の周りにはプロセルピナちゃんの拘束が見える。これ、よく私とプロセルピナちゃんが遊んでいるゲームの魔法の鎖。これで異世界の人をこの世界から逃げられないようにしている……」
「……そうね」
「きちんと、お願いしたんだよね?」
「……ええ」
どことなく歯切れ悪くプロセルピナが答える。
だがこれは好機と思って俺は、このハデスに言いつけることにした。
「このプロセルピナが無理やり俺をこの世界に放り込んだんです!」
「ちょっと! そ、そもそもソウタはその辺で腐らせておくのが勿体ない暗い魔力にその能力だってあるんだから、少しくらい手伝ってくれてもいいでしょう!」
「いやだ! 俺はスローライフがしたい!」
「貴方にはそれだけの力が……何? ハデス」
そこでプロセルピナが何かを言おうとすると、ハデスがプロセルピナの服を引っ張る。
そして、プロセルピナに、
「許可、とっていなかった」
「そ、それは……」
「プロセルピナらしくない」
そこでハデスがそう言うとプロセルピナが黙って、困ったような顔になり、
「だって、ハデス、貴方だって勝手に私に何も言わずにこの世界に行って……追跡できないようにしていたじゃない」
「……プロセルピナに心配をかけたくなかったから」
「それにハデス、貴方の行動だって全然見えなくて状況は更に悪くなっているらしくて……平和なのは見かけ上で、だから、私だって……こんなもの今までで初めてで、必死になって一人で手を打っているのよ! 貴方は……一人で何とかしようとしていってしまうから!」
怒ったようにプロセルピナが声を荒げて、それにハデスが目を瞬かせてから、微笑み、
「心配してくれたんだ」
「それは、そうよ。この世界は貴方と私の世界ですもの」
「……うん。ありがとう、プロセルピナちゃん」
そうハデスが嬉しそうにほほ笑んだのだった。
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